前回のスパイ騒ぎに関してバーニィは叱責されるけどアルは不問となるのは当たり前なんだけど驚きだったり
サイクロプス隊はアルを戦争に利用しつつも最低限、子供としての線引きをしているようで。逆に若造扱いだったバーニィは大人扱いされている
アルは戦争に関わるべきではない子供でしか無く、サイクロプス隊は戦争に身を投じるべき大人である面が強調されたように思えるよ
バーニィが大人の軍人として描かれるに従い、サイクロプス隊に関してもそういった面が描かれたね
特に自分達が囮と判っていても取り乱さず粛々と作戦遂行を目指す姿は戦争に突き進むしか無い彼らのやるせなさを感じさせた
それで居ながらバーニィには生き残って欲しいとせめてもの願いを託すのだから、彼らの想いには様々な深さを見る事が出来る
始まった作戦がバーニィの失言により企みが露見してしまう様には彼の経験が足りないと感じさせるが、他の隊員はそれを責めずに逃がそうとするのだから増々彼らの大人びた面が強調されるね
と、そう感じられただけに経験をものともせず機体性能で状況をひっくり返すガンダムの脅威性に目を奪われる構成になっているが
戦争を格好良いものと捉えてきたアルが本物の戦場に出会った。何度か話した人が銃弾に倒れる様も見た
そんなアルに突きつけられるのはバーニィの銃口。第一話ラストの頃とはそれに全く異なる意味が有ると知ったばかり
ガンダムとジオン兵に挟まれた戦場でアルはどのような行動を起こすのだろうね
ルディ・前世の男にとってはトラウマと言える引き籠もりの件。家族や友人に助けてと言えず、助けの手も取れなかった。だからこそ今の家族であるノルンの窮状は救ってやりたい
過去を悔いる彼のエゴが詰まった内容でありつつも、ノルンの成長譚としても機能しているEPだと感じられたよ
引き籠もりの話を前にルディは平静で居られない。八つ当たりのように敵意を振り撒き、ノルンを救う方法も思い付かない
今回の行動にはシルフィを始めとして幾つもの助けが有ったのだけど、ルディは感謝よりも心配の方が先立っていた印象を受ける
そのような形だからノルンの前に出ても語る言葉を持ちあわせていない
語れないから思い出すしかなくて。引き籠もる家族に対し何も出来ない兄の姿は今の自分そのもの
面白いのはここでノルンも他者と重ね合わせている点か
ノルンにとってルディは恐ろしい人間でしかない。でも彼を知る人間はその考えを否定する。父もルイジェルドも学生達も否定する
ならノルンの認識は間違っているという話になるが、彼女はその恐ろしさへ踏み込む勇気を待ち合わせていない。自分に引き籠もるしかない
変わるのはノルンがルディの姿を父に重ねた時だね
自分を前にしてルディは敬愛する父と同じ表情をしていた。そこには家族としての繋がりが見つかる
なら勇気を振り絞った父や兄と同じようにノルンも勇気を出して踏み込む必要が有って。勇気を行使する怖さを受け止めてくれたらルディは家族と言える
このEPは引き籠もりを止める方法とか部屋から出させる方法とかを描いたわけではないし、結局ルディが何かをしたというわけではない
けれど、ルディが苦しむノルンに家族として寄り添った事で彼女が自分の力で困難を乗り越え成長したのだと感じられたよ
と、良い感じの話となったのに次回予告が凄い不穏……
進路選択にオーディション、自分が居るべき場所を決める為の儀式。そのように捉えれば部長である久美子が決められず、誰よりも深く悩んでいるのは彼女の特性だけに留まらず立場故という点を感じてしまう
一方で周囲の大人も考えろとただ投げつけず、見守っているのは印象的。選択の儀式は容易でないと伝わってくる
大会に挑む為のメンバーオーディションだけでも充分に選択として機能しているのに久美子達は更に踏み込んでオーディションの遣り方も再考しているね
深く考えず選べば結果は最善とならないかもしれない。考えて遣り方を変えるのであれば、以前と異なる結果へ通じる過程は始まっていると言える
そのように捉えると真由には違和感を覚えるかも
選考前から自分が選ばれる認識で過程を丸ごと無視しているかのよう
ただ、それは彼女が北宇治に馴染む事に必死になっているからかもしれなくて。久美子を祭に誘った行動には祭の空気から弾かれたくないとの恐れを感じてしまった
だから当日も皆から必要とされる撮影役を買ったのかもしれないし
だとしたら、久美子が北宇治の皆でも秀一でもなく麗奈を選んだのはその時点で特別性が現れているのかも
麗奈は久美子と一緒に居たいから音大を選んで欲しい。久美子は進路で道を分かつと思わないから更なる選択を必要としない
久美子は進路を散々に悩んでいるけれど、今自分がこの場所にいる理由には全く迷っていないと判る
ただ、久美子は選ぶだけでなくオーディションでは選ばれる側でも有るわけで
3年であるとか部長だからなんてのは選ばれる理由にならない。残酷でも実力ある者が選ばれる。選ばれなかった時はそのような己の未来を選ぶ事になる
気になるのは真由の発言により積み上げられたフラグの数々。麗奈と久美子が並び奏でる光景は当然のように見られるものだと思っているのだけど、果たして……
ひまりとの関係を進めたい依にとってその想いはバンドを始める原動力となった。なのに、依との関係に現状維持を望んだひまりは依の為に費やす時間は少ない
それはひまりにばかり都合の良い状況に見えて
依への想いを持つ亜季が遂に動き出した事で物語も動き始めたように思えますよ
依がバンド活動を始めた事で時間が空いたひまりが始めるのは料理。そこには依に食べて貰いたいとの望みは確かに有るのだけど、主目的に時間活用が含まれる限り、依とのバランスが取れているとは言い難い
明るい表情で自分の為に時間を使っているひまりの姿を見て依が曇ってしまうのは仕方ないというもの
相手の為に時間を使っている者は何も依だけではなくて
亜季は依と一緒にバンドをやって、彼女に何か有れば喫茶店で話を聞き。それらの行動には依への想いが溢れている
だから依との時計を進めようとしないひまりを挑発する行為も究極的には依の為で。亜季の言葉によってひまりが気付きを得れば良いのだけれどね
つむぎとのえるの魅力が存分に詰まった回となったね
つむぎは森太郎へ密かに恋する少女として、のえるは初めての友達に喜ぶ少女として
森太郎との二人っきりの時間を大切に過ごす二人の姿は温かい微笑ましさに満ちているよ
つむぎの魅力は森太郎に近付く為に色々考えるのに実行力が低い点だね
本人はそれに悩み心の中が落ち着かないのだけど、だからこそ時折訪れる役得なシーンに感情高ぶらせる彼女の姿には恋する少女としての全てが詰まっている
居眠りする森太郎を見詰めるシーンは特に良かったよ
のえるはつむぎと違って恋愛感情はないけれど、それだけに森太郎との時間を純粋に楽しんでいると感じられる
初めて出来た友達との交流にテンションマックスとなってお喋りしたり買い食いしたりなんて青春っぽさに溢れている
その様子には恋愛を少しも感じさせないから、のえるが裏表なく森太郎との時間を過ごしているのだと感じられたよ
他の防衛隊志望者を圧倒するキコルの前に現れるのが試験用の怪獣を本物の脅威に作り変える怪獣という展開、このような構図は王道感が有る為に良い緊張感を持たせるね
だからこそキコルの前にカフカが現れる展開も王道感が有る
秀でた存在であるキコルの苦悩となってきたのは父から与えられない愛と代わりに押し付けられる重圧。それが彼女の強さの源泉となったのが判る
キコルが今持つ強さでは復活した怪獣に届かない。別種の強さを持つ者が戦場に立つ必要がある
キコルのピンチに自分のリスクを考えず颯爽と現れるカフカは主人公感が有るね
おまけにカフカは父が認めてくれなかった頑張りを認めてくれた。二人の関係が変わり始めるきっかけとなるだろうと予想してしまう
強大な力を征した凶悪な力。それだけにカフカと同種っぽい人型怪獣が清掃業者に紛れ込んでいると判るラストに寒気を覚えてしまうよ
これまで仁菜が感じてきた理不尽は何処か名状し難く世間そのものに敵意を向けていたような気さえする
けれど今回は他者の狡さが明確に顔を出したね
チケットノルマにダイヤモンドダスト名義の出演。そして旧友の裏切り。それらは仁菜の反抗心を刺激するに充分過ぎる要素
チケットノルマ制は珍しい話ではない筈だけど、バンドの知識が足りない仁菜にとっては晴天の霹靂、騙された気分になる
おまけに自分が只で譲った行為が相手を騙したかのようになってしまったのであれば自分にすら理不尽を覚える
仁菜が感じる理不尽の反抗対象は自身のバンドにすら向きかねないもの
極め付けがダイヤモンドダストの新たなボーカルに収まったのが自分を裏切った人間であった点か
そこには二重の理不尽があるね。仁菜への裏切り、桃香への裏切り
桃香はダイヤモンドダストの理不尽を受け容れてしまうが、理不尽に反抗してきた仁菜は桃香だろうと容赦はしない。それこそが彼女の真骨頂
どれだけ言葉を重ねても納得しない仁菜の叫びは鬱屈を抱える桃香にも伝播する
それは仁菜が持つ特異な力。ならそれをバンドの力とすれば彼女らの反抗はより輝きを増す
死んでも負けないと吠える彼女らの棘は誰にも真似できない領域へと達したように思えるよ
一人でキャンプ準備を始めるなでしこの姿はまるでソロキャンの延長線上のよう
侘しさを感じる時間にて後から来るリンや綾乃の事を考えながら準備をするからこそ、それらの時間が楽しくなる
というか、なでしこはお一人様時間を完璧に満喫しているね
毎度のこと、見ているとお腹が空くキャンプメシ時間。原作を読んだ時も生ハンバーグやらビーフシチューは美味しそうに見えたけど、それを一つのプレートにダムカレーとして纏めたなら、見た目の美味しさは天に達する訳で
いずれ自分もこういうビーフシチューを食べてみたいと思えるレベルですよ
そして粗方イベントが終わった静かな時間で行うは双方のキャンプ道中の共有だね
以前はリアルタイムで写真を送り合って、という手法も見られた本作だけど、なでしこと綾乃のようにひそひそ声で共有するのも乙なもの
幼馴染として前は一緒に居て、今は離れている2人だからこそ形成された空気感に思えたよ
前回の引きからは想像も出来なかった驚きの現象が畦目に起きてたけど、それはさておきの日常回ですか
2話と3話にてそれなりに絡んだけど、仲良くなったかと聞かれれば疑問符が浮かぶ乙と菫子。そんな2人を改めて交流させるEPとなったようで
突然の宿泊なんて普通は困るもの。けど菫子は驚きこそすれ、割合好意的に乙を受け容れているね
その中では化野兄妹への探りも入れているけど、それにも増して年上として乙に楽しい時間を過ごさせてやろうとの気遣いが感じられる
だからか、乙の側も菫子の傍で安心して寝れる程になったのかもね
サイクロプス隊はアルによって齎された危機がアルの機転によって回避された形。ここで彼らはピンチ以上のリターンを手にしているね
基地周辺を彷徨いても怪しまれない地元の子供
戦争に純粋な憧れを抱いていたアルが大人の思惑によって利用される構図は自業自得で済ませてはいけない戦争の業を感じさせるよ…
戦争に取り込まれていくアルを監視する役目をバーニィが任されるけれど、アルがあまりに無邪気な為に2人が本物の兄弟のように見えるのは可怪しな話
クリスを誤魔化す為に吐いた嘘が本人達にもそれが真実かのように効いてくる様子は戦争が近くに在る点を忘れさせるね
代わりに、ガンダムのテストパイロットであると明かされたクリスにより戦争の存在を意識させる構図になっている点は残酷な運命を感じさせるけれど
だからか、アルだけでなくバーニィの行動まで無邪気なものになっていくね。秘密基地を探して突発的な潜入行動だなんて。特に宇宙空間を経由して迂回するシーンなどはバディ物に似た雰囲気を感じたよ
バディは2人が同じ目的に沿って行動する事で冒険の醍醐味が生じる。するとバーニィと協力してガンダムを発見し撮影するアルの行動は紛れもなくスパイ活動でしかないのだけど、それを理解しないまま軍事利用されるアルの姿が無邪気を通り越しておぞましく感じる…