透と楽羅、二人の少女が夾に対してどう思っているのか、そして夾と接する自分をどう捉えているのか、かなり対極的に描かれていたように思う
だからといってどちらの行いが尊いと決めつけて描いていないのだから素晴らしい
慊人と出会い夾が幽閉されると知り、十二支の呪いを解くために藉真の元を訪れた透
彼女は終始真摯。十二支を縛り付ける絆を呪いと理解しても、絆は尊いものだと尊重するつもりでいる
更に夾の変化を喜ぶ姿も見せる。どれも夾を想っての行動
ここに来て明かされる楽羅の真意。単純な好きから始まったのではなく、猫憑きが居ることで安心を得て、綺麗な自分を夢見て好きになって貰おうとした楽羅
どちらも夾よりも自分を優先した行動
普通なら明かせない想い。けれど、楽羅は自分勝手な感情を夾に全て打ち明けた
だというのに夾は楽羅の「汚い」の中から綺麗な「有難う」を見つけ出した
だからこそ、楽羅も嫌な女で終わろうとしたのに最後の最後に本当の「好き」を叫ばずにはいられなくなってしまったのだろうね
楽羅の懺悔、夾の感謝。二人の想いが交わることはなかったけど、楽羅のどうしようもない感情を夾が抱き止めたシーンはとても良かった
柔らかな陽の光の下、呪いを解くために先に進む透
沈むような月明かりの下、有難うと言ってくれた瞬間の夾を自分だけのものとする楽羅
二人の居る場所や抱いた感情は異なるものだけど、どちらかだけがという訳ではなく、どちらも夾にとって尊い存在なのだろうなと感じられたエピソードだった