今回もレベルの高い作画だった。瞳が引き戸を開けるときに、非力なので体重をかけて開けているのが表現されていて唸る。階段の踊り場での捜査会議のシーン、学校制服にちゃんと肩パッド入ってる感が表現されているのが素晴らしい。
原作の今回該当部分を読んだときの衝撃をよく覚えている。短編での出来事が長編で伏線として機能し、二つの流れが一つに合流する興奮。日常の象徴のような恭子の「あたし、何も知らずに死にたくない」という肺腑を抉るような言葉。
今回アニメ版がそのとき衝撃を超えたかというと、残念ながら答は否だ。
まあ、同じ内容なら二度目は一度目に比べて確実に衝撃は弱くなるんだけど。とはいえ、恭子の台詞なんかは大幅に削られていて、鋭さがかなり減じてしまっていたりする。敵との圧倒的な力の差も、それに対して決してあきらめることなく抵抗し続ける宗介やテッサ達のタフさも、原作に比べると随分と弱く感じた。
トゥアハー・デ・ダナンがべへモスに体当たりを仕掛けるシーンなんかは、べへモスの壊れ方も見事で、映像で見られてよかったと思えたシーンの一つ。
いよいよ、ロボット物としての真価が問われるAS戦。前作までは手描きだったASが今作では3DCGになったが、3DCGが苦手としていて手間もかかるダメージ描写も頑張っているし、手描きだと枚数を喰うべへモスのゆっくりとした動きなども3DCGでなければ難しいだろう。ディテールの描写も、演出面・作画面ともに自分の目から見て問題はない。
なのに、どうしてだろう、見ていてイマイチ盛り上がり切らない。確かに、主人公サイドが追い込まれる展開が続くので、大きなカタルシスは難しい局面ではあるのだが、にしたってもう少し抑揚があってもいいのでは。素人考えだが、例えばBGMの使い方を変えれば、フィルムから受ける印象も変わったりするのかなあ。