引き離された運命の裏を返せば、そこに気づくのは吉乃の想い。そして、兼次は愛姫に手を回し、不安定な心につけ込んで政宗への想いを惑わそうとする。
両極から引き裂かれようという愛姫と政宗には、運命のいたずらを感じるようだった。
女子大生みたいな女子中学生の余裕をまざまざと見せつけられる佐城くんだけど、その心は愛華だけを見据えていて。でも、その愛華さんの目には、佐城くんが誤解されて映っていた…。どーすんのこれ〜〜!!
水溜まりの水飛沫を愛華の代わりに被って、ずぶ濡れになってしまった佐城。そんなカッコいい姿を見せた代償は安くなく、佐城は風邪に倒れてしまった。
だからこその、今度は愛華のターン。熱にうなされる佐城に何もできないもどかしさ、佐城も自分を頼ってくれないじれったさにむくれてしまう。でも、そんなモヤモヤを晴らすお見舞いは、愛華から佐城への新たな一歩のように見えていた。そして、そんな前のめりになっていた愛華だったからこそ、佐城からの「かわいい」もいつも以上に効いていたのだと思う。
佐城を前に、佐々木は愛華への想いの芽生えを宣言した。かといって、佐城はそれを止めはしない。佐城にとって、もう愛華は追いかけるヒロインではなく、遠くから眺める推しなのだ。だから、そこに佐々木を止める権利も道理もないというのが、佐城自身が自分に言い聞かせる理屈。
なんだかそんな佐城は、自分自身に暗示をかけてるようにも見えていた。愛華に向けた佐々木の想いにはモヤモヤした気持ちを抱きつつも、決して佐々木には勝てないという敗北を現実のものにしたくないために、佐城は愛華への正直な気持ちを押し殺しているように映っていた。
だから、佐城は最終的に、愛華から距離を取ったことで愛華に友だちが増えたと逃げた自分自身を肯定しつつも、佐々木がそこにつけ込むことにははっきりとイヤだと自覚した。そして、同時に、距離を置こうとする佐城に対して、愛華も黙っていられずに、距離を詰める。
結局、佐城は愛華への想いを切り捨てられないし、愛華もそっけない素振りを見せておきながらも、勝手にどこかへ行こうとしてしまう佐城をそのままにできない。なんてもどかしい、なんて夢のない現実主義の恋愛なのだろうかと焦らされる思いが募るようだった。
弟かわいさ故の意地悪さの裏に、本当は弟を想う思いを抱える姉・楓。そして、そんな姉からの肯定の言葉を真に受けられない佐城くん。それに、そんな自分を否定し続ける佐城のことが許せないもどかしさに思わず熱くなってしまう愛華さん。なんだかみんな青春が下手くそで、いじらしさと愛おしさに包まれてしまう。
中でも、愛華の上手く察してくれない佐城に向けた苛立ちもそうだし、そんな風に嫉妬して怒っちゃって素直になれない自分自身にも嫌気が刺している姿は、あまりにも不器用で愛おしすぎる…………。
でも一方で、人の心情はやたら推し量れるくせに、自分のことは何も正しく掴めてるつもりで掴めてない佐城くんの不器用さと鈍感さ、憎らしいほどにもどかしい。そして、そんなこびりついたような自己肯定感の欠如といった空虚さの中にこそ、不思議とどこか満たされるものがあることも事実なように感じる。
ロリママに、ロリ従妹にロリ叔母とロリかわすぎるだろ
髪切った愛姫さまもかわいい
よしのんの素顔みたいなものもなんだか微笑ましくて良かったです
五組とアクシズですと言われなきゃProject no.9かと思うような全体的な雰囲気の、ここ最近よく見かけるタイプのラノベラブコメアニメ
ヒロインに熱烈アタックし続けていた主人公と、それに戸惑い半分ツンデレ半分で嫌々してしまうヒロインだけれど、主人公は遂に嫌々を真に受けてしまってヒロインのことも一歩引いた推しに留める程度に諦めてしまって……というお話。
なんつーか、もう、バカバカバカバカバカバカ〜〜〜〜〜!!!!!!と言いたくなって仕方ない二人の想いのちぐはぐさに微笑ましさと無垢な純粋さを感じるよう。特に、ツンデレが空回って半ばそっぽを向かれてしまったヒロイン・愛華が、この期に及んでも素直になれずに怒り返すことしかできない姿は、言いようのない寂しさと切なさとムカつきが入り混じった感情だった。
長崎そよは燈を取り戻したい。だから、彼女は愛音のバンドの誘いに乗った。でも、そこで愛音はただ良いように利用されているだけのようでもあって、愛音のやり直しの形は知らないところで歪に歪み始めているようにも見えていた。
それでいて、燈はそよを誘ったという愛音の言葉を聞いて、もう自分はいらない子ということを自ら心に刻み込む。立希もそよによってバンドに誘われるけど、自分はもちろん、燈もやるわけないと突っぱねる。でも、燈の愛音の言葉の受け取り方も、立希の勝手な燈の気持ちの理解も、点で的外れ。思いやりごっこに迷って、ままならないのだ。
だからこそ、「本当はバンド、やりたいんじゃないの?」という愛音の燈への問いかけが印象的だった。直接語りかけるその言葉は、燈自身ですら気付かないようにしていた心の奥底に踏み込むと同時に、本当の燈と向き合う本当の思いやりのように見えていた。これこそが、愛音があげられる、彼女たちの隙間を埋められるピースなのかもしれないと感じた。
一度壊れてしまった彼女たちの物語、そんな幕開けだった。
前の学校でのトラブルから、羽丘に転校してきた千早愛音。彼女は「やり直す」ことを決意に、人間関係も計算しながら渡り歩く。そんな下手なりにも、生きることの上手さを持っている姿を、愛音は感じさせるようだった。
一方で、高松燈もかつて所属していたバンドが壊れて、その負い目を自分自身に抱えていた。そんな彼女が口にするのは、「またダメになるから…、もうやらない」という言葉。そんな燈だけど、かつてバンドのみんなで作った曲のノートを手元に残している姿には、押し込めた本音を汲み取ることができるようにも思えた。
そして、それに呼応するように、巡り合った愛音が燈をバンドへと誘う。そんな愛音は、「一度壊れても、またやり直せばいい」と燈に教えているように見えていた。
でもきっと、それは少し違うのだと思う。かつて燈とバンドメンバーを共にした椎名立希が割って入ったように、燈たちにとって、かつてのバンドはただバラバラに壊れてしまったのではないように思う。それは、大事なピースが欠けて壊れてしまっていたというようなことで、ただ愛音が気まぐれに埋められるような燈の心の隙間ではないように映っていた。
ままならないままに壊れてしまった彼女たちは、元に戻るにせよ、新たに立ち上がるにせよ、ままならずに迷い続けているようだった。