全体の感想
・時間経過について。一瞬の場面切り替えで5年程度が何度も経過することと、マキアの外見が変わらないことは不思議な違和感を残します。
そこから気付かされたのは、彼らにとって人間の生が「たった一瞬のこと」と見なされるのではなく、定められた時間よりも意味的な出来事の重み(楽しい時間は早く流れる)(イオルフの村の破壊は一晩。レイリアが子どもを産まされ、植え付けられた孤独の時間。人間が老いるまで)がこの作品にあることです。
→ ヒビオルに描かれない夜明け。結末としては、レイリアの別れを『小さな綻び』(冒頭シーン)であるとしました。
・作品に登場する単語について。複数の固有名詞と日本人には聞き慣れない名前が登場するが、表記「ヒビオル」の発音が「ヒビウォル」だったことに少しだけ違和感がありました(他、「レイリィア」「イウォルフ」)。また、登場人物の中には呼び名が1度しか登場しないキャラクターがいるため、1度の視聴では理解が難しそうです。
キーワード
『さよならの朝』と『約束の花』について
・さよなら朝
最初の「さよなら」はマキアの両親への言及です。クリムとレイリアは、その日の終わりに両親に出迎えられたが彼女にはそれがない状況。上記の “命の長さの違い“ から「母親とは何か?」「生命の価値」を描こうとしたように思えます。
・約束の花
タンポポの綿毛『別離』と、ヒビオル 綿花『母の愛』が効いていました(冒頭のネモフィラは演出でしたが、映像内には何種類かの花がアレンジメントされています)。
――――――――――――――――――
物語の細かいシーンまとめ
――――――――――――――――――
1.時の流れの違い
青少年だらけ。髪を伸ばした長老の存在。
2.恋をしてはいけないという忠告(ラフィーネ)
寂しいだけじゃなかった、外の世界の関わり。不老不死なはずのマキアの両親について。
ラフィーネの予感
『シーン:糸のほつれ, 綿が水に落ちる』は物語の全体の始まり『メザーテによる侵略』を暗示していました。
――――――――――――――――――
シーン: 起 1
夜の密会 マキアの涙の意味は「ひとりぼっち」の寂しさ?
赤目のレナトはなぜ的確に彼女(または布)を狙った?
敵性存在について
少女趣味の示唆。「化け物」「女を狙え」。長命の血
幸せな夜の密会からNTRまで。混血者の存在と、彼らの生殖機能が人間のように機能することは、略奪時のセリフ「女を狙え」を視聴者に納得させます。
潜在的なテーマ: 民族紛争
シーン: 起 2
襲われていた移民族。死んだ母親に守られていた赤ん坊との出会い
(ここではテーマとして『人間と機織り一族との時間の長さ』。外の世界との関わりから伝えられている『別れの意味=再会』が進行し始めます)
母親による我が子を守るための “凄い力” は死後硬直だけではない。
集落との出会い
ダレルとしての印象「貴重な金づる」(イオルフ)
「わからない」- 母親とは?
・泣かないこと
(この家で彼女は髪を染めるが、もう一度その金色の髪が描かれるシーンは丁寧に演出されるに違いなかった)
→ 断髪。人間としての生活の終わり
慣習: 出産したら髪を伸ばす の意味?
集落での季節の流れは、風景の変化と具体的な描写として「水流がせき止められている場所の移ろい」によって描かれました。
エリアルの成長の過程
帝国 - メザーテ
レナトの赤目 - しまい込んだ思い。彼らが従者となった経緯は明かされません。
操縦者は彼らをコントロールできていないような描写。
オノラの死についての言及
母親による「オノラは早く生まれた」「誰にでも訪れる死」という教示は、マキアの涙のトリガーになっています。この死は「別れの一族」という呼名/伝承が、実際の出来事と重なる最初のシーンだが、その死の順番の前後はこれから彼女へ何度も訪れるはずでした(死の受容を当てはめないような描き方、また「母親の強さ」)
エリアルの出生と差別。怪奇なものを見るような視線は「よそ者」と「年を取らない少女」への反応です。顧客だったおばあちゃんは死んだだろう。
ディタの存在はこの物語の冒頭で示唆された『恋』が『家族愛』になることを私に予感させましたが、彼女の実年齢であった15歳はかなり絶妙な外見と設定、レギュレーションとの競合になる…
→ 軽く折れたディタの花
→ 姫様を助けに来た “伝説” の死でも花が落ちるが、私はそのシーンをディタの後悔と同等に扱います。
→ 彼女もまた母親になった。「ほんとうに私でよかったの?」から「愛していく」まで。
――――――――――――――――――
シーン: 承
マキアとエリアルの船出と空は厚い雲に覆われていましたが、途中から陽の光が差し始めます。船内、クリムとの再会。
レイリア奪還の画策
「母さんじゃないみたい」への適切な反応。モゾモゾ虫
2.恋をしてはいけないという忠告(ラフィーネ)
セリフ「本当のひとりになってしまう」
母親としての自覚。セリフ「その若さで」
(→「性行為をして子どもを育てられる環境を探してしまっている」)
(また、居酒屋のワンシーン。マキアがお尻を触られるシーンの表情は酷く現実的です。ここから私たちが知りたくなかった大人の事がわかってしまう気がします。男性からの視線にメニュー表で顔を隠すシーンとその描写は関連付けられません。彼女は素性を知られてはならない)
「布を踏みつけてしまうこと」の意味
――――――――――――――――――
シーン: 転1
巣立ち。外見上は色恋沙汰と自我同一性、またマキアの年相応の寂しさ(思い出の石)を描いていますが、彼女の実年齢は人間の母親に近づいていきます。反抗期と呼ぶには複雑すぎる環境。
「俺じゃ守れない」
→ 自分が守れる場所を作る、父親になる
クリムの誘拐までのこれらのシーンでは、ストーンチャイムがよく効いています
(クリムがマキアへ攻撃的になる理由は、憎むべき略奪者のような生活を続けていたように見えるためで、保守的に復讐を強く望みます。彼のヒビウォルの終わりはメドウェルの父親によるもので、追い打ちのように『ヒビオルの塔に似ている場所』『レイリアが話しかけていたレナトの前』で死にます。戦争の発端は彼にあるが、ヘーゼルの言う「皮肉な結末」を呼びました)
シーン: 転2
他国家軍による侵略
このシーンでは様々な要素が、並行して終結に向かいます。それらは
1.ディタの出産 から始まり、
2.開戦
3.マキアとエリアルの再会
4.レイリアとクリムの再会 までです。
(確かに、3から1への合流と3の最初の出会いは「運命的」に映り、ディタがマキアに気づくシーンさえを巻き込みます)(ねえ想像してみて、橋の上に転がっている全ての死体には母親がいたこと)
――――――――――――――――――
シーン: 結1
マキアは再会したエリアルのことを「母さんではなかったとしても、わたしの一部であった」とするが、それがタイトル「さよなら」(彼らが伝説であること)を意味しました。
シーン: 結2
2度目の再会、エリアルの最期。
バロウとメドメルの違い? この感動的なシーンで私がメザーテの見当違いを思い出す必要はなかった。
(ところで、メドメルとエリアルの孫は同じ声でしたか…???)