サービス開始日: 2019-01-14 (2583日目)
ギャグとシリアスのコントラストがちゃんとコントロールされている。(されてなくてもそれはそれで面白くなったりするものだが)
酒にもせずに葡萄を作るものなのかと思うがそれも信仰の不在などと並ぶ歪みの一つなのか?
もう1エピソード入れても良かったのではというテンポ感。
「ボコボコにしますよ」よりは「強い弱いは関係ない」みたいな感じの方が好み。
各地を転々とする形でこの手の作品では珍しい物語。ヒロインが軒並み可愛いので出番が限られるのが少々勿体無いが、テンポ良く話が進むのは美点。
リオは基本的に冷静で真摯だが、サヨには復讐者だからと言いつつセリア先生は娶る訳でもないのに連れ去るのは一貫性を欠いた対応に映る。(私が中近世ファンタジー観すぎて自由主義の心を失っている面があるかもしれないが)ヒロイン側の心情が丁寧に描かれる分リオの覚悟が不釣り合いに見えると言うべきか。或いはサヨの修行や先生の「じゃあリオが私を貰ってくれる?」からの期待が空転する進行になっている訳である。
リオの設定は振り返ってみるとなかなか盛られているが、過剰に持ち上げられはしないので気になり難い。
何にせよ聡明にして可愛く健気なセリア先生が良いので観る価値はある。
「じゃあリオが私を貰ってくれる? それともリオが私をどこかに連れていってそこで一生私と暮らしてくれる?」なんて言われたからには半端な介入は許されんぞと思うのだが正ヒロインっぽいのが登場してしまう。ここにきてハーレム的作品の哀しみを感じる。セリアと結婚してめでたしという事にしないか?
とにかく日常芝居が素晴らしい。特に第6話、第10話あたりだろうか。単に日常系の目線でも楽しめるが、TS物である事により一層その細かな挙措を観察する価値があり、ジャンルとのシナジーが生まれている。
全体的にクオリティが傑出する分突然作画のノリが変わる部分もちょっと気になるが。
内面的には、まひろの物語としては最終話の選択でなすべき事はしていると思うが、みはりについてもう少し深掘りして欲しかったかもしれない。(この手の作品だと大抵「なんだか遠くに行っちゃった気がする」みたいなエピソードが入ったりする。)
がやはり芝居が良い。テンプレ表現に甘んじないという覇気をこんなにも感じる作品はそうそう無い。
授業風景はアレだが魔法エフェクトはやはり素晴らしい。
割とゆんゆんに優しいめぐみん。
封印されしお姉さんや謎の旅人も顔見せし良い第一話。
もみじが進んで浴衣に着替えるが少々意外。(原作との時系列の違いがある?)
「悪いものを出す」でTS薬が抜けるのは大した意図はないかもしれないが示唆的。「普通」は戻るべきという話がある上で敢えてまひろは女の子を選ぶ訳である。『付喪堂骨董店』という作品に好きな夢を見せる香炉の話があり、あらすじを言ってしまうとこれは失恋した女子高生が現実に戻って≪こない≫選択をする、つまり「正しくない選択」をする話だ。当該作品は割とシリアス系なのでこれも一種の悲劇として描かれる訳だが(そして例えば『叛逆の物語』もその例と言える)、まひろの場合は別に否定的に描かれるのではない。日常系とはそういう正しさを時に避け、避ける事を肯定するジャンルであり、故に今や権威無き「正義」から自由でいられる。
まぁ単純に社会性の面での成長物語でもあるので、この辺りは「おしまい」のロゴスに基づく私の願望半ばでもあるかもしれない。
癖の強いカットもいくつかあるが、月の下でみよとまひろが向き合うカットはおにまいらしい(個人的な感性だが)絵柄でありつつエモい良い場面。
あとみはりに睨まれたまひろが怯えたときお団子が独立して動くカットも良い具合のコミカルさで好きなところ。
演出の物凄いぎこちなさ(例えば追ってくる狼は完全に背景から浮いていてシュールだし、ミツハの覚悟を強調するなら狼の去り際をコミカルに描くべきではない)と独自言語をちゃんと話させる凝り様の落差が奇妙。
悪役令嬢物を背景としながらもそれぞれの設定がアニスの心理などに結びついており、量産系の安っぽさは全く無い。後半で明らかになってくるが、アニスの「王女として為すべき事を為す」姿勢は当初から非常に一貫しているのだ。迫力ある芝居と相俟って類稀な魅力を放っている。
キャラの顔、背景、魔法エフェクトなどのクオリティが高く、どの画も美しい。
ジャンルの域を超えて非常に完成度が高い作品。