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とても良い

久島鴎とのエピソードは、おそらく、子供のころのワクワクする体験の再演を描こうとするものだ。だが、俺はその体験の前提として描かれているコミュニケーションのあり方に注目してしまう。羽依里と鴎は、何の脈絡もなく遭遇し、ただ空が青いということを何の含みもなく共感し合うのだ。人間の私的なコミュニケーションはかくあるべきである。これが現代ではどんなに難しいことか。もはやそんなコミュニケーションの存在すら怪しい現実を俺たちは生きている。しかしそれは確実にあったのだと思う。思い出すのは、俺の祖母が甘味を食べるたびに「甘かね~」とただつぶやくことだ。祖母は、純粋にただ甘いという意味だけをつぶやきに込めている。純粋にただ甘いということが豊かなことだった時代の痕跡である。サマーポケッツはそういう感性を薄っすらとだが思い出させてくれる。展開が遅いだとか、そういうことは些細なことであり、その一点のみで観ることができるアニメである。



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