中年二人の会話が沁みる…
「お前、さっき前みたいには書けないって言ったよな?本当は書けないんじゃなくて書かないんだろ。昔とおんなじような気持ちでなきゃ書いちゃいけねえと思ってんだ。そうじゃねえと過去の自分に失望されちまう… おまえを邪魔してんのはおまえだよ。」
九条ちひろは近藤正己に思い出を語りに来たわけじゃなかった。ファミレス店長をやりながら夢一個で生きている男に、自分を妨げているのは年齢でも才能の無さでもなく自分自身だと言いに来た、背中を押しに来たってことか。文学でも芸術でも音楽でも、世間に認められるという価値軸とは別に、自分の表現欲に忠実に生きるという価値軸があると思う。その執着があるのなら蓋をするべきではないと、ちひろは言いたいのだと思う。
あきらは陸上に戻るべきと感じ始めているけど、周囲に言われてやることではないという気持ちが先に立って、苛立っている感じかな。陸上に戻ることが店長との決別のように感じられるとすれば尚更。陸上部に戻ればバイトを続けられず、接点を失うことにもなるわけで。自分の店長への思いが何なのか、それをしっかり見つめつつ諸々を離着陸させていく……という感じになりそう。
しかしこの作品、おっさんとJKの距離が縮まるどころか、お互いを知るほどに開いていってる気がする。現実こそがそんなもんだと思うけど、フィクションなんだからもう少し攻めてほしい気がする。
声を荒げる橘さんも新鮮で良いね。
持つべきものは友とお節介は紙一重。橘さんの背中を喜屋武さんが、店長の背中を九条が押そうとする。でも、周りがやきもきしてる以上に本人が焦ってるのかな。店長はその感情とのつき合いが長いから橘さんよりは上手く処理してる。
店長もあきらも夢に向かって一歩足を踏み出そうかと葛藤してる回。描写一つに心の機微がしっかり伝わるのがいいな。
ほほ染めはやめて。文学を書く側にとっては毒かもな。主人公はもう空も見上げてないということだろうか。
彼女にはいろんな「友達」がいるわけだけど、それぞれの距離感が目に見え始めた。
生き方について考える回。あきらは陸上のこと、店長は小説のこと。テレビばかり見てちゃダメだなぁ。
素直になれ!
あー、やっぱ面白いな。
充宮本の距離感、良き。
はるか が橘のバイト先に来て、部活復帰を願う。
ちひろ が店長の家に来て、橘の葛藤。
また走ろう。また書け。
それぞれ友達に背中押される。
一気に恋愛から離れた。
2021.08.19
店長があきらに、部活、陸上とは言わずに、「学校とか」と逃げの問いかけ。
サイフォンは、もっとうるさかったような。
ちひろの「なんちゃって」は、「仮面の忍者赤影」青影のダイジョーブが元ネタ?
心を見る回でしたね……とても良かった!