誰でも知っているお話をアニメにするに当たって羊文学の主題歌と未来が視える人物を登場させたのがすごくいいアクセントでした。
季節の移ろいを咲いている花で描写したり、説明的な要素を最小限にしていろんな演出が詰まっているので真剣に向き合って観ないといろいろ見逃して分からなくなってしまう感じ良かったです。
劇中で琵琶の弾き語りでナレーションをしているの未来のびわなのかな、でも目の力は失われているみたいだと思ったのですが、壇ノ浦の戦いで本来亡くなる運命だった徳子を助けて未来を改変したことで目の力を失ったという解釈で良いのかな。
エンディングと劇伴がagraph / 牛尾憲輔氏で電子音ぽい感じだったのも個人的に好みでした。
みんなオタクになりたがっているとか聞く昨今にオタクとはみたいなことをまじめに考えさせられたのはちょっとおもしろかったですが、アニメとしての表現がストーリーについていけてないように感じました。
また、オープニング / エンディングの良さと本編の落差が激しかったように思います。原案の方の世代やインタビューを読んで感じた印象からするとオタク論的なものは他のスタッフもしくは制作会社が加えた設定のように思えるのですが、アニメの内容に原案の方の世界観がどこまで再現されていたのかというのは少し気になりました。
個人的にアニメで色彩が良かったって感じる時ってこれまでパキッとしたヴィヴィッドな色使いのことが多かったのですが、このエピソードの海のシーンは淡い色使いがとても綺麗で良かった。
川辺のシーンで最初ずっと岸から呼びかけている侑ちゃんは自分なら燈子先輩を変えられる、このまま燈子先輩が好きな自分を認めても良いんだという気持ちだったのが燈子先輩に拒絶されたことでそれを諦めて飛び石をひとつひとつ燈子先輩に歩み寄っていくわけだけど、それについて他の方の感想を読んでいると暗い気持ちになった人が多かったようだけど、燈子先輩も向こう岸まで渡り切らず戻ってきて真ん中でふたりが向き合うのはそこでふたりが折り合ったということなので、個人的にはそれなりに希望が残されているということの暗示だったと思ったのですが…。