サービス開始日: 2017-06-27 (3201日目)
Liviumanの代表が投石であっけなく死亡。それを口実に不滅教団へ攻撃を始める展開は、戸惑いはありつつも正義のように見えていた。
一方で、宇佐美と共にその不滅教団の内部へ招かれたキルコとマルが目にしたのは、保護された人々と、そして死ねば人食いになる病のために生命維持装置に繋がれた少女。さらに、その少女を人のまま死なすために、マルの力を借りたいという宇佐美はLiviumanが言うような悪には到底思えなかった。
だから、そこにあるのは正義と正義の対立のような争いとも違う、真実が迷子になってしまったような光景に見えていた。マルが教団施設の地下で人食いを殺したことが保護下の人々を追い出すことになってしまったり、病の少女を死なせたことが宇佐美が自殺する理由になったりしたことも、そんな真実の迷子を表しているように映っていた。
地下で人食いを飼っているという不滅教団の建物に潜入するキルコとマル。やや久しい人食いとの戦いを前にした緊張感の中で、やはり人類の敵は人食いというこの世界観のルールを思い出されるような感覚があった。
だけど、マルがキルコに指摘したのは、これも以前のようにハメられたんじゃないか?という
こと。やはり人類の敵は何よりも人類なのかもしれないという最悪が上書きするようによぎるようだった。
しかし、キルコが人食いに襲われて、手足を食い千切られて……、というのも正気を取り戻したら幻覚だったという一幕はますます人こそが人の敵なのかもしれないという疑惑を加速させるような印象すらあった。
マルから「そんなに銃で正確に狙えるのは〜」と言われたことで、自分が役に立つと頼られたことで、熊に挑む勇気を得たキルコが印象的だった。男と男となったことで僅かだけど距離ができたような二人が再び近付いて、そして新たな関係に踏み出したような気すらするようだった。
新生「迷子」の初ライブ。「みんな迷ってぶつかって、でも今ここにいる」「だから、もう一生離さないから」という燈の叫びであり、誓いを改めて宣言するステージとして映っていた。
そんな中で思うのは、仲が良いだけじゃない5人が居場所を求め集うこのバンドは、どんよりとした印象と反して、常に未来向きなのかもしれないということだった。ずっと未完成だからこそ、もがき続けなければいけなくて、前に進むしかなくて。燈がこの5人のことを「MyGO」と綴ったのも、そういうことなのかもしれないと気付かされるワンシーンだった。
最初のきっかけのところはみんなバラバラで最悪かもしれないけど、それでも一つのバンドとして一つの方向へと再び踏み出せそうな5人になることができた。だから、新曲作り、衣装作り、バンド名の思案というのも5人が一つになるきっかけのための儀式のように見えていた。
そして、「迷子」というバンド名も一度衝突を経て、お互いに最悪な本音を言い合って、それでもまた同じ方向を向こうという彼女たちにぴったりで、合ってないことが合ってるみたいところに「迷子」を感じるようだった。だから、そよの素の感情を隠さずに苛立つ姿なんかも、一見険悪そうなところを隠さないからこそ徐々に分かり合えている「迷子」らしさがあるように思えるものだった。
ユニットごとのオーディションで挑むアンサンブルコンテスト。初手で麗奈は「なぁなぁで済ませるのはキラい」と言い切っていた。
一方で、久美子は部長として部内のバランスを取るためにも、どこかふわふわと優柔不断そうな姿にも見えるようだった。
もちろん、久美子にもその自覚はあって、かつての小笠原部長の「優しいなんて、他にほめるところがない人に言うセリフでしょ」という叫びを思い出し、部長・大前久美子を演じるような波風を立てないやり方に葛藤を覗かせる。
一方で、鎧塚みぞれは「窓を開けるのが上手いね」と遠回しに久美子のバランスサーとしての立ち回りを肯定してくれる。それは、かつて彼女自身が部内のいざこざのただ中にいたからこその視点であり、的確な評価であることに間違いはないはず。
そんな右に振れ、左に振れた久美子が描く部長像というのは、アンサンブルのユニット練習でいざ固まってきたように見えていた。麗奈の厳しい結果第一のコントロールは確かに正しいと久美子も評していたが、ユニット内の余裕のなさを生んでいることも明らかではあった。
だから、久美子が部長として振るタクトというのは、みんなそれぞれに客観的な視点に基づいて、それぞれが主観的に受け取れるよう導くようなアドバイスだった。棘を立てないが、実力や結果も求めるそれは、決して「なぁなぁ」ではなかった。それに、それはいつも裏を取ったような視点の発言や発想をする久美子だからこそできる彼女らしい部長像のようにも感じた。
それ故の、釜井つばめに新しい気付きを与えて実力を引き出し、そして自信を付けさせていくシーン。それは、大前久美子部長体制を象徴するものだったと後々振り返られる場面になるであろうものだった。
そして、もちろん校内オーディションに敗れた麗奈の瞳に映る悔しさは、久美子にも北宇治での初心に再び火を点けるもの。そんな剛柔合わせた大前久美子のタクトがコンクールへと北宇治を導く予感を残すようだった。
「ちゃんと言えたら、ちゃんと話せたら…」という後悔の中にいる燈の心に射したのは、歌なら伝えられる気がするかもという気付き。だから、燈は一人ライブで「この詩が届くその時まで歌い続ける決めたんだ」とポエトリーリーディングを叫ぶことにしたのだと思う。
すると、また楽奈や立希も集まってきて、新しい出発を踏み出せた。そして、「言葉にしなきゃ伝わんない」という覚悟のもとに、「愛音ちゃんにギター弾いて欲しい」と言って、「一緒に迷子になろう」と燈は自分の言葉で愛音に伝えることができるように一つ変われたように見えていた。
そして、その「一緒に迷子になろう」というのは、きっかけは何でもいい、一緒にバンドさえできればそれだけでいいという救いの言葉のように聞こえるものだった。愛音にとっては、きっかけは見栄でもいいから、愛音のことが必要ということで。そよにとっても、全部ぐちゃぐちゃに迷って心無いことを言ってしまっても、今を一緒にいてくれればそれでいいということのように思えるものように聞こえていた。