サービス開始日: 2019-01-14 (2708日目)
ビジュアルは良いがテーマ的には……。
パンフによるとインターネットのポジティブな面を云々と言っていたが、それは飽くまでも道具としてのインターネットなのだというのをこれでもかと見せつける内容だった。
でなければアバターを解いて信用を得、リアルを特定して……という流れにはならない。ここでインターネットはリアルで人を救うための道具であり、コミュニティとしての面は全く顔を見せない。
しかし我々が触れている、少なくとも理想とするのはそういう人を救えるコミュニティとしてのインターネットの筈なのだ。
冒頭のヤフコメの様な匿名発言だって我々からすれば時々見かけるが無視(あるいは通報&ブロック)すればいいもので、「うんうんインターネットってこういう感じだよね」とはならない。「ああこの監督はインターネットには住んでいないのだ」というのを予感させる部分である。いや少なくとも匿名世界の温かい部分を知らない、と言うべきか。
実際のところインターネットそのものが常に人を救える訳ではないが、それ故にこの作品は夢物語ではなくむしろ過酷な現実としてネットの住人には刺さる。ある意味で最悪の物語とさえ言えるだろう。
ただ父親周りは筋がちゃんとしていて、母親の件があっても尚「優しくしてあげなさい」と言うのは、本気で母親の行いを悔いずむしろ誇りに思っているのが感じられていい場面だった。
ネタにされている例の場面について知りたくて観たが、まぁ唐突とは言えそう変な流れではない印象だった。どちらかというといつまでもラディーチェから連絡手段を奪おうとしないタカキ達だとかそういう場面の方がフラストレーションがあり気になる部分(強行しようとしてその事をネタに立場を奪われる…といった流れの方が納得感がある気がするが、そこは大人になりたかったという話なのだろう)。
結局ラスタル体制で情勢が良くなったのなら鉄華団のしてきた事は無駄だったのか? いやそうではないだろう。上はアーブラウ代表にまで至る広い関係は彼等が戦いの中で手に入れたものだからだ。彼等は確かに「進む」事で未来を手にした。
マクギリスという男は、バエルの威光を過信した点で鉄華団には迷惑な奴だったが、アルミリアの事を大切にしていた(死ぬ間際の言葉くらい信じて良いだろう)点で個人的には好きだ。
三日月は最後まで敵の講釈に付き合わないのが印象的だったが、この底知れなさはオルガが団員から感じている重責の象徴と言えるかもしれない。
結局のところ鉄華団が皆「切った貼ったをしない」人生となった訳ではないし、犠牲も多かった。決して鉄華団は成功したのではないものの、彼等の生き様が否定された訳ではないと思う。団員の居場所を探し、だがいつしか鉄華団自体が団員の居場所となっていた、そんな風に鉄華団を引っ張り続けたオルガの生き様は尊敬に値するだろう。
戦闘は今一つ何を見せたいのかよく分からなかったが(でかい龍がいれば迫力あるだろうとかその程度のノリに感じてしまう)、キャラは絵も動きもしっかりと可愛い。従ってユエの加入する第3話から「キャラ見てればいいのか」と分かってくる。
そもそもユエはアイシャドウ的に大胆に瞼部分へ付けられた影が色気を出しており天才的キャラクターデザインなのだが、イヤリング(何故かピアスではないようだ…穴が再生するから?)やフォーマル系の服装で安易にロリに寄せない点も素晴らしい。声についても第11話「あなたにできる?」の部分など愉悦、誇らしさ、脅迫のどれもを感じさせ非常に深みがある。不満はいつの間にか「恋人」とか言っている辺りをもう少し詳しく伺いたかった程度か。園部あたりのクラスメイトはそこそこ内面が丁寧に描かれている所為で、むしろ前半に駆け足で登場した香織、雫あたりの方がキャラが薄い印象だった。
話としては相対主義的にフワフワしていくのではなく断固「敵は殺す」で行くのも良いと思うが、それなら檜山を結局放っておくのが(ハジメ視点ではなく物語の筋として)すっきりしないところ。
絵は良いのだが、よく分からない思考で「殺す」と言い始め性格も豹変する主人公、派手に腕を吹き飛ばした割に最後は静かに風穴を開けるだけの演出(スタイリッシュな感じにしたかったのだろうが…)などややシュールと言わざるを得ない。
「またオレ何かやっちゃいました?」等の場面で有名なだけに、これぞ異世界転生という才能でどうにかする物語になっている。ただギャグ調の進行とは裏腹にシュトロームの暗躍で人が死にまくっているので、時折ノリの落差が気にならないでもない。
研究会のメンバーはそこそこの人数がいるが、それぞれの場面できちんと言動の描き分けがなされていて良い。シンが婚約の話にちゃんと応じたのも好印象。そもそもセシリーを始めとしてキャラが可愛く描かれているべき場面でちゃんと可愛いだけでも素晴らしい。
魔法のエフェクトになかなか気合が入っていて、光線を放つ時のキラキラなど(このすばとか、ちょっと違うがキルラキルでもあった)超常的な何かを予感させて好きだ。
「軍事利用」についての指摘が見られるが、第5話の「魔人の襲来ならともかく~」を踏まえればシュトロームとの戦いもある種の天災への対処と見做せるだろう。とはいえアールスハイド王国が盟主となれば「世界の警察官」が如き覇権を手にするのは明らかであり、政治的とは言える。まぁそこは「みんなに危機が迫ったら俺は戦場に出るよ」というシンの意志やオーグ等の心意気を酌んでも良いのではと思う。
『キルラキル』と並ぶ今石洋之&中島かずきの熱き魂を感じる作品。まぁこれに関しては「観ろ」と言う他ないだろう。
ただ唯一ラストについては納得のいかないところで、何故ニアは消えなければならなかったのか。ダヤッカの場合と比較してみると、要するに男は父よりも戦士であれという事なのだろう。(攻殻のゴーダを思わせる主張だが、こうした「英雄」表象はどこから来るのか?)しかしそれは幸福な結末を、この作品のパワーを打ち消してでも描くべきものだったのか。それは宇野常寛(評論家とは厄介な存在なので一々他の話は知らないが…と註釈が必要になる)が論じている様な「男らしさ」の問題を体現している様に思える。
冒頭から「ベフォールの子供たち」についての伝奇的導入は実に鬼気迫るもので、一瞬にして時を超えた壮大な物語に引き込まれる。そのまま「ベフォールの子供たち」と題されたクラシック調の劇伴も非常に印象的。何百年という彼等の足跡を辿り「転生」という事実に到達する…という筋だけでも面白いのだが、それはクックスとアリスの視点に過ぎない。本作は群像劇であり各々の視点から紡がれた物語がやがては交叉していく。その大いなる物語がある為に、各キャラクターの情動の描写が劇的なものとなる。長い執拗なカットにも堪えるだけの奥行きを視聴者に想像させる。
アジア的な小さい島で船を走らせ、また電車に乗り、そうした地に足の着いた生活圏からやがては秘密研究所や超文明の宇宙船まで、世界の描写がきっちり地続きになっていて高いリアリティを演出している様に思う。これほどのスケール感をこれほども精緻に描いている点で間違いなく傑作だろう。
少々下ネタが多いかというくらいでほぼ全方向に質の高い名作。
バトルシーンはどれも気合の入ったものだが、特に第7話の冒頭は圧倒的な迫力がありかつ何が起こっているかは分かりやすく、またエリスの感情の乗った戦闘スタイルも明瞭に描かれており傑出している。これを神作画と呼ばずして何としようか、リミテッドアニメーションの神髄である。
キャラクターについても、特別手の込んだエピソードをやっていなくとも非常に豊かな芝居を付ける事でその魅力を引き出している様に思う。例えば第2話でロキシーがスペルド族の話をする場面でも、ただ話をするだけだが「ちっちゃくありません」と言った後に一旦改めてむくれてから話を戻す、髪を弄る所作、椅子越しに頭の上から圧を掛ける構図、といった部分で子供っぽくも教師の立場を意識した姿勢が現れているだろう。またエリスで言えば第5話の「大声を出さない」という約束を必死に守ろうとするところだとか、第6話でも贈り物については事前にお金の使い方の話をしているので思いやりを持って選んだ事が窺われる。思いっきり暴力女という印象だったエリスが剣術の腕を上げ、冒険好きという方向に発展していくのはギャップを使うのとはまた違った(オタク的には珍しい正道の?)キャラの深め方で面白い。
昔魔族との戦争があって~等と言うのはよくある設定だが、そこでのスペルド族の行いが警句を残したり今のルイジェルドを苦しめたり、とこの作品では地に足のついた歴史として織り込まれている。
ギャグ調なのでそんなに踏み込んだ話はしないにしても、キャラクターの内面をもう少し描いて欲しかった。例えばエリーゼについては遺跡でのキスがかなりの事件であろうに、イーナとルイーゼがちょっと触れるだけでこの件は終わってしまう。ヴィルマに至ってはこれといったエピソードもない。
貴族社会の云々は推してる要素だけあって描写が細かく面白いが、欲を言えば魔法や冒険者という職との関連も掘り下げて欲しかったところ。魔法については遺伝しないという話なのであまり影響しないかもしれないが、冒険者についてはクルトが「冒険者風情が」と言っている様にこの世界でも無頼のイメージがあるはずだ。中世的世界で武力を担うとなると騎士か傭兵かが基本で、冒険者というのは世界設定のディティールを高めるほどに不明瞭な存在になる。
キャラの薄さ以上に退屈な印象を出しているのはバトルシーンの平凡さだろう。瞬殺という訳でもなく、また遺跡の様な長い戦いでもこれといって熱い思いをぶつけたりもない。「貴族社会の柵」とは関係ない部分なのでまぁそんなものかもしれないが、もう少し主人公の心境の変化とか周りとの関係性をバトル毎に押し出した方が物語としてちゃんと仕上がったのではないかと思う。
褒賞が土地だったり貴族が領主やって徴税して私兵を持ったりして、ちゃんと中世しているのが良い。
展開についてはなんでアルコールが魔物に効くんだとか、グラスは浄化なり何なりできないのか(初登場の強者感はどこへ?)とか、ところどころ雑な気もするが演出でどうにかなっている。
しかし最終回にしてもラフタリアの「どこにも行かないで」に結局答えておらず、関係性的に言うと第4話以上のものはそれ以降描けなかった様にも思う。
あと槍のヘイトをコミカルな描写で下げているがあまり成功していない印象。
グダグダと同じ戦いを何週も扱ったりしないテンポ感はいいが、思い返すと気になる点も結構ある。
ただ一瞬で品種改良だとか実はチートな事をしつつ、馬車を引き時には傷つき苦労しながらやっている為か、あまり嫌味な感じにはなっていない。序盤のストレス展開だとか人間の愚かさに耐えられるのなら割と楽しめる異世界ものだと思う。
再び奴隷にするというのは現代人としては止めるべきと思うが、どうもこういう展開が好まれている様で🤔となる。前回はっきりと心理的な絆が確立された訳だから、個人的には不要ではないかと思うのだが。
槍はすっかり端役の様な感じで、マインの方は冒頭の女性からの命だろうが他国に嫁いでいる女王といったところだろうか。
土地(徴税権)を褒賞とするのは正しく封建制だが、この手の作品では稀な印象で面白い。
元康らが強引な手を重ねた結果やっと少々胸のすく展開となる。むしろマインの方が国王と共にやや黒幕染みたり、教皇の意味深なカットが入るなどの点も見逃せない。弓・剣の物言いは第1話の反権威的態度がある為に割合納得感がある。
「(元)奴隷による肯定」というモチーフは槍の言った様な「結局ストックホルム症候群的な心理ではないか」という問題があるが、ここでは第一にラフタリアの方が剣であるという関係性において、また大局的には女性優位だという文化環境によって補強されている。これは作品の「盾」というテーマが上手く働いていて面白い。
最後の食事も良い場面で、それはラフタリアが貰った「温かい食事」のお返しであり、また二人の共通性を示すものでもある。ラフタリアが「精神障害」と言われていた事を考えれば、尚文の「味がしない」というのも単なるテンプレ表現ではなくストレス性の味覚障害だという事だ。