つまり九郎はツンデレであったことが判る最終回(えー
九郎が琴子を大切に想っていると察せられる場面はこれまでも有ったが、言葉にしたのは初めて。
ようやく二人は恋人らしい恋人に見えたのでした
今回は秩序を重んじる琴子が秩序を壊そうとした六花の企みを砕いてあるべき秩序を取り戻した
だからこのエピローグで描かれるのは有るべき世の姿。
これまで琴子の恋人らしい姿を見せなかった九郎がここに来て琴子を巻き込みたくないとの想いや怪我をする琴子を案じる心を口にした九郎
どちらもしっかり彼氏らしい姿
紗季は世界の裏側を知りつつもう夜の坂道を怖がることはない。最早そこに怪異や鋼人が現れることはないと知っているから
まとめサイトも消え、鋼人七瀬の怪異は別の都市伝説へ。怪異を生み出したネットはドラマを語り現実に影響を及ぼさない場に戻った
秩序は世界だけでなく人の有り様にも
怪異を理由に別れた九郎と紗季。改めての会話で今の九郎は琴子を大事にしているとの変化を知った紗季は怪異を理由とせず離別する。
七瀬かりんに生存の可能性はなく、寺田を殺した犯人が捕まることはない。
どの有り様にも怪異はもう含まれていない
唯一、六花だけは別
九郎と六花は共に不死身であり未来決定能力を持っているが、最大の違いは自分の有り様への対応
九郎が自分の不死性を受け入れているのに対して、六花は神を造り抗おうとしている
九郎は秩序に従い、六花は秩序をひっくり返し秩序を見出そうとしている。だから琴子は六花を許さない
九郎は神話に喩え自分が琴子の傍に居る正当性を語る。でも、二人は神様じゃないし琴子にイワナガヒメの特徴は当て嵌まらない。神話の喩えは二人にとって正しい喩えではない
だから、二人に正しい有り様を示す言葉はその後の九郎の言葉に詰まっている
二人はやはり人間らしい尺度で付き合う方が似合っている
相手をどのようにして納得させるか、という点から始まった本作が紆余曲折を経ながらも大衆を納得させる物語を紡ぎ、虚構を用いて世の有るべき姿を取り戻すストーリー
虚構が持つ力を様々な意味で感じ取らせてくれる作品でも有りましたね
きら星チャレンジで新天体を見つけられなかったみらとあお
でも、彼女らは新天体発見に匹敵する尊いものを幾つも手に入れたように見える
きら星チャレンジに挑むみら達を周囲の大人は優しい表情で見守る。幸は「楽しんで」と声を掛ける
このイベントの目的は天体観測だけど実際はそれだけに留まらない。天体観測に係る経験を得る事が何よりも大切なものだったのだと見えてくる
結局新天体は見つけられない。観測は朝まで掛かったし、勉強は難しいものばかり
でも、そこでの経験は全て天体発見に繋がるもの
きらチャに挑んだからこそ、どうやって見つければ良いかも判らなかった天体を「どうしたら見つけられるか」が判るようになる
そしてみら達のチャレンジは先人による成果が積み重ねとして有り、今回のみら達の成果は後人が天体を見つける際の一つの経験や文献となるわけだね
皆の努力がまるで地層のように積み重ねられていく描写は素晴らしい
天体を見つけられなくてもみら達にはとても貴重な経験となったし、観測に挑んだ時間はとてもキラキラとしたものだった
海をバックにジャンプする四人の少女の絵は関わった全ての人にとっても記憶に残るものになりそう
天文班に地質班、それに気象。新聞部が取材に来て、すずはパンを届けに。地学部の多様性は凄いことになっているけど、余計なものが混じっているという訳じゃなくて、それぞれが持つ要素は互いに趣味や可能性を広げるのに大いに役立っている
地学部の有り様はみら達だけじゃなく、イノ先輩達の夢までも大いに後押ししている
まるで宇宙のように多様な状態になっている地学部でなければ、ここまでキラキラした日々を描くことは出来なかったんだろうなぁ
当初は高校生が星を見つけるなんて大それた夢を1クールアニメで描けるのかと疑問だったのだけど、終わってみればその認識が間違っていたことが判る
部活動なんだもの。目的が叶うだけが全てじゃなくて夢に向かってキラキラした努力をする様を描いてくれた本作は充分に良作と言えるものだったね
綾野遠のショーが描かれるとともに、芸華祭終了に合わせてそれぞれの頑張りの結果が描かれる最終回
やはり遠は別格だったね
ファッションショーだというのにまずブランドロゴ入りTシャツから始めた遠。その自信を裏付けるように披露される服の数々は異次元
育人や心がコンセプトや魅せ方で工夫していたのに、遠は単純にデザイ能力の高さだけで会場を魅せつけてしまった
でも、遠が目指していたのは別のもの。
他の参加者がグランプリを目指していたのに対して、遠だけはバイヤーからの買付を意識していた
そして祖母を超えられなかったから棄権したというわけで。彼にとってはハナからグランプリなんて目に入っていなかったわけだね
それをひっくり返してしまったのが育人になるわけど
遠のチームにパタンナーとして入らなかったから。たった一人のバイヤーに遠よりも育人の服の方が良いと判断させたから。
育人はこの芸華祭で優勝を目指しつつも、遠を見返すことを目標として挑んだ。知らずしてそれは達成されていたわけだ
ただ、育人からすれば今回の結果は悔しいもの
デザインはアイディアに欠けていたと判断されてしまう。それはデザイナーを志す者ととして屈辱的な評価
あまりに悔しいからすぐには口に出せない。
けれど、千雪が促すことでようやく形になる。やはり持つべきものは競い合う友だね
それにしても千雪は今回のショーで才能を力強く主張できたようで
まさかの専属モデルですか
一位を取れるかと不安がる心の尻を叩き、育人に悔しさを話させた。そして自分は最大の結果を手に入れた
芸華祭で先に歩みだした彼女は一歩も二歩もパリに近づいたのかも
ハイペースで進んでいくアニメの物語に付いていくことは中々に難しかったけど、それでも逆境に負けずファッションデザイナーやモデルの夢に喰らいつこうとする彼らの姿には感動してしまうシーンも有った。
でも、じっくりと描いて欲しかった気持ちはやはり消えないなぁ……
ソマリを害されそうになり暴走したゴーレム。その姿は化け物と呼ぶしか無い。
無機質で理解不能。けれど、本作はゴーレムが感情を手に入れていく物語。ゴーレムが化け物になることはない
暴走したゴーレムはローザだけでなくヤバシラにも暴力を振るう。またロボットのように目標を殲滅するなんて言う彼は恐ろしい
そんなゴーレムにソマリは「いつも撫でてくれる!」と彼の優しさに訴える
それに応えるようにゴーレムは止まる
だからソマリにとってゴーレムの本質は変異したと見做されない。組紐も変わらずに結ばれる
けれど、自分の感情を判っていないゴーレムは上手く動かずソマリの世話ができない身体を目にして自分は変わった、活動停止には抗えないと感じてしまう
収穫祭のカゼノリバナを見て、ゴーレムは理解不能だ、魂は存在しない、無意味な願望だと切り捨てる
森の番人として生まれた彼は自然の摂理を信奉して居るからこそのスタンスなんだけど、死は終わりではないという言葉を信じられず反発しているようにも感じられる
活動停止への不安があるからこそ、ゴーレムはソマリの前から去ろうとしたのだろうね
当然ソマリは認めず寂しいと訴えるけど、ゴーレムは自分に感情はないと返す。ゴーレムからすれば感情がないからソマリから離れることに何の後悔もないとの考え方
でも、ソマリに「お父さん」と呼ばれた瞬間から徐々に変わったように今のゴーレムにはきちんと感情があるんだよね
これまでのソマリとの旅路でのふれあいを通して得たもの。今、ゴーレムの胸中に渦巻いているもの
そもそもソマリを危険に晒すかもとの思考はゴーレムに感情がある何よりの証明なんだよね
自分に感情があると認めないゴーレムにちゃんと感情があるんだと訴えるソマリの言葉にはじ~んと来る
ソマリの感情の本流を受けきって、自身の感情を認めたゴーレム。有ると認められたから感情に従って言葉も出てくる。涙のように体液も流れる
ようやく発された彼の「本音」には感動してしまうね
新しい装いとなり、改めて親子となった二人。
彼らがどのような未来に歩んでいくのか気になるけど、流石にこの先は漫画を見てねということだろうか……
23話も22話と同じ構図が続く。
スバルは望む場所に至る為に更にユリウスに踏み込みつつ、ペテルギウスの指先に懐に挑み続けなければならない
それだけでなくハーフエルフを恐れる村人達の心にも踏み込まなければならない
それらを越えないと手に入らないものが有る
流石にこれらは難行となったけど、ここでも助言をくれるフェリスやスバルの言葉を補強するラムの存在が力強い
諦めず、下を向かず、戦い続けたスバルだからこそ到れる局面
遂にはユリウスと曖昧な言葉だけで意思疎通が図れるようになった描写からはスバルの著しい成長を感じさせたね
遺恨ある相手との和解、ペテルギウスや指先との戦い。幾つもの試練を越えた先に待っていたのはまさかのスバルが操られるという展開
ようやくエミリアの前まで来たというのに……
スバルは自分が死ぬしかない状況を越えられるのだろうか?
因縁有るユリウスと行動を共にすることになったスバルが向かうのはこれまた因縁有るペテルギウスの元
けれどそれらを越えた先に待つエミリアにこそスバルは謝らなければいけないわけで
スバルにとって試練となる回
スバルがまず踏み込んだのはユリウス相手だね
ただ、この場面は先に礼を口にしたユリウスの方が大人か。彼の言葉があったから、スバルも彼に対して以前の非礼を詫びることが出来る
両者が互いに譲り合い、そして踏み込んだ為に越えられた遺恨
大嫌いだと伝えあった事で二人の丁度いい距離感は定まったようで
次にスバルが対峙したのはペテルギウス。恐怖も憎しみも有るはずなのに、それらを越えて囮となる道を選んだスバル
ここでも彼が相手の懐に踏み込んだお陰で奇襲は成立する
スバルの姿勢が打倒ペテルギウスへと繋がったわけだ
ただ、ここで終わらないのが厄介な驚きであったけど……
因縁が終わらないなら、味方を死地に追いやった悔恨があってもスバルは姿勢を変えてはいけない。変わらずに戦い続けなければならない
ヴィルヘルムの言葉は俯きかけてしまったスバルに必要なものだったね
一作目を見た際、衛宮家に留まる桜の存在は士郎にとって暖かい家の比喩的存在になっていると感じたのだけど、桜にとっても衛宮家の存在は寄る辺となっていたようで
筆舌に尽くし難い過去を持ち、現在進行系で自身が危うい存在となりつつあることを自覚していた桜。そんな彼女に士郎は何でもない穏やかな顔で接してくれて、あまつさえ家の鍵を預けてくれた。桜にとって衛宮家で過ごす時間は心を温めるような時間だったのだろうな
でも、本作はそんな甘っちょろい穏やかさを許すような作品ではなくて。明かされるのは桜が既に侵食された存在であるということ。普通に笑っていられるだけでも奇跡のような時間であり、いつ自分や自分の周囲が壊れてしまうかあやふやな身体で居たということ
それを考えれば彼女が士郎の傍から消えようとしたのは周囲を守るためなんだよね。だというのに士郎は「俺が守る」なんて言っちゃうんだもんなぁ…
それは桜からすれば奇跡の継続であり、同時に壊してはいけないものが増えてしまった瞬間でもある
桜に忍び寄る侵食。本作では桜を中心として様々なものが侵食されていく様子が描かれている
有るべき姿を無くしていく聖杯戦争、士郎に移植されたアーチャーの片腕、衛宮家に次々とやってくる少女達、凛も共有していた士郎との思い出、
その状況は桜を追い詰めたのだろうなと推測される。変わってしまった片腕は目に見える異変であり、見えぬ異変は近づいていく凛と士郎の関係。元々身体が限界だったのも有るのだろうけど、桜を大胆な行動に走らせたのは自分と士郎で構成されていた衛宮家が侵食されたからなのだろうね
そんな彼女を力強く受け入れた士郎がとても格好いい
このHFという作品に対して士郎が掲げる正義の味方という精神は非常に適っている。
囚われた心を持ち自分は悪い人になると考え、自身が他人に与える恐怖に怯える桜。そんな彼女を前にして彼女が恐れながらも最も欲している言葉を何の迷いもなく言い放てる士郎の姿は正に正義の味方としか言いようがない
だというのに本作は一方で士郎が掲げる正義を試すような展開に進む
間桐臓硯が悪であり、彼を倒せば桜の平穏な日常は手に入る。それが理想的な正義の物語だったけど、本作はそんな生温い事許してくれない。
大を救うために小を切り捨てる。切嗣はこれをやって行き詰まった。そして切嗣を目指して正義を志した士郎に突きつけられるのは全を救うために桜一人を切り捨てなければならいという現実
一方で有る種哀れに思えてしまったのが慎二の存在
彼は間桐を継ぐ者であった筈が持つものを持っていなかったために桜に負けて、弓道で士郎に負けて、預けられたライダーも自分のものとはならなかった。誰からも期待されず、本物になれない偽物の魔術師
そういった環境に居たとなれば彼が少しずつ追い詰められていったことは容易に察せられる
彼が桜にしたことは到底許されるものではないけれど、それでも彼を哀れに思う気持ちは止められない
士郎と過ごした日常を侵食から守るために自分を押さえつけていた桜の背を押してしまったのは、別の侵食される日常の中で生きてきた慎二。そして姿を表す全ての歪みの元凶
誰がどう考えても望まれる正義なんて一つしか見つけられ無い状況で桜だけの正義の味方になると誓った士郎に一体何が出来るのだろうか
最終回ではどんなキャンプをするのかと思いきや……
良い意味で野クルらしい、へやキャンらしいキャンプになりましたな
場所は校庭で、食べるのもツナ缶鍋にマシュマロと手が込んでいるわけではない
それでもいつもと変わらず温かいキャンプ模様に見えるのは梨っ子スタンプラリーでの蓄積が有ったからこそ。ぱっと見は寂しいキャンプでも、ラリーに関する思い出話や裏話をするだけで楽しい空間になる。想いがこもったキャンプになる
楽しいをたくさん教えてもらったなら、今度は自分が知ってる楽しいをたくさん教えたくなる
野クルがなぜこれ程までに「楽しい」に満ちた空間であるか、伝わってくるかのような最終回だった
正義に固執する少年衛宮士郎と囚われの少女間桐桜を圧倒的な映像美で描いた物語。Fateシリーズに触れるのは随分久しぶり
この章は導入部分でもあるためか、物語の芯の部分はあまり描かれず。これまでも幾つものパターンで描かれてきた聖杯戦争を舞台としつつも影に潜む者達の暗躍によって歪んだ聖杯戦争となっていく様子が描かれている
英霊たちのバトル描写を楽しむ流れは以前のUBWを思わせる要素があるからこそ、英霊たちの戦いが「影」によって穢されていく描写は何とも辛い。Fateシリーズに思い入れがあればあるほど、心に響いてくるだろうね
そういった展開の中で最も印象的なのは士郎にとって桜が暖かい家の比喩的存在になっていく様子
切嗣によって引き取られながらも唯一の家族である切嗣を亡くしてしまった士郎。面倒を見てくれる藤姉はいてもやはり彼は孤独。だったのに押しかけるようにして桜が現れて、いつの間にか桜がいる生活が当たり前のようになってしまった。合鍵を渡す形で桜を家に居て当然の存在と定義する流れは良いね
桜を気にかけ受け入れている士郎だから、その兄貴の間桐慎二には思う所がある。そして慎二は慎二で弓道において自分より優れた成績を修めながらも執着無く去っていった士郎にコンプレックスがある。そういった関係性なのに、士郎は慎二に対しても善人面をしてしまうのだから慎二としては堪ったもんじゃないよなぁ……
聖杯戦争が始まった辺りから慎二は行動が過激になっていくのだけど、それって少なからず士郎が理由になってるように見える
でも、そのような状況になっても士郎が慎二に目を向ける理由は聖杯戦争に参加するマスターだからではなく、桜の兄貴だからという辺り慎二は更に歪んでいきそう。そして慎二の歪みがまっさきに向けられるのが桜であるという理不尽
一方で見えてくるのは桜の士郎への信頼と依存。士郎の家を訪れ始めた当初は暗い表情ばかりだった少女が士郎との触れ合いを通して徐々に明るい表情になっていき、幾つかのシーンでは普通の少女のような表情をする風景は見もの。また、最初は服を綺麗に畳むことさえ出来なかったのにいつの間にか上手になり、料理にも積極的になった。それらの変化が何よりも桜が衛宮家で過ごした時間の長さを表している
一緒に過ごした時間が長いということは一緒にいることが当たり前になってきたという意味でも有って。士郎によって提案される桜を家に泊める展開。これはちょっと驚かされる部分もあるけれど、両者にとってこの提案が素っ頓狂なものとして扱われないのはそれだけの蓄積があるからなんだよね
「もしわたしが悪い人になったら……」という日常ではあまり聞かない言葉を使った桜。彼女が抱える闇に対して正義を志す士郎は何処まで立ち向かえるのか、今後のストーリーが気になりますよ?
事態は混迷を深め、士郎の隣からセイバーは居なくなってしまった。それでも士郎の帰りを待ってくれていた桜の存在には士郎だけでなく視聴者まで癒やされてしまうね
でも、先の展開を思うと……
待ちに待った真の解決編
やはり推理モノに於いて探偵が真実を明らかにする瞬間というものは興奮するものです
本作では真実ではなく虚構なんだけどね
ここまで辿り着くのに随分時間がかかったが、それもその筈。琴子は解決と偽って3つの虚構によって仕込みをしていたわけだね
鋼人を消すには人々を納得させなければいけない。そして納得するにはただそれらしい解決を授けるのではなく当人に推測させなければならない
人は誰かに貰った答えよりも自分が見つけた答えを信じるものだから
その為に琴子が行ったのはこれまでの解決で示された要素を土台とした「七瀬かりんは生きている」という物語の披露
その刺激的な物語に人々はこれまでに提示された解決を拝借して解釈を与えるようになる。
そこに「サイトの管理人はかりんである」と更に刺激的な話を加えれば最早亡霊が信仰される隙はなくなる
鋼人七瀬という不自然な存在の出現を肯定してきたまとめサイトが一瞬にして鋼人を否定する論拠となる瞬間は痛快
鋼人は虚構から出現した存在。面白く刺激的な嘘によって成立したから、そこに別の刺激的な解釈をぶつけられれば支持を得続けるなんて出来やしない
ここで立花が下手な否定をした所で「管理人は七瀬かりんである」と疑われる根拠になってしまう徹底的な封鎖
勿論、この解決は琴子の推理力だけでなく九郎が何度も死んで未来を決定し続けたから成し得たもの
琴子だけでは足りず、また九郎だけでも足りなかった。二人の合力によって届いた虚構による虚構討伐
うん、素晴らしい解決編でした
前回の育人はコンセプトを用いて自分のショーを表現したけど、今回の心と千雪はモデルの力とデザイナーの発想によってショーを表現する
だから、千雪は心に勝つ隙が生まれるし、心がデザイナーとしての力を示す場ともなる
心と千雪は協力するけど友達じゃない。モデルとしてライバルであり、モデルとデザイナーという従属関係でもある
だから馴れ合いにはならず、切磋琢磨する関係になれる
「素敵なウォーキングをして」「私の想像を超える服を作って」と要求し合う関係は良いね
一方で二人が胸に抱く「見返したい」「認められたい」との感情
また、心はモデルよりデザイナーをしたいが同時に五十嵐へ「恩を返したい」とも思う
二人が作り上げた舞台は様々な感情の上に立脚しているね
だからランウェイを歩く千雪はただ歩くだけで済むわけじゃなく、様々な演技を求められる
千雪は一人で何往復もしてモデルとしての自分を遺憾なく発揮した
心は努力に努力を重ねるデザイナーとして大量の服とアイテムを用意した
でもそれらは小手先の誤魔化しでもある
だからこそ、ラストに心と千雪がすれ違うことでネタバラシがされる局面が用意される
心の登場はやはりオーラの凄さが滲み出ているが、同時にそれまでランウェイを支配していた千雪の才能も伝わる
また、五十嵐に違和感なく着られるスーツを用意した心のデザイナーとしての力量も示される
このランウェイによって五十嵐はモデルとしての千雪もデザイナーとしての心も認めざるを得なくなる
二人は五十嵐を見返して認めさせたわけだね
育人のコンセプトショー、心と千雪のモデルショー
素晴らしい二つのショーの後に待ち構える本命の遠の存在が恐ろしい……
出会いは人を変える程のパワーを持っている
そして人はそのパワーを持って自分の行動を変えることが出来る
そんな事を感じさせた内容だった
沖縄まで着いてきたあおの行動には驚かされたが、両親や皆の強力あってこそでしたか
それもこれも全ては転勤問題の際に行動したことで事態を好転できると知った経験があったから。
そして何よりもみらとの出逢いが星を見つけたいとの想いを強くさせていたんだろうなぁ
この回のあおは背もたれに頭をぶつけてしまうくらい前のめり。
困ったちゃん扱いされる行動だけど、職員には根性があると評価される
遂には見学者の筈がノートを持って講義を聞く姿勢がいつの間にか参加者との壁が薄くなり、飛鳥に引っ張られることで参加者との境が無くなってしまう
これも全ては行動の結果だね
ナナからは「そんなの駄目だ」と反対されるあおの行動。一方で諦めないあおの行動はイノ先輩にも今できることをしたいとの想いを強くさせ、遂には七海自身にも影響する
あの堅物気味なナナが「石垣島に届くくらい」の大量てるてる坊主を作るとは思わなかった。
その行動には直接の意味は無いかもしれないけど、何もしないで後悔などしたくないとの気持ちを感じさせた
それらの行動を起こさせたのはやはり出会いが大きな要素となる
みらはあおに、イノ先輩は桜先輩に、七海は地学部に。そして幸はかつてのきらチャンで仁科と出逢ったことがその後の人生を変えさせた
出会いは人を変えるし、自分が変わることで行動も変わってくる
そして、この回を見るとみらはずっと前のめりに行動していたのだなと判る
会ってすぐに相手にあだ名を付けて仲良くなる距離感も夢に真っ直ぐな姿勢も。
あおと出逢って以来、彼女はずっとアクションを続けてきた
それがこのきらチャンで報われるのか、気になる所
ローザを始めとする人狩りによる危機はソマリが人間であるが為に訪れたかのように見えるけれど、実際の所は種族の違いってそれぞれの行動理由にはあまりなっていないような気がする
ゴーレムの為に組紐を編んだソマリ、ソマリの為に組紐を買ったゴーレム
二人の行動に違いなんて無いね。どちらも親を、子を想う気持ちがあってその気持ちを示すために組紐を用意した
そこには種族の違いなんて無く、被ってしまった贈り物は互いが同じ想いを抱く証
シズノの提案で雪遊びすることになった面々。当初はソマリとシズノ、子供に見える二人だけだったのにいつの間にかヤバシラもゴーレムも巻き込まれてた
夢中になって遊ぶ彼らに違いなんて無い。皆同じように楽しむ
親子の雪だるまが並ぶ光景。人間のソマリとゴーレムの間にある種族の違いも見えなくなるね
人狩りが迫る中、ソマリが人間と知って驚くヤバシラ
シズノは種族を理由とせず、友達だから守ると言った
ならばヤバシラも種族を理由としない。作った菓子を美味いと言った。また皆で食べたいと言った
それがヤバシラにとってソマリを守る充分な理由になる展開は胸が温かくなる
ゴーレム達を騙し檻に閉じ込めたローザ
彼女の語る昔話は異形と人間のすれ違いの物語。ここには確かに種族の差があり差別へと繋がった。でも、それだけ
今を生きるローザ達がソマリを殺していい理由にはならない
結局の所、ローザ達がしているのはかつての人間と同じ。自分と違うから狩る。その行動には何の違いもない
何もかもが滅茶苦茶になりソマリが傷つけられようとする中で訪れるゴーレムの異変
人間ではなく異形にカテゴライズされる筈の彼の姿は異形にすら恐れられる
それぞれの違いが見えなくなる中で示される明確な異形
ゴーレムは異形として全てを壊すのか、父親としてソマリを守れるのか……
白鯨が三匹になってもスバルの戦意は消えないまま
多少の強がりは有るだろうけど、「このくらいの絶望で」と豪語できるのはこれまでに歩んだ道があったからこそ
そして最も弱い彼だから、天高く避難する本体を見つけられるし、兵士たちの士気を取り戻す象徴にもなれる
スバルの抵抗と同時に描かれるヴィルヘルムの過去。
守るために剣を手にしたヴィルヘルム。だというのに彼の前に現れたか弱いように見えたテレシアは彼よりずっと強く、剣の運命に囚われた存在
ヴィルヘルムは現在で白鯨の支配に抗いつつ、過去ではテレシアを縛る運命にも抗う
閉ざされかけた未来を手にすべく先陣切って戦うスバルが居るから、ヴィルヘルムもあるテレシアとの遣り取りを回顧しながら初期衝動を掴み直し白鯨へと挑む
この瞬間、ヴィルヘルムにとってテレシアとの逢瀬は過去ではなく現在となり、愛の言葉を捧げる未来へ繋がるわけだね
白鯨の消滅と共に終わる夜
なら次にスバルが向かうべきは魔女教の脅威
スバルを奮い立たせてくれたレムは傍に居ないまま旅立つことになるとは。
遺恨有るユリウスやこれから対峙するペテルギウスにスバルは何処まで抗い、未来を掴めるのかな?
高い空からやってきて、スバル達の未来を押し潰し飲み込むかのように襲撃する白鯨
それに対し、未来を切り開きその手に掴むが如く突き進むスバルの姿が格好いい
巨大な白鯨に対して一番槍を取ったスバルとレム。二人を追うようにしてクルシュ達は照明弾で夜を引き裂いた
それはあたかも白鯨に支配され閉ざされていた未来への道が開かれたかのよう
だからか、照明弾で夜が消えている間はヴィルヘルム達の攻撃はよく通る
それが変わるのは白鯨の霧によって再び夜が訪れてからだね
白鯨の攻撃で存在が消される兵士が続出し、残った兵士たちは恐怖に縮こまる。
おまけに精神攻撃まで受けて阿鼻叫喚の地獄絵図。
白鯨が支配する夜の時代が訪れ、未来は閉ざされたかのよう
この状況を再びスバルが変える展開は素晴らしい。
夜に包まれたままでもスバルはレムと共に白鯨に抗う
スバルが開いた道に付き従うかのようにヴィルヘルムも再び剣を振るう
スバルの行動は白鯨に支配されていた時代への抵抗をそのまま表現している
幾つも有ったはずの空白はあっと言う間に埋められて、スタンプカードは遂に完成
と、同時にスタンプラリーの裏が明かされる展開
風変わりな場所ばかり巡ると思っていたら、そういった事情がありましたか
全ては山梨県民になったばかりのなでしこに山梨の良い所を沢山知って貰い、梨っ子にする為のちょっとした計画だったわけだね
このラリーを通してなでしこは充分に山梨の良い所や楽しい所を知れたんじゃなかろうか?
次回はへやキャンなのにキャンプに行ってしまうのかな?それはそれで有りな気もするし、いつものように野クルのメンツで駄弁っているだけでも満足な気もするし
何はともあれ、ラストはなでしことリンの会話で締めて欲しいかも
鋼人を倒すために手練手管の限りを尽くし虚構を組み上げる琴子
前回は紗季を思わせる女性警官を犯人に仕立て上げたと思ったら、今回は亡霊説に変質者説と無軌道ぶりが目につく
それでも琴子は解決を披露し続ける
通常の推理モノにおいて名探偵は皆が気付いていない真相を掘り当てるのが役目
本作に於いても琴子は皆が想像もしていなかった虚構を次々と披露していく
振り子殺人も亡霊説も変質者犯人説も無理のある虚構。けれど、推論の組み立てそのものは説得力が有る
だから皆思わず傾聴してしまうし、虚構に穴があれば批判の声も上げる
名探偵の言葉は人に聞いて貰わねば意味がない。だから琴子も怪異が存在しないという虚構を信じ込ませるために、信じられる可能性が高い物語を披露する
議会は六花が支配しているけど、流れは完全に琴子に来ている
琴子の解決はどれも最後には否決されてしまったけど、どの解決に於いても「それは確かに有り得そうかも」という部分を含んでいる
解決そのものが否決されても、鋼人の動きに影響を与えているのは解決を聞いた大衆の心に影響を与えているからだね
名探偵の言葉は少しずつ大衆を納得させ始めている
琴子は4つの解決を組みあげた。けれど、ここまで披露した解決は議会を席巻できていない。
泣いても笑っても次に披露されるのが最後の解決。次回、大衆や視聴者は琴子の虚構に果たして納得させられてしまうのか?
その瞬間が待ち遠しいね
冒頭から髪を短くしたすずの姿はインパクトが大
これは想いを伝え、みさが居なくなったことで過去の想いに区切りをつけた証なのだろうか……
あと、もしかしてだけど、桜先輩とモンロー先輩は同居してるの……?とても気になりますよ?
新生地学部の活動が始まる第10話
モンロー先輩達が去り、みら達が先輩になる事でこれまでと異なる視点で部の事を考える必要が出てくる。部の存続や新部員のこと等々
特に明確すぎる程にやりたいことを持っている七海が志向している気象分野に対応できるのか、そして彼女が掲げる目標を叶えてやれるのかと悩むイノ先輩の姿が印象的
部長になった事でイノ先輩の視点も変わってくる
七海は生真面目な性格だけでなくシリアスな背景を持っている
洪水で苦しんだ人を知っているから、人の役に立たなきゃと気象学を志す
では義務感で気象を学ぼうとしているかといえば、そうではなくきちんと気象現象のあれこれを好きなんだね。
彼女を見る目が変わった瞬間
一方でみらとあおは自分達の夢を進めようとしている
星を見上げもっと知りたい思っていた頃から夢を進化させてきら星チャレンジへ。だというのにあおだけ通過せず……
一見すると不幸な事態だけど、先輩達の助言を通す事で価値を見いだせる。あおも「前に進まなきゃ」とみらを励ませる
「来ちゃった…」の台詞には度肝を抜かれたけど、一人でのチャレンジに不安になっていたみらにとっては心強いサポートとなる……のかな?
遂に始まる芸華祭ファッションショー。ここで披露される数々の服飾をお洒落と見るかダサいと見るかは個々人の自由だけれど、それらの感性とは関係なく伝わってくるものがある
ファッションショーにおいてその服の完成度やお洒落さも問われるのだろうけど、最も重視されているのはショーのコンセプトであるように思える
だから、最初の方では退屈そうにしていた審査員たちもコンセプトが明確である香留や育人が表れると途端に身を乗り出す
それらのコンセプトは言葉で説明されたものではなく無言の主張。それでも判る人には伝わってくるもの
それはショーの舞台だけではなく様々な場面で言える
遠を追い越した育人の主張、扉を開く事で勝負相手として敬意を払う行動
これらは言葉にしなくても意図は相手に伝わっている
葵の名前から連想した青い光、ほのかが好む曲。これらの要素はこれから始まるショーが津村育人のものであると主張してくる
またその後に続く服の数々は素人目にはただのお洒落な服だけど、見る人が見ればそれが「世界を巡る」というコンセプトに則っている事が判る。
どちらも伝わる人にはきちんと伝わるようになっている
審査員からすると育人のコンセプトはあまりにも明確。ただ明確とはつまり予想しやすいって事になるのだけど、育人は見事に審査員の予想を裏切っているね。だから段々と育人のショーに夢中になる。
次に何を仕掛けてくるのかと身を乗り出してしまう
伝わるべき人に正しく伝わる主張はそのまま評価に繋がる。だからこそショーの終わりに育人は拍手で迎えられるし、子供の為に笑顔でいようと決めていた母親も滂沱の涙を流すほどに感動してしまう
無言のまま行われたショーは充分に育人のメッセージを載せている
それにしても育人や香留のショーだけでも服飾を通じたコンセプトの伝え方の多様さが伝わってくるのにまだ心や遠のショーが待っているという……
ようやく語られるソマリとゴーレムの出逢い
それは単純に二人が初めて出逢った瞬間というだけでなく、二人が親子となる瞬間の物語でもあったね
ソマリは何故かゴーレムを「お父さん」と呼んだ。あまりに意味不明だからゴーレムも当初は受け入れない
けれどその呼称は「ゴーレム」でも「森の番人」でも無いんだよね。「お父さん」という彼だけを指す示す言葉
だからあの瞬間からゴーレムは少しずつ個としての性質を得て父親になっていく
ソマリの腹が減ったら食事を与え、付いてきてるか確認する為に振り返り、溺れたら助けてしまう
全てが森の番人には不要だけど、父親には必須な行動
「お父さん」になったゴーレムの行動は急激な変化を彼自身にもたらしている
ソマリの行く末を案じた。彼女に名前を名付けた
それらは全て父親として求められる行動
そしてソマリを大切に想う心を持った彼は番人として森に留まるのではなく、父としてソマリを人の元に届ける決断をした訳だね
ソマリは今回も元気に愛らしく子供として行動している
父親へのプレゼントにとお絵かきをし、それでは満足せず編み物を始めた
一方で仕事から帰ってきた父親に離れていたのは寂しかったと言わんばかりに抱きついてしまう
だからこそ忘れてしまう。ソマリは誰しもに愛される普通の子供ではなく、この世界では狩られる側であるということを
過去のゴーレム、現在のソマリを描いたあとにやってくる不穏な未来
ソマリを守るためにゴーレムが無理をする光景しか思い浮かばない……
これまでのような死に戻りからのリスタートではなく、心機一転からのリスタートを始めたスバルの交渉術が輝かしい
過去の経験や見てきたものから相手の欲しているものを推測し、それに見合った対価を用意した
アナスタシアに教えられた点も正しく実践できているね
19話ではスバルだけでなく、様々な人物がリスタートを迎えようとしている点が印象的
ヴィルヘルムに始まり、かつて大切な者を奪われた老兵達
彼らは単純な復讐の為だけではなく、悲願を叶え、大切な者に顔向けできる自分になろうとしている
この状況をスバルが作り出したのかと思うと感動的
新しく何かを始める為にはそれまで蔓延っていた何かを終わらせなければならない
スバルが先頭となり、白鯨に蹂躙されてきた歴史を終わらせようとしている
その行動は同時に自分の弱さに負けてしまったスバルの過去からの脱却であり、終わりであり、新たな始まりである
この戦いを通してスバルが手にする新しい自分がどのようなものか次回が待ち遠しいね
何度も死に戻りして、それでも上手く行かなくて諦めかけたスバルが生まれ直し、リスタートするかのようなエピソードだった
まさにこのエピソードの為に王選編はあったのだと思える内容
パックとの邂逅でスバルが何を得るのかと気になっていたけど、蓋を開けてみればスバルが得たものなんて何もない。改めて自分の罪を突きつけられただけだった
スバルが目を逸らし続けてきた罪、親しい者からの指摘であり最早スバルに誤魔化すなんて出来やしない。
幾度にも及ぶ死に戻りでスバルが理解させられたのは自分の無力さ
だから彼は自分を信頼してくれるレムを連れて逃げようとするのだけど……
「スバル君は自分の事しか知らない!」というレムの指摘が事態を打開する一言がとても気持ち良い
スバルは自分の無力さしか理解しない。けれど、レムはスバルの素敵な所を一杯知っている。
スバルが何も話さなければスバルは自分の嫌な部分を見ることしか出来ない。ここにスバルをとても好きなレムが居る事でスバルは理解していなかった自分を理解できるわけだね
王選編はいわばスバルがあまりに無理解であった為に様々な衝突や軋轢が生じたエピソードだったと思っている
だからこそ、転機となる場面でレムが語るスバルの素敵な部分をスバルが知ることで、自分を理解していく工程はとても素晴らしいものだと感じられる
かつてレムに「笑えよ」と言って人生の転機を迎えさせたスバル。今度はレムがスバルに「レムの英雄が笑って未来を迎えられるなら」と彼の再起への協力を宣言する流れ
ここから始まる二人のリスタートにワクワクしてしまうね
自撮り肝試しの前フリからなでしこだけはぐれる展開。これは千明が仕掛けたイタズラだろうと思っていたら、まさかのリンの登場に驚き
リンがなでしこを安心させるに留まらず、スタンプラリーの台紙を届けてくれる展開には胸が暖かくなりますね
解決編の始まり。通常の推理モノであれば、真相が語られると共に事件は華々しく解決されるのだけど、本作はそうはならない
何故なら幾つもの虚構を積み上げて鋼人を打ち倒すシナリオだから。
そういった意味では実は今回のエピソードは本当の解決回ではない
掲示板という無責任な議会を舞台に虚構をぶち上げる琴子。それはどう見たって大げさだし無理がある。
けれど、そこには鋼人は存在せず何かから目を逸らすための囮ではないかと思わせるだけの論理はある。琴子が提示した女性警官が犯人ではないかという説は一定の説得力は有る
真相以外認められない場ならこのような説は提示できないけど、ここで行われているのは琴子と六花、どちらの虚構に納得できるかという票の取り合い
筋道だった推理しか真相だと認めない者もいれば、荒唐無稽な説を真相だと思う者も居る。
それらを同時に納得させるのは不可能だから、幾つもの虚構をぶち上げる必要があるし、一見納得しづらい説も真相の一つとして提示できる
動きは少ないけれど、「果たして琴子の語る虚構は納得できるものなのか」という点で思わず魅せられてしまう内容になっているね
またリアルタイムで掲示板を更新する公式のサービスからも目が話せない
残り3つの解決策を琴子がどの様に語るのか、気になるね
相手への想いの伝え方がかなりクローズアップされていたように思う
相手の立場が違えば伝え方も変わってくるし、自分の性格に問題があれば相手に気持ちを伝える行為そのものが難しくなってしまう
あおは母親に対して資料を作り残りたい意思を伝える。それは自分はちゃんと考えているアピールなんだけど、そのスタンスを取ってしまうから母親は「考えが足りてない」と返さざるを得ない
そうではなく、みさが言ったように子供としてお願いすれば子供の夢を応援したい親はきちんと応えてくれる
生真面目な桜先輩は友チョコを送るのだって精一杯
だから前日にすずに作り方を教えて貰いながら作るし、部員たちに渡す際もちょっと大げさ
でも、難儀な性格をしている彼女はこれくらい気合を入れないと自分の気持ちを伝えるのは難しいのかもね
そして本心を見せないといえばモンロー先輩。まさか彼女があそこまでドライだったとは
本心を見せない彼女が何を考えていたかは部員達には外側しか伝わらない
だからこそ、みら達が追加した写真にはちゃんと笑顔になっているモンロー先輩が映る
それがどれだけ嬉しかったか伝える相手が桜先輩だけというのはちょっと印象的。
最初は反発していた二人はきちんと絆を築いていたということなのだろうね
みらとあおに反発した部分なんて見当たらない。同居すると決まった際もお互いに不足していた点を謝り合うし、改善するとも誓う
でもそれは友達としての距離だからこその伝え方。同居する中でこれまでと違った距離が求められると想いの伝え方も関わり方も変える必要がある
仲違いするみらとあおという珍しい構図。それがペアカップという互いの夢を思い出させるアイテムで解決されるのは何とも微笑ましい
その後はベランダに並んで星を見上げる二人。その構図は初めての筈なのにいつもの二人だと感じられる不思議な安心感
そして本心を見せず、みさへの想いがどのようなものかも明かさないすずの想いがどう伝わったかは明かされず
彼女の本心は明かされないどころか、想いの結果も視聴者には明かされない。
けれど、彼女の秘められた想いを視聴者に伝えるにはもっと良い描き方だったのかもね
認められたいから見返したいへ。その変化が様々な覚悟を持って描かれた回
育人も千雪も心も望んだ夢ははっきりしているのに本人にはどうしようもない事情で何度も阻まれる。だから単純に「認められたい」だけでなく、認めなかった奴らを「見返したい」との想いが強くなる
それが戦う原動力になるし、千雪には自分を救ってくれた育人よりも心を選ぶ理由になってしまう
だからこそ、それが判る育人は戦う理由が無くなりかける。全てを捨てない彼は千雪にも心にも報われて欲しいと願う。自分よりも彼女らに周囲を見返して欲しいと願ってしまう
育人に必要なのは認められたい、見返したいだけでは足りない
それこそ「見て貰いたい」が必要だったのだろうね
母親に「見て貰いたい」を確かにした育人だから、千雪や心との戦いを迷わなくなる
また、すれ違い去ろうとした遠を「見返させ」、デザイナーの自分を「認めさせ」ようと勝つつもりで居ると明かした育人
いつになく挑発的だね
それぞれがこれまでに培ったものを全力で注ぎ込む芸華祭、そのファッションショーがどこまで輝かしく描かれるのかワクワクしてしまうね
それはともかく育人と千雪のラブコメシーンが大幅に削られた件については流石に言いたいことがありますよ?