橘が求めてくれるから芽生えた、森島はるかの初めての執着心。そんな大好きに、自分すらどうしていいのかわからなくて……。
移り気な森島先輩が悪女なようでいて、実はそんな森島先輩をそこまでぞっこんにさせてしまう橘こそが悪い男のような気もするようだった。
森島先輩はなんというか移り気で無頓着。だから、先輩はやたらとモテるのかもしれない。
だけど、そんな高嶺の花だから、今までそんな先輩に二度告白した人はいなかった。そんなところに、初めて二度目の告白をするくらいに橘が追いかけてくるものだから、移り気で無頓着な森島先輩も柄になく「放っておけない」なんて言ってしまったのだと思う。
「今日のライブが終わっても、このバンド続けていこうね」とそよが燈に言ったように、このバンドが一つになるためのこのライブになるはずだった。迷っていても進み続けようとする彼女たちが、同じ方向を向くための儀式にこのライブがならなけらばいけなかった。
だけど、いざ本番の舞台で、緊張しきりの愛音はともかく、燈も恐れと不安で声が出ない。そこに現れたのが、祥子だった。そして、ギャラリーの中に祥子を見つけた瞬間、燈を縛るものが全て霧散したように、いつもの声を取り戻す。
そうやって成立したパフォーマンスは、このバンドを一つにするものなんかではあるはずがなかった。確かに見かけではこのバンドは結束したように見えていたし、そよを除いて彼女たち自身もそう感じていたことに間違いはなかったように見えていた。だけど、この結束はCRYCHICを壊し、今はここにいない祥子のために燈が歌うことで成り立っている。だから、今歌う燈の心はこのバンドにはないようにしか見えなかった。
演奏し終えた後、立希の目には燈が輝いて見えていたけれど、それはただ燈が祥子という光を受けていたからだったように映っていた。だから、一部を除いて何も知らずにライブを大成功だと感激する彼女たちは、あまりにも悲劇的でしかないように思えて仕方なかった。さらに、その上残酷なのは、この場で全てを引き裂いた燈がそのことに無自覚で、他のみんなと同じように「良いライブができたね」と言いたげな表情を浮かべていたことだった。
だから、唯一全てを理解していたのがそよが「なんで春日影を歌ったの!?」と怒りを爆発させるのも必然だったと思う。何よりもそよはライブ前に、「今日のライブが終わっても、このバンド続けていこうね」と燈と約束していたのに、彼女に素知らぬ顔で裏切られてしまったのだ。
そうして、このバンドが一つになるための初ライブが、むしろ決定的に彼女たちをバラバラにしてしまったという裏腹な結末は、心から非道で最悪だった。
ライブへ向けて、新曲作り、そして練習あるのみ!それを引っ張るのは立希だけど、自由気ままな楽奈やなかなか上達しない愛音に苛立って、上手くみんなをまとめられない。
そんな中で、思い出すのはCRYCHICの頃の祥子。CRYCHIC解散の元凶の彼女がいたからこそ、CRYCHICというバンドが成り立っていた事実と、自分にはそうできない現実がますます立希の苛立ちを募らせていた。
そして、そこに浮かび上がるのは、表面を繕っても内奥はバラバラなままのこのグループの実像だったように思う。その事実を知っていて、でも目を背けたいから、立希も逃げ出したんだと思う。でも、もう決意を決めた愛音と燈は諦めないから、そんな立希を 追いかける。
「ライブはもう明日、逃げらんない」という愛音の言葉は、立希にも進み続ける覚悟を与えるものだったように見えていた。
急遽決まったライブ実戦について揉めるメンバーたち。燈は「バンドが終わっちゃうから、ライブ、したくない…」と言い、立希は「燈の生きてていいんだって教えてくれる歌を聞きたいからライブをしたいんだ」と言う。そよはそよで、「みんなで一緒にいられるなら、ライブをしないで、スタジオバンドでも良いのかも…」と悟りめいていて、愛音は愛音で上達しないギターの披露を先延ばすためにライブはまだと押す。
そんな風にそれぞれの思いがあって、でもそれぞれにとって大事なことだから上手く言葉にできない。エゴをぶつけて、何かが壊れてしまうのが怖いから何も言えないように彼女たちは見えていた。だけど、伝えなきゃ伝わらなくて、分かり合うこともできないと彼女たちは心の何処かではちゃんと分かっているようにも見えていた。
そんな中で、一番あけっぴろげなようでいて、本音を隠していることすら隠していた愛音が本当の自分を打ち明けた。私はずっと逃げ続けてきた弱いやつなんだと燈に告白する愛音の姿は、情けないようでいて、今度は諦めていないということの表れのようにも映っていた。
そして、燈もちゃんとそれを汲み取ってあげられていた。「愛音は迷っていても進んでる」という言葉は、今度は燈から愛音にあげる救いだった。「迷ってもいいし、私も一緒に迷いながら進みたい」という台詞にあるのは、できることとできないことの中で、それでも不器用に諦めない生き方のように思えるものだった。
行方知れずバラバラになったかつてのCRYCHICを再び引き合わせる中心に愛音が舞い降りた。部外者の愛音だからこそ、元CRYCHIC間の微妙に張り詰めた緊張や触れてはいけなさそうな領域もお構いなしにずけずけと突っ込んでいく。でも、それこそが今まで言葉にできなかった燈やそよ、立希の本音を引き出すきっかけになったように見えていた。
そして、そんな風に愛音が現れてかき回したことが、そよがいよいよ言葉にした「またみんな一緒にバンドしよう!」という新しい一歩に繋がった。それはまるで、再びみんなの心が通い合ったようだった。
だけど、立希が燈だけをひたすら追いかけていたことと対象的に、どこか燈が見ているのは愛音のことばかりのような気がしないでもないように見えていた。だから、まだ分からないけれど、それでも取り戻せたものは確かにあったと思えるものだった。
CRYCHICのお話。それはズレていて孤独な燈の居場所になってくれたもので、祥子が言ってくれたように燈の心の叫びを受け止めてくれる場所のように映っていた。だから、初めてのライブも何もかもが、燈にとってのかけがえのない青春になっていた。
だけど、祥子との離別で全てが壊れてしまって。最後に残ったのは、なんだか最初から全部間違っていたような感覚だったようにも見えていた。
引き離された運命の裏を返せば、そこに気づくのは吉乃の想い。そして、兼次は愛姫に手を回し、不安定な心につけ込んで政宗への想いを惑わそうとする。
両極から引き裂かれようという愛姫と政宗には、運命のいたずらを感じるようだった。
女子大生みたいな女子中学生の余裕をまざまざと見せつけられる佐城くんだけど、その心は愛華だけを見据えていて。でも、その愛華さんの目には、佐城くんが誤解されて映っていた…。どーすんのこれ〜〜!!
水溜まりの水飛沫を愛華の代わりに被って、ずぶ濡れになってしまった佐城。そんなカッコいい姿を見せた代償は安くなく、佐城は風邪に倒れてしまった。
だからこその、今度は愛華のターン。熱にうなされる佐城に何もできないもどかしさ、佐城も自分を頼ってくれないじれったさにむくれてしまう。でも、そんなモヤモヤを晴らすお見舞いは、愛華から佐城への新たな一歩のように見えていた。そして、そんな前のめりになっていた愛華だったからこそ、佐城からの「かわいい」もいつも以上に効いていたのだと思う。
佐城を前に、佐々木は愛華への想いの芽生えを宣言した。かといって、佐城はそれを止めはしない。佐城にとって、もう愛華は追いかけるヒロインではなく、遠くから眺める推しなのだ。だから、そこに佐々木を止める権利も道理もないというのが、佐城自身が自分に言い聞かせる理屈。
なんだかそんな佐城は、自分自身に暗示をかけてるようにも見えていた。愛華に向けた佐々木の想いにはモヤモヤした気持ちを抱きつつも、決して佐々木には勝てないという敗北を現実のものにしたくないために、佐城は愛華への正直な気持ちを押し殺しているように映っていた。
だから、佐城は最終的に、愛華から距離を取ったことで愛華に友だちが増えたと逃げた自分自身を肯定しつつも、佐々木がそこにつけ込むことにははっきりとイヤだと自覚した。そして、同時に、距離を置こうとする佐城に対して、愛華も黙っていられずに、距離を詰める。
結局、佐城は愛華への想いを切り捨てられないし、愛華もそっけない素振りを見せておきながらも、勝手にどこかへ行こうとしてしまう佐城をそのままにできない。なんてもどかしい、なんて夢のない現実主義の恋愛なのだろうかと焦らされる思いが募るようだった。
弟かわいさ故の意地悪さの裏に、本当は弟を想う思いを抱える姉・楓。そして、そんな姉からの肯定の言葉を真に受けられない佐城くん。それに、そんな自分を否定し続ける佐城のことが許せないもどかしさに思わず熱くなってしまう愛華さん。なんだかみんな青春が下手くそで、いじらしさと愛おしさに包まれてしまう。
中でも、愛華の上手く察してくれない佐城に向けた苛立ちもそうだし、そんな風に嫉妬して怒っちゃって素直になれない自分自身にも嫌気が刺している姿は、あまりにも不器用で愛おしすぎる…………。
でも一方で、人の心情はやたら推し量れるくせに、自分のことは何も正しく掴めてるつもりで掴めてない佐城くんの不器用さと鈍感さ、憎らしいほどにもどかしい。そして、そんなこびりついたような自己肯定感の欠如といった空虚さの中にこそ、不思議とどこか満たされるものがあることも事実なように感じる。
ロリママに、ロリ従妹にロリ叔母とロリかわすぎるだろ
髪切った愛姫さまもかわいい
よしのんの素顔みたいなものもなんだか微笑ましくて良かったです
五組とアクシズですと言われなきゃProject no.9かと思うような全体的な雰囲気の、ここ最近よく見かけるタイプのラノベラブコメアニメ
ヒロインに熱烈アタックし続けていた主人公と、それに戸惑い半分ツンデレ半分で嫌々してしまうヒロインだけれど、主人公は遂に嫌々を真に受けてしまってヒロインのことも一歩引いた推しに留める程度に諦めてしまって……というお話。
なんつーか、もう、バカバカバカバカバカバカ〜〜〜〜〜!!!!!!と言いたくなって仕方ない二人の想いのちぐはぐさに微笑ましさと無垢な純粋さを感じるよう。特に、ツンデレが空回って半ばそっぽを向かれてしまったヒロイン・愛華が、この期に及んでも素直になれずに怒り返すことしかできない姿は、言いようのない寂しさと切なさとムカつきが入り混じった感情だった。