「旅館の仕事なんて大変なだけだしー」という結名と、自分たちが泊まる旅館を手伝わずにはいられない緒花は対照的に映っていた。
でも、そんな緒花の姿は本気だから、他の人たちにも伝わることがあったのだと思う。それは、最初は乗り気じゃなかった民子や菜子に伝わって…、そして果てにはクラスメイトたちも助けに来てくれた。
すると、結名の中にも変わるものがあった。いざ自分も風呂掃除の手伝いをやってみると、もちろん手に豆ができるくらいに大変だけど、楽しさもあった。緒花の本気のおかげで、結名も本気になることができて、だからこそ旅館の仕事の辛いだけじゃない楽しい一面を掴めたのだと思う。
まずは何事もやってみなくちゃわからない、そんな緒花の初心を結名を通して改めて実感できるようだった。
やって来たのは、修学旅行!にも関わらず、仲居として勉強熱心な緒花には、彼女の決意が現れていた。
だけど、いざ修学旅行先の旅館へ行ってみると、経営!経営!ばかりで喜翆荘のようなおもてなしの心はあまり感じられず…。そして、流れの中で、ふくやの結名は、私は「旅館の仕事は大変だし、好きじゃないとできない。だから、旅館は私のやりたいことの中にはないの」と言う。
色んな意味で緒花の輝きたい!とのギャップを感じさせられるようだったけれど、結名の「本気になれないなら手を出さない」というのも、一つの正しい信念なようにも思えるものだった。
遂に喜翆荘に来訪、いや来襲してきた皐月は、過ぎるくらいに的確な口出しをしてきて、良くもあるけど厄介な客でもあった。
しかし、女将に言わせてみれば、そんな皐月も立派な客であることに変わりはない。皐月がプロな客ならば、女将もプロとして応対する。そのために、女将も皐月のことをよく知る緒花に彼女のことを任せたようだった。
とはいえども、そんな三人は血の繋がった家族であることもまた変わらず。祖母と母と子で語らう中で、緒花は一つの決意を口にした。それは、「孝ちゃんにフラれてしまって……。だけどもう孝ちゃんの日常を振り回したくないから、もう手も出せないし、私の日常は孝ちゃんのいる東京じゃなくて、この喜翆荘」ということ。
そして、緒花は孝ちゃんへの想いを断ち切って、新たなスタートを切ったように思えるものだった。「私の輝く場所は、この仕事場でもあり、家族の居場所でもある喜翆荘」と再確認することで、もう迷わない!と胸に決めたように見えていた。そして、「そんな恋を捨てて、仕事に生きよう」という女の生き様はほろ苦いけれど、それだけ強く見えるものでもあって、なぜだか涙を掻き立てられてしまった。
そして、母・皐月をさらうことにした緒花だけど、同時に徹さんは孝一も連れてこいという条件を出してきた。
しかし、孝一を連れ帰ろうとした先で、緒花は 孝一に想いを寄せるバイトの同僚の子と出会ってしまう。そして、緒花は彼女の姿に、退屈でドラマのない街と思っていた東京でも、ちゃんと孝一に恋して本気でドラマをしてる人もいるんだ…と気付かされたようだった。
そんな自分との対比の中で、緒花は自分の不甲斐なさ、自分の気持ちばっか抱えるままに他人の気持ちは無下にしてきていたことを自覚する。そんな緒花の新たな一歩は、自分のやりたいようにがむしゃらにやることだけじゃなくて、やるべきことに懸命に食らいついていくということなのかもしれないように見えていた。だから、今回は孝一は連れて行かないし、母の事情にも理解を示したんだと思う。
とはいえ、母・皐月にも緒花のがむしゃらな頑張りは伝わっていた。皐月にしてみれば、今の緒花はかつて女将の母に反抗していた頃の自分そっくり。だから、そんな緒花の気持ちも買って、喜翆荘に行くことにした。緒花の頑張りは確かにお母さんにも伝わっていたし、今は曖昧な胸中かもしれないけど、鈍くとも確かに輝いていた。
やはり古賀葵さんの突っ込みは良すぎるし、水樹奈々さんの子供っぽいキャラが新鮮すぎて楽しい
そして、フェニックスの放つ異彩さよ
EDでサビ前に次回予告入るのもめっちゃ好き
終盤のクライマックスの怒涛の展開、特に二転三転をめくるめく繰り返すような白熱さは3部さえ上回るような最大瞬間風速だった……!!!!無能力者のハヤトくんが決定的なとこで吉良吉影を追い詰めるとこなんて、本当に絶叫してしまうようなアツさがあった………。
とはいえ、序盤から中盤はかなり物足りなさに欠けていると思わざるを得なくもあった、1話1話のパンチの弱さが全体として足を引っ張ってしまったのは確かでもあると思う。
ハヤトくんのバイツァーダストの回避方法、吉良に自ら喋らせる方法、生身の子供が最強無敵のスタンド使いを出し抜く姿に絶叫してる
そして…そして……、億泰〜〜〜〜〜〜!!!!!!
しかし、結局は旅行雑誌による喜翆荘の評価は低く…。納得いかないみんな、そして特に緒花は雑誌社に乗り込むことにしてしまう。なんだか無茶にも思える緒花だけど、きっとそこにはみんなの頑張りを認めて欲しい、頑張ることが輝けることに繋がると証明したいという思いがあるように見えていた。
そして、東京まで来た緒花だけど、あの評価記事を書いたのはそもそも喜翆荘に来てもいない母・皐月だった。「大人の事情だからしょうがないし、今までだってそうやって仕事をして緒花を育ててきたんだから」というお母さんだけど、緒花は今までお母さんに我慢してきたこと全部とまとめて怒りを爆発させてしまう。
でも、お母さんからの言葉に緒花も頷ける部分があるのだと思う。「人に胸を張れる立派なものだけが仕事じゃない」と自分で言いながらも、それで緒花を育ててくれたお母さんの頑張りと優しさまでは、緒花も否定できないはず。でも、自分の頑張りが報われてくれないことへの悔しさも確かにあるから、その二つの間で割り切れずに余計に悔しくなってしまう。
だから、そんなどうしようなくなってしまった時に、民子と徹さんが現れて、緒花は思わず泣き出してしまったんだと思う。今も昔も頑張りが報われてこなかった東京の中で、頑張れば頑張った分だけ認めてきてくれた喜翆荘という居場所を感じることができて、どこか安堵感といっそう際立つ悔しさとが涙に溢れてしまったように見えていた。
ここまでいっぱい頑張ってきた緒花だけど、遂に頑張りすぎで熱に倒れてしまって…。
すると、みんなも緒花ちゃんがいない分、そして緒花ちゃんが今まで頑張ってくれていた分に習おうと、喜翆荘全体がいっそう頑張ろうと意気込む雰囲気になっていた。
しかし、それを見た緒花は逆に自分ももっと頑張らなくちゃとしてしまって、見兼ねた菜子から「緒花ちゃんがいなくてもちゃんとやれるから」と言われてしまう。もちろん、菜子の言葉は緒花を安心させたいがためのものだけど、ひたすら頑張ることで喜翆荘の中での居場所を見つけられた緒花にとっては、自分がまるでいらない子みたいに思えてしまっていた。
そんな風に落ち込んで泣き出す緒花だけど、民子は不器用ながらも「あんたがいなきゃダメなの!」と言ってくれて、菜子も「それは違くて、早く帰ってきてっていうか」と必死に本心を伝えようとする。そのうちに緒花は安心したのか、再びに眠りに落ちてしまっていた。
そんな緒花とみんなを見ていると、倒れた緒花にみんなが「大丈夫だよ」と見舞いに来てくれることこそが、それまでの緒花の頑張りがみんなに響いていたことの証明だったように思う。それに、緒花がいなくても大丈夫というのは、緒花の日頃の頑張りがみんなに力をくれていたから、たまには緒花本人がいなくても大丈夫というようにも受け止められるようだった。
全然徹さんが見つからない〜〜〜〜!!!
とにかく焦る緒花だったけれど、そんな時に孝一が電話をかけてくる。そして、彼が電話口で語ったのは、「緒花がそれが一番だって信じたことはいつも何とかなってきた」という勇気をくれる言葉。それに力を貰った緒花は、挫けかけていたとこから復活して、遂に徹さんを見つけられた。
そんなこんなでもうヘロヘロな緒花。それは徹さんの目にも明らかで、緒花の上手くいかないかもだけど、それでもひたむきで向こう見ずながんばりは徹さんの心も動かすものだった。だから、「もし徹さんを連れてこれても、上手くいかないかも…」という緒花の零した呟きへの答えが、「必ず上手くいかしてやる!」だったのだと思う。
がむしゃらな頑張れば何か起こせるけれど、何もがむしゃらに頑張ったことだけが結果に結びつくわけではない。そのひたむきさを見た人が、自分も!と力を貸してくれるから、がむしゃらな頑張りはいつも実を結ぶのだと教えてくれる緒花と徹さん、そして孝一だった。
そして、何とか女将のいない一日を乗り切って、無事に女将が喜翆荘に帰ってきた時は、なんだかみんな一回り成長できたような気がして、胸を熱くさせられてしまった。
もう若くもなければ、夢も希望もない。それが巴さんであり、仲居見習いの緒花や菜子の若さと比べると、ますます自分の先暗さが際立つ。その結果が、実家からのお見合いの誘いにつけて喜翆荘を辞めようかとさえ思案する姿に現れていたように見えていた。
ところが、そんな中で厄介サバゲー客が喜翆荘を訪れ、緒花と菜子が振り回される事態に。そこで、巴はどうせ辞めるなら若い二人のためにもと、厄介客をとっちめるヤケクソに打って出る。
と思いきや、巴の嫌がらせはなぜだか厄介客にウケてしまって…。さらにその上、緒花と菜子にとっては、そんなヤケクソの巴さんのことが憧れるくらいの輝きを放っているように見えていた。だから、実のところでは、巴さんのヤケクソもただのヤケクソではなくて、若くないなりに最後に一花咲かせてやろうというヤケクソだったのだと思うのだ。
そして、とっちめるにしてもヤケクソに本気だったからこそ、不思議な化学反応でお客さんに喜んでもらえた。さらに、それだから、同時に巴さんの中でも、まだ喜翆荘で頑張りたい理由も見つけることができたのだと思う。そして、そんな巴さんを見ていると、てんでめちゃくちゃなことでも、何かやるなら本気でやらなくちゃという体当たりな元気を貰えるようだった。
喜翆荘にやって来たのは、なんだか厄介そうな経営コンサルタントさん。だけど、彼女の「挑戦」を叫ぶ姿に、緒花はなんだかいいなと思うところもあるようで。
だけど、コンサルタントの彼女が提案と言いつつ押し付けてきたチャイナドレスの仲居は当然のごとく空回り。そして、それは変わりたい!挑戦したい!という緒花に挑戦はいつも成功するわけじゃないという現実を突きつけるもののように見えていた。
そんな中、新たなテコ入れとして、今度の緒花と菜子は喜翆荘に眠っていたメイド風の着物を着ることに。そして、それは意外にも好評であると同時に、その着物はかつて女将さんが「新たな挑戦」として取り入れたものだったと緒花は知る。
そこで、きっと緒花には、嫌味ったらしい女将もかつては今の自分のような時があったと思えて、それがたとえ上手くいかなくても挑戦してみてもいいかもという力として感じることができたのだと思う。そして、そこには女将が挑戦するなら私も!という緒花らしい反骨心もあったように見えていた。
本気な民子と本気になれない緒花の対比と、そこからの変化が印象的なエピソードだった。
今回、旅館に起こった事件は板前の徹さんが喜翆荘から消えたということ。緒花や民子たちはふくや旅館からの引き抜きだ!と慌てふためくけれど、特に民子はただならない様子だった。
そして、それは民子が徹さんに抱えて想いのせいだった。かつて板前修行がしたいと押し掛けた民子を、喜翆荘で働かせてくれるよう取り計らってくれたのがその徹さんで。だから、民子は本気の恩義も好意も感じていたし、それ故に実力が認められて引き抜かれたことも本心とは裏腹に受け入れようとしていた。
そこで、そんな民子を見ていて、いても立ってもいられなくなってたのが緒花だった。民子の本気で悩んで恋してという姿は、今の緒花にはないものとして対比されていた。でも、だからこそ緒花は民子みたいに自分も本気になりたくて、まずは民子の想いを本気で応援することにしたんだと思う。
そして、民子が徹さんの引き抜きを止められない葛藤とは逆に、緒花は民子の恋心のために徹さんを取り戻そうとふくや旅館に押し掛けた。そこでは、きっと敢えて民子の想いと反対の行動をするというのが、緒花なりの本気の頑張りの示し方でもあったようにも見えるものだった。もし緒花も民子に合わせていたら、民子に緒花の本気は伝わらなかったと思うし、実際に緒花が自分なりの芯を貫いたからこそ、民子も徹さんも緒花のことを認めてくれる結末だったのだと思う。