「ヨルさん暗殺者設定」の問題点
本編でのヨルさんの台詞を要約すると
「今まで弟のため、生活のために殺し屋をしてきた。
今後は、理不尽な犠牲から人々を守るため危険でも続ける。」
このことから本人は
(所属組織は常に正しく、自分は悪人しか殺していない。)
という認識なのだと推測できる。
ここで自分が感じた違和感を言語化すると、
彼女は〈葛藤や罪悪感〉や〈正義への思想〉がごっそり
抜け落ちた〝欠落のある歪なキャラ〟であるはずなのだ。
しかしながら、作中ではこの異常な精神面に一切触れず、
《戦うヨルさんかっこいい》を全面に押し出してしまっている。
これは、《子どもが観る上で危うい要素》だと言えるし、
本作は幅広く指示されるべき優れた作品でも無いと思う。
見方で変わる『物語』の捉え方
■ジャンル的な視点
少年漫画的
「目標を達成するための物語」
巨悪殲滅、全国制覇、恋愛成就など。
なろう的
「願望を満たすための物語」
人生やり直し、知識無双、スローライフなど。
この作品は、しっかり研究を重ね
『既存の良い所を上手く束ねた物語』と映ったりもする。
■キャラ個別の視点
「勇者PTが魔王を倒す物語」が終わり、
「人の想いや感情を知る物語」が続いていく。
だが旅をする仲間、すれ違う人々、倒した魔族など、
フリーレンに限らず彼らにも歩んで来た道があるはずだ。
この作品は、断片情報からの想像で
『それぞれが主人公になり得る物語』と感じる人もいるだろう。
■テーマ的な視点
魔族は人間の捕食者であり、人間の価値観を理解できない。
しかしコミュニケーションが全て成立しないわけでもない。
では人間側は《魔族を全て殺し尽くして解決》で良いのか。
うまく共存はできなくても、敵対以外の可能性は無いのか。
この作品は、異質な魔族の設定を用いた
『相容れない者同士がどう決着するかの物語』とも言えよう。
■メタ的な神の視点
かつての仲間も敵も見送ってきた葬送のフリーレン。
主人公は《歴史の観察者》であり、故に物語は淡々と進む。
私たち観測者は、"中間"に立つ彼女を介して様々な物語を集積し、
1人だけが世界を救ったわけではないことを徐々に理解していく。
この作品は、ヒンメルの死を軸とした
『世界の変化を俯瞰し見守れる物語』と受け取ることもできそうだ。
『大衆化と凡庸化』
■作者のやりたいこと
「キャラに愛着がゼロ」「いろいろ諦めた結果のリハビリ作品」
驚いたことに作者自身が公式ファンブックでこのように言っている。
つまり、始めからウケ狙いで作られた工業製品的な作品ということだ。
その事自体に問題は無い。練られた序盤が上手くハマったのだろう。
しかし話が進むにつれ、この手法の悪いところが表に現れてしまった。
■作られたキャラクター性
《ヨルさんの暗殺設定》が宙に浮いてしまったっぽいのが解りやすい。
緩くて温和な性格と、冷酷な暗殺業では整合性が取れないのだろう。
また、〈姉好きのユーリ〉や〈ロイド好きの夜帷〉が登場したが、
上辺だけというか、人間味や信念が感じ取れずあまり感情移入できない。
極端な言動が、リアリティーや知能まで低下させているように見える。
■薄く引き伸ばされた脚本
最終話は良かったが、2クール目の盛り上がり所は非常に少なかった。
学校に体操着を届ける道中で作画リソースを開放してしまう程だ。
またロイドは、病院勤めの描写が加わってスパイ活動の比重が下げられ、
アーニャは、別に心を読まなくても大丈夫な普通の子に近づいていった。
家族になっていく《変化》が終わり、《安定》がベースとなってしまった。
■感想まとめ
シリアスとして決めて欲しいのに、途中で緊張感が無くなったり、
コメディーとして笑いたいのに、オチがイマイチ弱かったりする。
「家族向けとして楽しむ作品」と言われれば納得できるが、
「クオリティーが高い作品」と持ち上げられるのは変だなと思う。
〝自分と世間との評価のズレ〟を認識させられたようで今後が不安だ。
ぼっち・ざ・ろっく! 4コマ原作とは思えぬ引力
■部活動の枠を超えたストーリー性
主人公は、頑張らないと人生詰むキャラとして明示されており、
『音楽で成り上がるor自分を変えていく』という大きな目標が存在する。
[中学の3年間で毎日6時間練習し、動画投稿で実力を発揮。]
[バンド活動で凄腕JKギタリストとして徐々に注目されていく。]
尖った設定だが、付箋だらけのギター本からも一定の説得力が感じられる。
■『陰キャVS陽キャ』ではない空気感
後藤ひとりは、重度のコミュ障として心配され盛大にイジられてはいるが、
そのヤバいネガティブ思考も、自分は《立派な個性》だと見ることができた。
山田「ぼっち、面白いのに。」という台詞や、歌詞作りへの助言からも、
作中では決して《本来こうあるべき》という描かれ方はしていないはずだ。
社交的な喜多の魅力もより眩しく際立って、良い関係性が築かれている。
■CloverWorksにおける演出
表現が柔軟かつ多彩。アニメならではの崩し方などでセンスが良い。
顔面崩壊や爆発四散など、その奇抜さ自体がキャラ性の一部に出来ている。
また〈妄想パートでの周りの進行〉〈コミュニケーションの成立度〉など、
会話の状況や性質にまで気を使い、脚本段階から構想を詰めていたそうだ。
視聴者を飽きさせない工夫やテンポ感が、映像面での完成度を高めている。
■原作者を活かした制作体制
[キャラデザ/背景美術/楽器設定/脚本会議/アフレコ/楽曲制作]など、
原作者が制作にがっつり関わることで、作品の土台部分が強化されている。
特に楽曲制作では、デモや仮歌、ボーカル収録にも立ち会い、
演奏シーンでは、キャラの細かい仕草にも意見が反映されているとか。
密な連携を図ることで、バンド作品として音楽面での完成度も高めている。
■原作理解度の高いシナリオ
6話〈路上ライブでの内面の変化と成長〉
8話〈仲間のピンチに駆けつけるヒーロー〉
12話〈ヒーロの復活を信じて待つヒロイン〉
このポイントをしっかりと決めきった脚本構成は優秀に見える。
「今日もバイトかぁ」とBパートを経て日常に戻っていく終わり方は、
《自分の居るべき場所》という小さな認識の変化が感慨深くて納得できた。
■物語とリンクした演奏パート
〝失敗しても互いに支え合う関係性〟それこそが《結束バンド》であり、
ぼっちのソロパート復帰を信じ、体で虹夏に支持を出す山田には感動した。
《ぼっちちゃんが作詞し、喜多ちゃんが歌う。》この発明が凄くて、
ひとりの内面だけでなく、お互いの双方向でも強い意味が生まれている。
この辺に感情移入できるかどうかでも作品の評価は変わってくるだろう。
■総評まとめ(86点)
力のある原作を、力のある制作陣が、力を注いで作った大成功作。
とにかく全員で良い作品を作ろうとする熱量がずば抜けていると感じた。
シンプルなキャラデザで目立たないが、全体的な作画や背景も良かった。
自分に刺さった曲も多く、直ぐにサブスクで聞けるのも良かった。
楽器ギターそのものや、想いを乗せるロック音楽にも興味が持てた。
シリアスな作劇が出来てない(3話中心)
◆序盤での苦戦
扶桑が〈棒立ちで被弾〉するのが良くない。
ここは善戦しつつも〈躱し切れずに被弾〉すべきでは。
十字交差する魚雷を際どく躱すところも、
見せ場に出来るはずなのに全く緊張感を出せていない。
血が流れて「え?」ってなる場面も覚悟不足に映ってしまう。
◆中盤での反撃
照明弾からの援軍で戦況が変わるところで、
暗いBGMが同じ調子で流れ続けていて違和感がある。
戦艦級が3隻も登場するならもっと演出で盛り上げて欲しい。
大和は最大火力なのに悠長に会話させるのもちょっと。
ゲームのセリフが優先されてイマイチ状況に噛み合っていない。
◆終盤での特攻
大量に援軍が来た後で山城が特攻する思考回路解らない。
〝このままでは勝てないという描写〟が絶対に必要。
重い戦艦が軽い駆逐艦に乗ってジャンプするのは意味不明。
魚雷も躱せてしまう程の何でもありになるので許容できない。
相打ちっぽくボスを倒したのに全くカタルシスが無い。
◆感想まとめ
せっかくの暗い雰囲気作りが3話で台無しになってしまった。
テンポも悪く尺が余ってるのに必要な描写をサボりすぎている。
全体的に脚本/演出/音響の力量不足を感じる。
キャラデザ周りは上手いと思う。妖精さんは可愛い。
2話での偵察や制空争いは丁寧でとても良かった。
『リコリス・リコイル』 【55点】
表面的な豪華さで勝ち切った作品
■乱雑なテーマ
前半は
『ガンアクションと喫茶リコリコ』(千束×たきな)
後半は
『治安組織の正義VS反体制組織の正義』(千束×真島)
『アラン機関の理想VS千束の理想』(吉松×ミカ)
前半は解りやすかったが、後半は詰め込み過ぎだった。
■芯のないシナリオ
《DA組織=なぜか存在できている無能な既得権益集団》
《アラン機関=存在意義すら不明な狂ってる奴ら》
〈真島はバランス正義マンとして暴れたいだけ〉
〈千束は現状を楽しんでできることをしたいだけ〉
〈たきなは自由に考えて千束を助けたいだけ〉
真島が便利屋として派手に動いているだけというか、
どこにも〝物語の真っ当な対立軸〟が見えてこない。
■違和感のある脚本
序盤で「制服には迷彩効果がある」と説明したにも関わらず、
中盤で「制服のせいで正体がバレる」展開が起きた。
これは視聴者が設定部分で混乱させられるので、どうかと思う。
終盤に「リコリス部隊の全員処分」が突如決定され、
楠木司令官が拘束を逃れてトイレから指示をするシーン。
シリアスなはずの場面が、ギャグ的な見せ方で突破してて変に感じる。
一般人が簡単に銃を発砲したり、宣伝を信じたりする所も辛かった。
■感想まとめ
とにかくやりたいシーンを詰め込むのが優先で、
目的の掘り下げや展開の納得感などに練り込み不足を感じる。
モブのリコリスが殺されるようなシリアスは扱いきれてなかった。
キャラデザ/作画/テンポ/掛け合い/引き(ED曲)は良くて、
真島が出て来ない前半までなら良い作品だったと思う。
宣伝力もあってかこの内容でこんなに売れてしまうのは、
業界のストーリー軽視が一層進みそうでなげかわしい。
『Extreme Hearts』 【65点】
作家性溢れる優しい世界観
■作品の紹介
夢を上手く形にできずにもがいていた主人公が、
良き仲間と出会って、再び挑戦する青春ストーリー。
アイドル活動の延長上にあるスポーツ大会で上を目指す。
ギアやロボの存在が、いい感じに物語の進行を支えている。
■自分が感じた魅力
努力と根性がしっかりドラマに組み込まれていて、
全力で取り組んで真剣に勝ちを目指す姿に感動できる。
この作品、この作家ならではの空気感の良さがあって、
「昔~が好きだった」的な懐かしい感情を思い出させてくれる。
新メンバー勧誘時の、まっすぐで真摯な態度には好感が持てた。
ED曲でのイラストがとても凛々しく、作品の良さが詰まっている。
■感想まとめ
観てる人は少ないかもしれないが、
制作の頑張りが感じられる良いアニオリ作品だった思う。
序盤で視聴者を上手く掴めなかったのと、
敵チームのキャラが多過ぎたのが改善ポイントだろうか。
葉山所長は高校2年生でありながら、
[事務所の管理運営/作詞作曲振り付け/リーダーと外交/練習と試合]
などとんでもない仕事量をこなしていて相当ヤバかった。
最後の72ヶ月分割払いが結構大変そうで、設定が良い味を出していた。
『咲う アルスノトリア すんっ!』【60点】
メインストーリーを排した異色作
■用意されていた仕掛け
最終回ラストの構図を見ることで、
1話で登場した「輪郭がぼやけた人物」が、
本来の主人公(プレイヤー)だったことが解る。
中盤、主人公はヒロインから「新任教師」と呼ばれ、
既に騎士と交戦し終わったと思われる会話が展開されている。
つまり本作は、主人公視点をごっそりカットしたまま、
周辺キャラだけで時間を進めていく構造だったと考えられる。
■Warningパートについて
どうやらカルト教団が蔓延してる世界で、
(少女の生贄や集団自殺があるとか)
騎士達は邪教を正そうと異端狩りをしているようだ。
主人公は、恐らくカルト教団側の切り札で、
騎士からは「聞くもの」と呼ばれ対立してるっぽい。
《カワイイとカッコイイ》が作品のコンセプトらしく、
《緩い日常と激しい戦場》が良いギャップを演出している。
■製作側がしたかったこと
「どんなストーリーなのか気になる」
「ヒロインと騎士達の戦いが観たい」
そう思ってゲームを始めてもらえれば成功なのだろうが、
序盤から視聴者を置いてけぼりにし過ぎてしまった。
最後まで観た視聴者も、虚無だったと憤慨する声がありそうだ。
なのでアニメ作品としてもゲーム宣伝としても、
上手くはなかったかもしれない。攻めた姿勢は評価したいけど。
■感想まとめ
序盤で切りかけたが、挑戦的な脚本構成と、
戦闘があるかもしれない緊張感で観続けられた。
ゲームプレイ済みのファンが一番得をしていそうな作品。
作画に関しては、かなり上位の力があったと思う。
特にリッチな背景と多彩なカメラ位置には驚かされた。
音楽とOP曲が好みで良かった。
お嬢様キャラのピカトリクスが1番可愛かった。
『まちカドまぞく 2丁目』 78点
シャミ子だからできる「みんな仲良く」
■作品紹介
1期で最弱だったシャミ子が、良好な人間関係を構築して、
町を守るボスとして力を付けていくお話。
日常系をしつつ、ストーリーもしっかり展開している。
いつも流れている温かい空気感が魅力で、
ひとえに優子の「優しさ」こそが作品の核となっている。
■盛り上がるのは6話
《シャミ子の笑顔を守りたいと決めたモモ》
《ずっと暗かったモモの笑顔が見れたシャミ子》
ここまでお互い違う思考で動いてきたにも関わらず、
この瞬間を1つのゴールとしてタイトルを回収しており、
溜めに溜めた演出も効いてカタルシスが凄かった。
2人の関係性が変わる極めて尊いシーン。
■その他の感想
新キャラの「店長」と「リコくん」は、
なかなか良い性格をしていてギャグに安定感があった。
「闇堕ちモモ」の属性的な設定は面白かった。
モモをイジろうと調子に乗るシャミ子も可愛い。
不明な設定の多さが足を引っ張ってる感じもするが、
1期より良かったと思う。長い目で応援したくなる作品。
『true tears』 94点 ※再視聴して書き直しました
全てが美しく整った奇跡の作品
■作品の紹介
P.A.WORKSの第1作目にして出世作。2008年の冬アニメ。
この作品を観た麻枝准氏が『Angel Beats!』の製作依頼を決めたようで、
当時から映像面でのクオリティーが秀でていたことが伺える。
またDVDは2千枚しか売れなかったが、BD生産で1万枚もの注文が入った。
時間が経ってから作品の質が認められた正真正銘の名作である。
■作品の見どころ
"涙"をテーマにした恋愛ドラマ。雪が印象に残る青春群像劇。
恋の発生から、苦しみ出した結論までしっかり描かれている。
登場人物の内面は、短い言葉や表情や暗喩で示されることが多く、
想像の余地を残した"余白"が視聴者の没入感を高めている。
タイプが異なる2人のヒロインの魅力が遺憾なく発揮されている。
■石動乃絵(いするぎのえ)
いわゆる不思議ちゃん。人の心を見抜く独自の感性を持っている。
自分と鶏を重ね、高く飛ぶことが夢。主人公にその資質を見出す。
終盤[真心の想像力]には自信があったにも関わらず、
〈相手の真の感情〉に対して何も見抜けないことを悟り絶望する。
冬が終わり、失恋を実感した時、彼女は《真実の涙》に辿り着く。
■湯浅比呂美(ゆあさひろみ)
幼馴染で主人公が好き。しかし家族内で精神的な圧迫を受けていた。
その後、一人暮らしを決断してからは本来の自分を取り戻していく。
終盤[女性の強み]を理解し計算高く駆け引きをするが、
〈自分の醜い感情〉を自覚してからは待つことに力を注いだ。
最後は告白され「嫌」と拒みつつも、彼女は《真実の涙》を流す。
■仲上眞一郎(なかがみしんいちろう)
酒蔵を営む家のひとり息子。周囲からは「坊っちゃん」と呼ばれる。
踊り役の花形を任されていることから、容姿も良いと考えられる。
普段は絵本作家になるという夢に向けて日々努力を重ねており、
終盤では、恋愛で受け身だった自分に気づき誠実であろうと努めた。
状況に流されがちではあるが、女性からの好感度が高いのは納得がいく。
■ノエヒロミ戦争
乃絵派「あの腹黒女許せねー」、比呂美派「あんな電波女ありえん」
など両者の溝は深く、当時はコメントでも掴み合いレベルの抗争が頻発した。
これは視聴者が、理想と現実どちらを重視しているかで好みが分かれ、
今風に言えば、陰キャと陽キャが相容れない現象と似ているかもしれない。
この様な対立感情が生まれること自体が面白く、脚本の巧さが垣間見える。
■総評まとめ
本作は、飛ばない鶏や絵本でのダイブからも示唆されているように、
〝選択をして前に進む意思の形〟を多様な視点で描いた物語だと言えよう。
最後に乃絵がたたずんで主題歌が流れ続けるシーンは本当に凄くて、
とても切なく、だけど気高く歩みだそうとする最高に美しい絵にみえた。
観る度に新しい発見があり、評価は上がり続けるばかりだ。
『スーパーカブ』 73点
■作品の魅力
カブとの出会いで徐々に変わっていく生活。
空気感が伝わる作画や音響。
多くは語らず笑顔だけで物語に引き込む演出。
そんな序盤の雰囲気の良さは群を抜いていたと思う。
懸命にバイトに注力する主人公の姿も新鮮だった。
■ツッコミどころのあるシナリオ
5話の礼子回…山頂凸展開が異質で狂気じみてる問題。
6話の旅行回…小熊さん不良化&道交法違反問題。
11話の救出回…連絡しないし前カゴ乗せるし問題。
この辺を上手くフォローできてればだいぶ印象は違ったはず。
まあそれが礼子であり小熊というキャラなのだろう。
(善悪は別で、行動を否定しているわけではない。)
■感想まとめ
《スーパーカブ=救世主》というテーマで一貫性があった。
現実にある謎のカブ信仰を上手く作品に落とし込んでると思う。
中盤以降の小熊のイキった態度については、
〝気兼ねなく自分を出せるようになった現れ〟として受け取れた。
むしろ年相応で大変微笑ましかった。
『平穏世代の韋駄天達』 85点 ※再視聴して書き直しました
「人間」を取り扱った神と悪魔の抗争
■表のテーマは『価値観を揺さぶるエンタメバトル』
《人間のため魔族を滅ぼしたい韋駄天側》
《人間を利用して繁栄し続けたい魔族側》
韋駄天側では上位存在ゆえの危うい視点を見せ、
逆に魔族側では人間的な感情や欲求を描いている。
直接戦闘に加え、頭脳戦を重視する展開が抜群に面白い。
■裏のテーマは『人間讃歌へのアンチテーゼ』
・人間を搾取する魔族
・祈ることしかできない人間
・その思念から生み出される韋駄天
人間代表のシスターは、魔族側には凌辱され、
韋駄天側には思想が薄っぺらいと一蹴されてしまう。
人間は物語の主役にはなれず、
〝簡単には救われない存在〟という立ち位置を貫いている。
■感想まとめ
エロ描写や残虐性などで人は選ぶだろうが、
早く続きが観たくなる純粋な面白さがあったと思う。
中途半端なぶつ切りエンドは残念だが、
埋もれた良作を高品質で世に出してくれたことは評価したい。
鳥属性のポーラちゃんはマジ天使かと思える可愛さだった。