この作品では見る、見られる事が重要なポイントになっているのかな?
冒頭の進路が全く思い浮かべられない多々良の表情が何処を見ているのか判らないものになっていることに始まり、DVD映像で俺を見ろと強烈にアピールしてくるダンサー達、極めつけはラストの夜明け後のシーンか。
多々良の窓を見るまで一晩経っていることに気付かなかった点は異様だが、それへの周囲の反応が面白い。仙石も雫も多々良のボックスを殆ど見ていないが大量の汗や足の裏の豆、壊れた靴などから練習風景を見ていないが実際に見たのと同じくらい多々良が真剣に練習していた事を知る。これは非常に面白い表現のように思えた
ダンス初心者でありやりたい事が見つからなかったはずの多々良がいきなりこのような練習が出来るのはおかしいように思えるけれど、それは彼が「何か一つ胸を張って好きだと言えるものがあれば僕は変われる気がする」と言うように、あのDVDの映像を見た瞬間から多々良の中で何かが変わり始めていたんだろうね。
見た目的にインパクトのあるケンタウロスの姫乃を始めとして種族の違いを描きつつ、個性の違いも描かれているのは印象的
姫乃は身体が大きいから舞台装置を丈夫に作る必要があったり、本気で走れば希たちを置いてけぼりにするほど速いのは種族による違い
手書きの訂正を信じて本当にキスしてしまったり、実は運動音痴だったりするのは個性による違い
『亜人ちゃんは語りたい』が特殊な体質を持つ亜人を周囲の人間や社会がどう接していくのかというテーマを提示した日常系であったなら、こちらは人間が居ない事で逆に普通の定義が存在しない世の中でそれぞれの種族や個性の違いをすり合わせていく日常系なのかなと感じた
普通が存在しないということは作中で語られているように差別や偏見によって容易く地獄が発生しかねない危険性を孕んでいる。だからこそ教室の外からスーツの大人が監視しているかのように見ているは仕方ないのかもしれないけれど、とても印象が悪い
なら、姫乃達は窮屈に暮らしているかと言えばそんな様子はなく、穏やかに笑いあっている。そこには種族や個性の違いは有ってもペースを合わせるために歩くような速度でマラソンしつつおしゃべりする日常を楽しいと感じる、とても普通な感情があるからなんだろうね
菊地原にとってマンガ・アニメなんて全くの専門外領域だろうにそれをおくびにも出さず全体の指揮を取る姿は立派。スケジュールに文句が出れば「死ねと申し上げている」と一括。これに似た台詞を最近冴えカノで聞いたせいか、彼女がいればプロジェクトは遅滞なく進むのだろうなと信頼してしまう
ただ、プロジェクトの中心となる松原達はどうなのかと言えばちょっと不穏な空気が…
そもそも一個の物語として成立している作品を幾つもクロスオーバーさせようとするのだからどうしたって設定に無理な部分や納得し難い部分は生じてしまう。でも無理だからと言って中途半端な出来にしてしまったら観客から承認力は得られなくなってしまう。そういったジレンマを象徴していたのが今回のクリエイターチームの空気感なんだろうね
世界観どころか対象層が全く異なる作品があり、制作陣だって絵師と漫画家に小説家、一人で執筆する作家や集団で作り上げてる雇われみたいに様々なタイプの人が揃っている
でもその不和によってクリエイターチームがバラバラにならないのは、やはり彼らにとって創作をすることやその中で藻掻いたり苦しんだりすることは楽しい事だからなんだろうね。だから八頭司だってツンデレみたいなセリフを吐いてしまうし、実力差を見せつけられたまりねだって笑顔に戻る
そういった創作者達の心意気を間近で見た颯太は何かしら思いついたようだけど…。颯太がアルタイルに見せるため考えた『酷い事』って何だろう?他の面々がアルタイルに影響するような描写は難しいと諦めている中で、シマザキセツナの想いを知っている颯太だけが思いつくアイディアってどんなものだろう?
ラストに現れた制服があざとい印象の少女はまさか恋愛ゲームからの現界?だとしたら戦力になるイメージが全く無いんだけど……
原作既読。そういえばいきなりカラオケでお触りしている所から始まるんだっけ。今にして思えば結構唐突な始まり方
それにしても10分枠でOP・ED完備とは恐れ入った
由真は武田と初々しい関係を初めたばかりでデートの帰り道でキスと青春街道まっしぐらのはずが思い出すは蛍の悪戯ばかり……
その後も「どうして抗えないんだろう?」とNTRモノでは定番の台詞があっさり出てしまう辺り由真は既に蛍の術中に嵌っている印象
大事な作戦を前にして唐突に部屋の大掃除を始めるカミーユは一体何なんだろう?受験勉強をしなければならないと思いながら部屋の掃除を始めてしまう学生みたいなもの?
それを細かいこと言いつつ手伝うエマのポジションもよく判らないな。母親役になるのは嫌なんじゃなかったのか?結局エマにとって色々な部分が不安定に見えるカミーユの世話を焼いてしまうのは本能から来る衝動みたいなものなんだろうか
初登場時の居丈高な姿勢がすっかり見えなくなってしまったジェリドはシロッコに利用される立場に甘んじるようになってしまったようで。本人としては雌伏の期間でいるつもりのようだけど、それすらシロッコは見通しているようにも思えるしここから彼が大逆転を果たしカミーユのライバルポジションに舞い戻る展開が全く予想できないなぁ…
総集編に見せかけたメテオラ毒舌回。挙句の果てには自分を美化してアルタイルを倒す描写を入れてしまうのは笑ってしまった
これまでの話を振り返る面も多少はあれど、どちらと言えばメテオラが周囲の人々をどのように見ていたかが判る話だった。ネガティブイメージだったり毒舌の対象となっていなかったのって、颯太とまみかくらい?
特に終盤で颯太の手を握る描写からはメテオラが颯太をある程度特別に見ているのではと思ってしまう
いつもに増してメタ発言の多かった今回だけど、物語世界のキャラクターが現実世界に現れた事をテーマにした作品だからこそ出来る描写なのかなとも思えた
第一話でクトリとヴィレムが街歩きをしていた時に流れたスカボロー・フェアがクトリとヴィレムの述懐シーンで再び流れた時は泣きそうになってしまった。
あと、こういう形で終わりを迎えるとは予想していなかったから、どう受け止めて良いのか非常に迷っている自分がいる
視聴者から見ればあの二人の結末はどう考えても不幸なもの。それでも終わりかけた世界の中で幸福を知らないまま死ぬしか無かったはずの二人が、些細であっても欲していたものを手に入れられたというのなら、前回ラーントルクが語っていた幸せの定義に当てはめればそれは幸福と言えるということか
ほぼ完全に侵食が進みノフトの事も判らなくなっていたクトリが「今の私は誰が何と言おうと世界一幸せな女の子だ」と言うのなら、クトリにとってそれは迷いのない真実なんだろうね。だからこそそんな幸福をくれたヴィレムに笑顔でありがとうと伝えられる。
対するヴィレムの述懐は後悔が滲み出ている。最後の「馬鹿野郎」はクトリの幸福にも自分が手に入れた幸福にも、今の今まで気付けなかったことへの罵倒か?
二人の幸福感には負けるかもしれないけれど、ネフレンも他者を助けることを役目として与えられていたはずなのに、ヴィレムに助けて貰えたのは彼女にとって幸福だったといえるのだろうね。だからこそそのような幸福をくれたヴィレムを守るためにその手をあえて離したのかな、なんて考えてしまう
クトリ達3人は戦没者扱いか。スウォンの鼓動探知の様子を見るに生きてはいるようだけど……。
残されたアイセア達の前に再び現れて欲しいと期待してしまうけど、続きの話がアニメ化されることはあるのだろうか?それとも原作読めということですか?
前回熱烈な抱擁を見せつけていたカミーユとファが早くも反発開始。どうしてこうなった
カミーユはファが戦場に出ることを心配している面もあるけど、やっぱりフォウのことを引き摺っている部分が大きそう。ファもそんなカミーユの心ここにあらずなイライラを理解しているから尚更反目してしまう
そんな不安定な両者を上から目線で庇うエマは前回と態度が変わりすぎてません?遂にはカミーユをマザコンで自分を好きとまで言い切りましたよ、この人。
これまでカミーユが操っていたMarkⅡをさらっと受け継いでいる辺り、まるでカミーユの最も身近な理解者になったようにさえ思えてしまう。エマの言葉は一面では正しいかもしれないけれど、そんなことを言い切れる豪胆さは近年のアニメには見られないタイプかも。それが富野ガンダムの良さとも言えるけど
ジェリドはシロッコから部下を任されたものの、頭でっかちな印象のあるサラやあっけなく撃墜されたチドレを見るに使えない部下を押し付けられたのではないかと錯覚しそうになる。前回の意味深な描写やニュータイプっぽい言動から後々活躍していく……のかな
戦後のファの言い訳は酷い。対するエマの叱責があまりにも正論過ぎて、最近すっきりしない展開が多い本作で良い清涼剤になったように思える
ルコアの助言を受けたカミーユは次回こそファと仲直りできるのかな?そして予想外のプレゼントを受け取ったエマの反応は?
今更だけど羽鳥の両親が人形状態から回復していたのは紗名と力が相殺されたから?その割には一度目の衝突の際には回復しなかったような…
後、ワンダーランドが暴走を止めた理由って本当に蔵六に説教されたからなの…?
蔵六と早苗の姿勢が相変わらず素敵。早苗はワンダーランドの滅茶苦茶な在り方を楽しんでいるし、蔵六はワンダーランドの奇妙さを見たことで紗名がこれまで歩んできた道が平坦でなく色んな人に助けられてきたことを理解し、自分もそうだったと言う。早苗もこれに同意する。つまり紗名と自分を同等に考えたということ。
こんな騒動に繋がったのだから紗名はこっぴどく怒られるのかと思っていたけれど、それをしなかったのは今回の騒動は紗名にとって避けられない事態で必要なのは紗名に怒ることではないと思ったからなのかな。で、自宅に土足で踏み込んだのを怒ったのは避けられる事態だったからか
紗名と和解し、自分の心に素直になれたことで歩にも謝れた羽鳥。更に蔵六が別れ際に「確かにお前さん達は償わなきゃならんな。それは変わらん。だが、味方はいる。困った事が有った時いつでも連絡しなさい」と言ってくれたのは自分のやらかした事に耐え切れず暴走してしまった羽鳥にはとても響く言葉だろうね。そして家に帰れば両親が自分が居なくなった事をとても心配して探し回っていたことを知ると
一方の親にとっても羽鳥が居なくなった事で改めて羽鳥の大切さを思い知ったのかもしれないね。近いからこそ見えず離れたからこそ見えてくるものもある
変わらず羽鳥は危険な力を持ったままだけど、こうして自分を心配してくれる人が周囲にいると理解できた事で安定していくのかな
ラストに政府がアリスを認めたのも大きな意味で言えば羽鳥や紗名の成長を見守る人が増えたと捉えることも出来るのかな
終わり方としては綺麗ではあるんだけど、原作がまだ続いているせいか未消化な部分もあってどこかもしゃもしゃしてしまう。
けれど全体で見ればアリスの夢を有する未完成な子供たちを蔵六を含め心暖かな人々が見守る作品として非常に楽しめるものだったと思う
颯太はセツナからのSOSを拒絶してしまったのか。その後、死んだと聞かされれば自分が背を押してしまったと考え、繋がりを全て断とうとしてしまうも仕方ないか。これを聞いた松原の言葉は優しさと厳しさが丁度よい感じに混ざっていて良い言葉だね
メテオラに覚悟を問われ、真っ直ぐな瞳で「アルタイルを止めたい」と答えられた颯太はようやくセレジア達の仲間になれた印象
ただ、セツナ自身は颯太の拒絶をどう思っていたのだろう?遺書のようなメッセージには感謝の言葉ばかりだったのは彼女の純真さを感じられるけどどこか違和感がある。それに今は世界を滅ぼすために行動しているアルタイルも、そのメッセージでは愛されることを願っていたようだし、シマザキセツナの自殺にはもう一段階隠された秘密があるのでは?と勘ぐってしまう
アリステリアは創造主との対話を通して、あまりにも悲惨だった自分の世界はきちんと愛されたものであり、それを読む人々に力と勇気と正義の有り様を語るために作っていることをようやく理解できたようで
初対面時披露されたアリステリアの石頭や作者のビビりっぷりからは想像できない展開だったなぁ。作者が命の危険を感じているから話せた部分もあるだろうけど、アリステリアも相手を危険に晒しているからこそ逃げずに相手の言葉に向き合えたのだろうね。これは颯太から受け取った言葉だけでなく、まみかとの会話も活きているのだろうなと思える。
メテオラによって示されたアルタイル打倒の策。承認力の高さを競うためとはいえ、かなり大規模な作戦になりそうだ。
物語空間が完成すれば「後は全てがアドリブで進行する」とのことだけど、これまで物語を飛び出し自由に動き戦っていた彼女達がアルタイルを倒すために再び物語に戻る必要があるとは不思議な話。しかも実際に物語に戻れば筋書き通りになんてならず「何処に転がるか誰にも判らない」とは被造物と創造主が紡ぐ物語の結末としてはとても面白い。
もちろんその物語空間に辿り着くまでだって「何処に転がるか誰にも判らない」。ラストにセレジアの相棒が登場し敵側に付くなんて誰も想像しなかったように。
再びの六天場モールで加藤とデートする倫也。あの日をやり直すようにまずは作戦会議から入り、混んでないのに手を繋いで走り出す。この時の二人のやり取りが素晴らしい。
結局安芸倫也一人だけでは立ち直ることは出来ず、加藤の助力が必要だったんだけど、かと言って加藤も一人だけでは変わることなんて出来ず倫也が引っ張ってくれたからこそ、ここまで来れたとも言える。そんな二人の関係性は最早夫婦すら越えているように思える
眼鏡のお礼にと帽子を買ってもらった加藤のリアクションが控えめながらも好印象。こうした触れ合いは倫也が初期衝動を思い出すには充分だろうね
坂での再起宣言と約束。約束の内容が一風変わっているなら泣き出した倫也への対応も加藤は一風変わっている。ここまでの関係性が構築され、二人はゲーム制作において掛け替えのない相棒の立ち位置であるはずなのに、加藤はこの時倫也に触れないし言葉もかけない。
二人の関係性は端から見たらどう見ても夫婦のようなものだけど、それでも加藤が倫也の傍に居るのは恋愛感情から来るものではないからなのかもしれない。それでも傍に居てくれた加藤はやっぱり倫也にとって最良のパートナーなんだろうけど
ホームでの会話。初めの部分は詩羽達から旅立ちの覚悟、倫也から送り出す覚悟を感じられて良い雰囲気だったのだけど、詩羽のキスで全てが……(笑)
あれじゃ英梨々が完全に噛ませ犬になっているじゃないか(笑) そんな三人の傍でしれっと閉まる新幹線のドアが旅立ちの雰囲気ぶち壊しに拍車を掛けているのがなんとも
ラストでは出海が入学してきた事で新しい始まりを予感させたけど、時系列入れ替えて六天場モールの話をしたってことは第三期は流石になさそうだなぁ
前期含めかなり楽しんでいる作品なだけにまだまだ続きの話を見てみたいのだが…
エルクからレプラカーンの真実が語られたけど、情報が断片的すぎてイマイチ要領を得ない。次回はもう最終回だからしっかり説明されることはないんだろうな…
リーリァがエルクに語った好きな人(ヴィレム)のために世界を救う覚悟が妖精の誕生に繋がり、回り回ってエルクの魂を受け継いだ妖精クトリがヴィレムを好きになるというのは何とも因果な話
前回のプロポーズを引きずって赤面しっぱなしのクトリが可愛い。それに釣られてヴィレムまで赤面するとは思わなかったけど。「キスさせろって言ったら逃げないでくれるかな」なんて見てるこちらまで恥ずかしくなってしまう
だからこそ氷漬けになったエルクを見つけたことで一気に侵食が進んでしまったクトリの姿があまりにも哀しい
ネフレンの「誰が悪いわけでも間違えたわけでもない。皆一生懸命なだけ」という台詞が今回の話の全てを象徴しているように思える。
ノフトとラーントルクが数百のティメレを前にして退かないのも、ネフレンが自身を顧みず戦い続けるのも。ヴィレムがボロボロの身体で巨石によるダメージが有ってもクトリを背負って走り続けること等、全てが一生懸命の行動によるもの
500年前に戦っていたリーリァの覚悟も相当のものだったし、話を聞く限り星神とて世界が滅ぶのを止めようとしていた。誰もがただ、一生懸命だった
そしてクトリとヴィレムは幸せになりたい、してやりたいと約束までしたというのに…
それらが上手い具合に噛み合わず現状に至っているのかと考えると遣る瀬無い気持ちになってしまう
次回は遂に第一話冒頭のシーンへ。どうかハッピーエンドを迎えて欲しいものだけど、どうなるのだろうね……
まさか紅子が箱崎への印象を改める描写がないまま終わると思わなかった。
夏目の友人帳に関する話も名取の反応が抑えめだったためかちょっと消化不良気味。また、箱崎の式に関しても夏目の態度に多少の感謝を示しつつも夏目達を拒絶し最後には箱崎の書斎を燃やしてしまうからなぁ
そういった意味では今回の話はちょっと肩透かしを食らったような印象がある。そもそもこれまでの夏目シリーズ最終回で恒例だった登場キャラ集合ですらないのだからある意味当然かも知れないが
しかし、逆に考えてみれば結局誰にも見つからないままになった箱崎の書斎のように、描かないことであえてそれぞれの物事の大切さを伝えようとしているのかなとも思う。紅子が箱崎の印象を改める描写はないけれど、箱崎が大切に持っていた家族写真は式の言葉を聞いた夏目の手によって渡されている。その時、どのような会話が交わされたか判らないけれど、夏目なら何か大切な事を言ったのだろうと想像できる
名取に関しても自分が友人帳の秘密を聞いていいのかと悩んでいた姿、思わず「そんな危ない物燃やしてしまえばいいのに」と言ってしまうのは自分だったらそうするという意味合いだろう。そういった部分を見ると名取の中で夏目の印象が大きく変わったのではないかと想像してしまう。同時に夏目がどんなものを抱えているかを知ったことで名取はより夏目を想った行動が出来るということも判る
そして今回、というかシリーズ通して最大のインパクトだったかもしれない夏目によく似た男性の話。
これまで夏目に似た人物の話は出ても、レイコ以外の祖父母や両親が描かれてこなかったし妖怪が見える人なんてそう多くはないだろうから自動的にそれは祖母のレイコだ、と夏目は思い込んでいたし視聴者の多くもそう思っていた。それがひっくり返されるような情報が第6期の最終回で示されたのだから驚くなというのは無理な話
本作では未だ描かれないレイコのその後。そこには現在の夏目貴志に至る大切な物語があるのだろうけど、それがアニメで描かれる日は来るのだろうか?
これまでワンダーランドは紗名が作り出した場所と認識していたのだけど、ワンダーランドの一部が先に紗名として誕生してその後拡張していったという流れなのか。かなり衝撃的事実
それならばワンダーランドの風景はおかしなオブジェや紗名の思い出などで構成されているけど、単純に紗名の心象風景と見るよりもワンダーランドが紗名を通して見た世界の形と考えたほうがいいのかな?
蔵六の「後でこのワンダーランドとやらに説教してやらなくちゃならない」という台詞もちょっとずれているように思えるけど、ワンダーランドの人格性を認め、同時に紗名と分け隔てなく扱っているとも考えられるか
もしかして前回からチラチラ登場していた謎の兎がワンダーランドの核?
前回「私は判ってて悪い子になったのよ」と居直っていた羽鳥は家に帰れないかもしれない状況に心が折れたのか悪いのは私の方かもしれないと謝ったのは驚き。同時に紗名も謝ったことでようやく二人は相手を見て話をできるようになったようで
暖かい家庭を知らないまま育ち研究所から逃げ出したことで家族を手に入れた紗名と冷たい両親に絶えきれず逃げ出した先で家族を失った事実を受け入れた羽鳥を対極の存在と捉えていたのだけど、結局は「自分は誰かを好きになることは間違ってて、本当は要らないものなのかも知れない」という共通の不安感を抱えていたことが判明したのは衝撃的だった。もう家族に会えないかもしれない状況下で同じ椅子に座って話し合ったことでようやく和解できた二人の姿には少し感動してしまった
紗名と話し合い、優しかった母の面影を思い出せた羽鳥。「もう一度ママに会いたいの」と心を吐露したけど、今のところ家に帰れそうな兆候はないし両親は人形のまま。最終回でどのような奇跡が起こるのだろうか?
また、紗名は羽鳥関連の話が始まって以来身勝手な行動が目立っていたけど、やはり蔵六にしっかり説教されて終わるのだろうか。その辺りも楽しみにしたい
これまで途切れ途切れに登場していたシロッコが本格的に話に絡んできたわけだけど、嫌になるほどキャラが強烈。
「私は、私がいなければ時代は変わらないと感じているに過ぎない」という台詞なんて「過ぎない」と言葉の終わりは謙遜的でも話の内容はまるで自分を英雄のように扱っている衝撃。また、マウアーへの態度も非常に高圧的でナルシストだが、それが実力に裏打ちされたものだということは充分に示されているのだから始末に負えない。
ジェリド久々の登場。シロッコのもとで試作機を任されてるのはいいけど、あまりシロッコからは相手にされてないような?
MarkⅡを他のマシーンと違うと言いつつ私情を優先して倒し損ねてしまうジェリドからは成長をそれほど感じないな。それどころか機体を失った上に打ち身で医務室送りになっていたり、シロッコから小僧扱いされていたりと散々。
彼がカミーユのライバルキャラとして堂々と立ち振る舞う日は来るのだろうか?
宇宙に戻ったカミーユ、ファが居なかったことで少々荒れ気味。そんなカミーユへのエマの挑発は酷い。あそこまで居丈高に説教できるのはお嬢様キャラくらいなものと思っていたよ。あの表情はかなり記憶に残りそうです
ゼータガンダムを運んできたファと再会して早速抱きしめたカミーユには驚いた。いつものように捻くれた態度をとるものと思っていたけど、地球での体験が彼を変えたのかな?
その変化の中には確実にフォウの存在があるのだろうけど、それをファが知ることはあるのかな?また抱き合う二人を険しい顔で見ていたエマは結局カミーユの事をどう思っているのだろうか?
今回は人同士、被造物同士での会話が抑えられた代わりに人と被造物による会話が目立ち、これまで行われてきた歩み寄りが如実に現れているようで面白い。特にセレジアと松原はお互いの立場や責務を意識した上での会話であるためかその傾向が顕著。
寝ているせレジアを見守る松原の表情は親のよう、戦闘時の改変を称える際はまるで命運を預けあった相棒のようだけど、作品にもっとお話を盛り込もうと話し合う姿はやっぱり創造主と被造物なんだよね
瑠偉が颯太を慰めたのは少し意外だった。初登場時の印象からあまり配慮とか出来ないタイプかと思っていたよ。これも彼が作品から飛び出たことで変わった部分の一つなのかな。
「ここに来てあの世界を何とか出来るのは結局僕だけなんだってはっきり判った」と「僕らと違って自分の行く場所を自分で決められるって事」等の台詞は一歩を踏み出す決意をしてもまだうじうじが抜けていなかった颯太にはとても響いたよう。今の颯太がしなければならないこと、出来ることはアルタイルの創造主シマザキセツナについて語ること。それを苦しみながらも決意できた颯太は偉いね
「同じものを見て一緒に喜んだりする人が居なかった」と颯太は言うけれど、多分セツナも同じ思いを抱えていたのかな。他にも、キャットウォークみたいな場所に行き、落ちそうになったのを引き上げた時に感じた冒険心含め、二人には共通点が多いように思うけれど絶対的に違ったのが絵師としての実力。
恐らくセツナに恋をしていたであろう颯太にとって他の部分で近さを感じる分、あまりにも絶望的な差であるように感じられたのかもしれない。
ここまでの話だと「僕が殺した」とまで言い切れる行動は無いように思うけれど、この先の話で颯太は何か決定的な失策をしてしまったのだろうか
第二期は巨人で出来た壁が人類を守っていたことが判明するのに始まり、巨人の正体が実は人間だったかもしれないと疑惑を呼び、最終的にはエレンが巨人を操る力を持っていることが判明し終了する。
重要な情報が多く明かされた第二期ではあったけど、経過時間的に僅か数日間の話だった点を考えるとこの作品で1クールってやっぱり短いよなぁと思わずにはいられない。第三期が来年と成れば尚更にもっとテンポよく見たいと思ってしまうのは仕方ないか
ミカサがエレンに感謝を伝えるシーンでミカサはキスしようとしてたのか。原作は読んでたけど判らなかったな。
それをスルーして人の姿のまま巨人に戦いを挑もうとするエレンは主人公として正しいのかどうか判断に迷う
誰も彼も記憶を盾にフォウに無茶な要求ばかり。それでもその要求に従わざるをえないほどフォウは自分の記憶に固執しているのが何とも哀れ
アムロが今回積極的にカミーユを宇宙に居るアーガマへ届けようとしたのは、カミーユの可能性を伸ばすことで自分に良い影響がもたらされることを期待しての行動。ここでアムロが言う「良い影響」って何を指すんだろう?単純な戦闘力ではないだろうし、やはりララァの呪縛から開放されることなんだろうか?
その裏で行われるカミーユとベルトーチカの口論は印象的。あんな言葉を発せられる若者って……
あれだけティターンズから評価を得ることばかり望んでいるように見えたベン・ウッダーはMS部隊が尽きたことを契機に特攻を通知。驚きなのは彼についてくる士官が何人も居たことか。無茶な作戦ばかりだったからてっきり人望なんてない人かと思っていたよ
それでもフォウとアムロによってアウドムラに全くダメージを与えられなかったのは可哀想だけど。最期のセリフすら無かったな……
再び戦場でハッチを開きあう両者。これは心を開くとの比喩なのかな?だからこそカミーユは場違いにも思える自分語りを行なう。そうすることでフォウに自分を受け入れて欲しいと懇願しているようにすら見える
けれど、フォウの答えとしては「お互いの居場所に戻りましょ」「此処は貴方には相応しくないわ」だった。以前フォウはサイコガンダムのコックピットに自分の記憶があるようなことを言っていた事を考えると、此処=私という意味なんだろうね。
その後、フォウの助力によってフォウが残されたスードリからファが居るはずのアーガマへ。しかし、そこにファは居なくて……。空へ向かう途中の「これでよかったのか、フォウ」という台詞とこの状況を当てはめてしまうと無用なことを考えそうになるな
紅坂朱音の狂気を受けての補足説明とそれへの決意表明回といったところだろうか。……仕方ないけど第二期になってから美智留が全く話に絡んでこないなぁ。彼女が決意表明する回はやってくるのだろうか
英梨々は紅坂朱音の失礼な態度や倫也のことがあるから、組むなど在りえないと口では言っているが企画書には夢中になってしまう。更には長く続いていたスランプを脱する切っ掛けとなったのも朱音の言葉であり、倫也が求める凄いイラストレーターになるためには朱音の下にいるしか無いとなれば英梨々には朱音の誘いを断る理由はないのだろうね
最初は倫也との繋がりを維持するため、倫也との中を引き裂いた世の中を驚かせるために始めた絵描きだったけど、朱音から受けた屈辱を切っ掛けとしてモチベーションの根幹が変わっていく描写は悲しかったな…
詩羽は英梨々の実力を認めつつも自分の方が評価されているというプライドはあったはず。それが朱音からすれば英梨々が居なければ意味が無いとまで言わればそれを見返したくなるし、再び英梨々と仕事をしたい気持ちが強いのなら元から朱音の誘いを断る理由は少ない
それでも町田の元を訪れたのはその決断を肯定してくれる相手が欲しかったということだろうか?それとも逆?
英梨々と詩羽の二人でした決断は朱音を倒す事。つまりは紅坂朱音を超える凄いクリエイターになった後は倫也のもとへ戻りたいという意思表明でもあるのかな
意外だったのはこれまでまるでライバルキャラのような行動ばかりだった伊織が目指すのはそこそこ仲間とわいわいやれるゲーム作り。出海の件も含めて伊織が参加したいサークルは倫也のサークルだと視聴者には丸分かりなんだけど、自分からはそれを口に出さない伊織はどれだけツンデレなんだと突っ込みたくなる(笑)
倫也から大事なものを奪っていった朱音は本質的には倫也に近い創作理由を持っていることが示される。となれば茫然自失となった倫也は改めて自身の創作理由を見つめ直し紅坂朱音を倒す決断をしなければならないのだろうね
そんなタイミングで印象的な再会を演出した加藤の正妻力は果てしなく高い
幾ら何でもクトリの前であのマッサージをしないでも良いだろうに(笑) あんな反応をされると、まるでヴィレムがクトリの目の前で浮気しているように見えてしまうよ(笑)
その反面、クトリが調査隊の面々から人気者に成ればムスッとしてしまうヴィレムの様が何とも面白い。達観した物腰のせいで忘れがちだけど、ヴィレムってまだ18歳なんだもんなぁ。そりゃ大切な女の子が他の男どもからちやほやされてたら心穏やかじゃいられないか
クトリとしては自身が役立たずと思われればヴィレムの評価も下がってしまうから頑張っているだけなのだけどね
クトリの幻覚か、前世の記憶の中でリーリァ登場。彼女が戦っていたということはエルクは人間の敵だったのか?言葉を発すだけでリーリァがダメージを受けていたけど、この力はクトリに受け継がれていたりするんだろうか?
リーリァの世界を救いたい理由が「好きな人が居るから」というのはとても素敵な理由。その為に命を懸けねばならないのは悲壮すぎるけど
それにしても遂に明かされた獣の正体がかなりエグい…。何故そのような存在が出現したのかはまだまだ判らないけれど、場合によってはアルマリアや養育院の子供たちが獣になっている可能性すらあるのか
これまでのヴィレムにとって獣は自分たちが滅んだ後に出現した正体不明の敵だと思っていたから深いことを考えずクトリ達を手伝うだけで良かったのだけれど、この事実を知ったことで余計な邪念に囚われたりしないのだろうかと心配になる。
クトリに抱きついたのは人間として今の人類に対する贖罪の意味もあるのかもしれないけど、過去の思い出になってしまった存在を優先するよりもいま目の前に居るクトリを幸せにする事を明確に選択したようにも思えるな。
ネフレンを含む周囲の取り巻きからすれば今更のようなプロポーズでクトリを幸せにすると決めたヴィレム。クトリに残された時間は少ないように感じられるけれどその決意を有言実行することは出来るのだろうか?
夏目が友人帳を名取に隠す理由を「名取さんは優しくてああ見えて心配症っぽいから、話すとなんか俺が心配になりそうなんだ」と語ったのは少し意外だったけど、それに対して柊が「話さなければ話さないで心配することもある」と返したのは印象的な会話だった。
ここで二人が語っている言葉の意味は見えない、判らないことによる心配や恐れなのかなと思う。夏目は禁術である友人帳を名取が知る事で更に名取が厄介な事態に巻き込まれてしまうのではないかと危惧しているし、名取は夏目が隠している秘密により夏目の身に危険や的場の手が伸びるのではないかと心配し小物妖怪にまで聞き込みをしている
妖怪が友人帳を狙いに夏目を襲ったあの場面では、夏目の身を心配すると同時に夏目の心も大切にしたいと思っているからこそ、聞かなかったことにすると言い出す名取の優しさは深くて暖かい。
これは夏目の言葉で直接聞きたいという想いの他に友人帳のことを知られたかもと恐れる夏目の姿を見て言ったのだろうけど、夏目もその言葉で名取が真剣に自分を心配してくれていると知ったからこそ自分の口で名取に説明しようと決心したのかな。
Aパートで祓い屋の術のことについて「深く知れたら恐れるだけじゃなくもっと出来ることが増えると思う」と夏目が語っていたように、相手が自分のことをどう思っているか知ることで踏み出せる一歩もあるのだろうね
普通、遺産目当てで部外者が大勢押し寄せたら家人は迷惑に思うものだけど、紅子の場合は別。それどころか屋敷とともに祖父の思い出が壊れることを望むかのように振る舞う姿は一種異様とも言える
見えない妖怪について話してばかりいた祖父を敬遠するあまり住んでいた家すら嫌うようになった紅子は、今回の騒動を通して祖父の想いを知っていくことになるのかな?
歩はとことん良い子だな~。
紗名に突然閉じ込められた状況だったのに、紗名の力を借りれば羽鳥を助けられるかもしれないと思った途端に以前の騒動を謝ると言い出し、何故羽鳥を好きなのかと問われれば友達だからと返す。多くの人との交流を通して段々と大切なものが増えてきた紗名にとって友達だから助けたいという歩の真っ直ぐな想いはかなり刺さったよう
それでもここで紗名が歩を良い奴、羽鳥を悪い奴と認定した点からはまだまだ紗名には学ぶべき事が多いのかなという印象を抱かせた。歩を良い奴と認識できたのにその歩が真っ直ぐな気持ちで助けようとしている羽鳥は悪い奴のまま。だから当初の目的通りワンダーランドに羽鳥を連れ込み怖がらせようとしてしまう
ただ、歩が羽鳥について「本当は良い子なんだ」と言った事が忘れられなかったのか、紗名の行動もすっきりしない。羽鳥を悪い奴と認識していたはずが、「私は判ってて悪い子になったのよ」と言われれば動揺してしまうし、羽鳥の自分を卑下するような態度にもしゃもしゃしてしまう。
ラストには羽鳥と共に閉じ込められたような状況になってしまったけど、色々な部分が相反する互いから逃げられない状況下で二人はどのような会話を交わすことになるのかな?
紗名が居なくなった事で蔵六が探しに出たり、早苗が帰りを待ち続ける描写はこれまでの関係性や二人の性格を考えれば意外ではなかったけど、歩の両親が羽鳥を捜索する姿は少々予想外だった。
羽鳥は自身の家族を人形にしてしまったことで幸福を諦めたわけだけど、まだまだ羽鳥のことを真剣に心配してくれる人は歩以外にもちゃんと身近に居た事が示された描写は何処と無く印象的だった
弥勒寺さんは助けに来たタイミングは格好良かったんだけどメテオラに忠告されたことを忘れて、真鍳に板額をあっさり取られちゃって……
これまで事態に巻き込まれただけで傍観者のような立場だった颯太が自らが犯した罪を自覚し、今回逃げずに立ち向かったのは良い変化。被造物と違って普通の少年である彼に出来ることなんて無かっただろうけど、それでも剣先に飛び出しメテオラを庇ったことや信念を失いかけていたアリステリアに一人の読者として想いを告げた姿はこれまで微妙だった彼の立ち位置を吹き飛ばし、これからの颯太の立ち位置を示しているようで面白い
自分が居た残酷な世界はただのお話だったと諦観するアリステリアに対して「お話なんて言うなら僕の目の前で起きなかった全てが僕にとってはただのお話だ」「現実だの物語だのそんなこと関係無い」と颯太が言い返せたのは彼が被造物でもなく創造主でもなく、一人の読者でありながら絵師を目指し想像の世界に夢踊らせている普通の少年だからだろうね
もう一人普通の人間であるはずの松原の姿勢も格好いい。彼にだって何の力もなく、創造主だからと以前試した改変は失敗に終わっていた。それでもセレジアが倒れているのを見て駆け出し、ボロボロの姿で逃げてと懇願されても俺はそんな詰まらないセリフを吐くようなキャラを書いた覚えはないと叫ぶ姿勢は自分の限界を破る言葉のようで印象的
というか今回は本来の在り方から外れた行動を取る者が多かった気がする。弥勒寺から呪いのように離れることがないはずの板額が真鍳に奪われたことに始まり、戦う力なんて無い颯太は戦場に舞い戻り、義を重んじていたアリステリアは倒れたメテオラに槍を向けたことで卑怯者と呼ばれる。商業作家である松原が自身の作品をネットに晒したのもそう言えるのかな
そしてそれぞれの本来の在り方から脱却した形の集約ともいえるのがセレジアの新フォームなんだろうね。あのネット投稿からの新技披露までの流れは胸が熱くなった
それぞれに変化の予兆を感じさせつつ真鍳が言うように第一部完といった所か。……作中人物がメタ発言としてではなく「第一部完」なんて発言するのは珍しいけれど、それも本来の在り方からの脱却と言えるのかな?
第一作目の企画書や詩羽達を誘う流れを思い返せば、今回の倫也からは大きな成長を感じられるのだけれど、その行動が遅きに失したのもあるしありとあらゆる点が紅坂朱音に遠くおよばないことが哀しすぎる……
第一期がメンバーそれぞれを本気にさせていく流れだったとすれば、第二期では皆が本気になって作り上げたのに倫也の失策やその後を続けられなかった為に仲間を失ってしまう流れのようにも思える。
そもそも狂人のような紅坂朱音が相手になってしまった時点で敗北確定なのだけれど、倫也の明確な落ち度としては詩羽が言うようにクリエイターに無理をさせることが出来なくなっていた点があげられるか。英梨々スランプまでの倫也は歌や加藤には無理ばかりさせていたし、ゲスな手法で美智留を引き入れもした。しかし、現状では全く絵の描けなくなった英梨々を許してしまっているし、企画書でも二人に負担をかけないように配慮してしまった。
対して紅坂朱音は言動が狂人のそれとしか思えないけれど、クリエイターを奮起させるには充分すぎるほどの言葉を投げつけている。二人が夢中になって読み込んでしまう企画書、プライドを刺激するどころかへし折るような挑発、トドメとして詩羽には英梨々のオマケと言い放ち、英梨々の魂を削って描いた絵をコピー……
詩羽も英梨々も倫也にごめんと伝えているが、倫也を裏切ったことに嘆いていても紅坂朱音を選んだことに後悔は見られない。詩羽は紅坂朱音の企画を「まあ死んでもいいかな」と評していたけど、それどころか命を投げ出してでも書き上げたいという感情を抱いてしまったのだろうね
暴虐的な力によって倫也のゲーム制作仲間だった二人をクリエイティブな部分を刺激してかっさらってしまった紅坂朱音は本当にラスボスと呼ぶに相応しい存在。これに対して倫也がどう立ち向かっていくのか非常に楽しみ
アイセアも人格が侵食された妖精だった事にかなり驚いた。これまで誰もその事実に気付いていなかったのならアイセアになろうとした少女の願いは叶っていたと見ることが出来るのかな?
いつも明るくおどける、そんなアイセアになろうとした少女がどのような気持ちでその行為を続けていたのかと考えるとちょっとしんみりした気分になりそうだ。思い返せばアイセアはおどけたキャラではあったものの、その場その場に合った的確な発言をしていたようにも思える
アイセアの人格侵食がどの程度の期間で行われどのような気持ちで日記を残したのかは判らないけれど、そんな先人に倣うようにクトリが抱くいつも通りを続けたいというささやかだけれど絶望的な願いは果たして叶うのだろうか?
翌朝からクヨクヨするのを辞めたことで明るいクトリに戻ったものの、そこに隠れた苦悩や願いはどれほどのものだろう。ヴィレムと少しでも長く一緒に居ようとする姿勢、年少組にマフラーを編んであげる行為は失われつつ有るクトリという存在をそこに刻みつけようとしているように見える
風邪で寝込んだコロンのためにダグウェポンを崩壊させるヴィレムが……(笑)
どうやらヴィレムの中で物事の優先順位が完全についているようで。世界の命運よりも妖精倉庫の面々の笑顔を守る方が大事なんだろうな。そんなヴィレムにとって最も守りたい相手であるクトリの体調は心配しているけれど記憶障害についてはまだ気付いてなさそう。でも、そんな状況こそがクトリの叶えたい唯一の願いでも有るから気付いてやることが正しいとも言えないのがもどかしい
クトリは出発時には半分以上の妖精たちに関する記憶を失っていたようで。これでは無事戻ってきたとしてもその時には全員判らなくなっているんじゃないかと不安になってしまう