アウラの死後に残る大量の鎧。それは顔が無い故に誰かなんて本来は判らない。けど、首に掛けた紋章がその意味を知る者に正体を教えてくれる
人が死んでも、その人を覚えている人が現世に残らせてくれる
その意味では覚えてくれる人すら死に絶えてしまった者はどのように世に留まり続けるのだろうと考えてしまう回だったな
グラナト伯爵は紋章によって息子を判別できた。人が死んでも物は残るから出来る芸当
でもフリーレンにすれば物すらもあやふや。魔法使いを管理する団体は度々入れ替わり、フリーレンの実力を保証する証も骨董品扱い
人間にとっては物が人の生を伝える依代となってくれても人間より遥か永くを生きるフリーレンにとっては物すら役者が不足
これまではフリーレンが最も永く生きる者として一日の長があった。それだけに彼女より長命そうなクラフトは意外な存在。フリーレンの知らぬ概念を教えてくれる
シュタルクが感銘を受ける程の強さを持ち合わせても名が残らない程を生きるクラフトは見えないモノを信仰している。フリーレンに未だ無いそれは長命を生きる上でのよすがなのかもしれない
でもそれは短い生の人間だって持つもの
ハイターとて、孤児院を復興し魔法使いの子を残そうとした。死後への信仰が有るからせざるを得ない行為
女神を信仰しなくともフリーレンはハイターが報われ天国で再会出来ると信じている。そのような考えになるのは結局のところ、彼女は生きている人々の中で生きれている証左と言えるのかもしれないね
異形の姿となり人から外れてしまったフィロメラの望みは人間的ではない。襲撃者となってしまった彼女が行ったのは魔力の簒奪
それはカレッジと真っ向から対立するものだから学院長が救うべき生徒の枠からも外れる
本来ならチセにもどうにも出来ない事態。でもチセも生徒の理から外れる事でフィロメラを助ける道へと繋げられたようで
カレッジにおいて魔術師であれば学院長に逆らってフィロメラを助けるなど出来ない
でも魔法使いなら、彼女にポプリを作ると約束したチセなら、学院長に従う道理は無い。それは屁理屈めいたものだけど今チセがフィロメラを助ける理由としては充分
また、ルーシー達がフィロメラを追う理由になるのは教師への反抗というこれまた生徒の規範から外れるもの
と、ここまでは詭弁めいたものだっただけにチセが見せた本物の理から外れる変貌には驚かされる。人の身でありながら地脈に潜るなんて普通じゃない
更にチセの前に現れた存在も理から外れているとビシビシ伝わってくるね。終盤に近づいた物語は一気にたがを外し始めたのかもしれない
なら、その果てでチセはフィロメラをどのような理に戻すのだろう?
襲撃者であるフィロメラが求めたのは両親。けれども覚えていない以上、それがどこまで彼女の意志なのやら
察せられるのは彼女とてズラされた人間であり、祖母の操り人形という点
だからこそフィロメラを第一に想う筈のアルキュオネが何をするかが焦点になってくる。紡がれる回想は彼女に定められた理をどのようなものとして教えてくれるのかな?
強者として注目されるようになったキタサンとダイヤ。なら必然的に持っているのは二人の激突
結果はあのような有り様となったわけだけど、これまで多くを同じに過ごしてきた2人の勝敗を分けたのは勝負と勝利というとても些細な差による違いだったような
キタサンはいつもの如く商店街で人気。その際に彼女が返すのは勝っても負けても最高のレースにするとの事。お祭り娘の彼女が志すのは楽しい勝負。欲が無いわけじゃないが一番ではない
対してダイヤが今でも意識しているのはジンクス破り。友人の勝利にさえ冗談でもジンクス破りを口にする程
その意味でダイヤはショーとしての要素より勝利を見ている
2人に意識の違いが存在する為か、勝負前の会話もどこか異なる色に
キタサンは有馬の前夜を遠足前日と例える。でもダイヤはそれよりも意識しているものがある。静かにアイマスクを下ろした姿からは彼女が既にレースに集中し始めていたと判る
だからレース直前の会話でも彼女は親友との馴れ合いを拒み、ライバルとの会話を望んだ
結果は勝利を欲したダイヤへと
キタサンは彼女より先に才能を花開き勝負への情熱に燃えていた。でもレースである以上、誰の背も見ない光景をいつまでも独占できるわけじゃない
ちょっとの差によりダイヤの背を見詰める事になったキタサン、勝利を手中に収められるお祭り娘になる為には彼女は親友とどう向き合っていくべきなんだろうね?
廃墟は廃墟でもラブホテルという内側で行われる行為の意味を意識せず居られない場所を前に詠子が螢多朗に静かな要求をするのも当然というもの
でも意識していたからこそ、螢多朗は花魁の誘惑を跳ね除けられたと考えるとあの遣り取りは二人にとって大事な意味を持っていたのかも
花魁は螢多朗が大切にする人の姿に変わり誘惑してきた
螢多朗は詠子の事を何も意識してないわけではないから、一瞬はそれに呑まれかける
けど直前にそうした行為を意識していたからこそ詠子がそんな振る舞いをしないと理解できる。詠子は螢多朗を沼に引きずり込む存在ではなく引き上げてくれる存在
花魁が螢多朗にした事を考えれば、詠子に成り代わろうとしたとも言える
けれど、二人が交わした約束がそれを阻止した。ラブホテルという愛欲を試す場所で螢多朗は詠子への愛を証明したとも表現できるのかな
まあ、今回のって、その詠子が実は重度のストーカーという事実を螢多朗が知らないから出来た側面もあるような気がしてしまうけど(笑)
手作りステージでプレスタートとなったミリオン、次に描くのは所属アイドルの深掘りと横の連携といった感じかな
アイドルに憧れているのは皆同じでも、それぞれの事情は十人十色。父の反対、ポンコツ、成人済み。違う色を持っているからこそ彼女達はより輝くのかな
新加入の紬のポンコツっぷりは凄まじいもの。未来の助けがなければどうなっていた事やら…
その意味で彼女は早速仲間の尊さを理解するイベントに出会えたね
一人ならどうしようもなくても、仲間が居れば助け合える。励まし合える
父の威圧に怯える静香、一人のまま踊り続けていれば不調の闇に落ちても可怪しくなかった
志保は不器用ながら静香に良い助言と挑発をしたね。こちらも仲間という関係性の良さを感じられる描写
だとしたら、志保が抱えている悩みについても分かち合える者が現れば良いのだけど…
一足先にデビューとなったTeam1st。未来達が歌った手作りステージの勢いを受け広げていこうという意気込みで居るのは好印象。ライブもとても良いものだったし
シアターを我が家とするミリオン勢がこれからどのようなステージを作り上げていくのか楽しみに感じれるEPだったよ
園遊会は権力者が権威を示しながら楽しむ場。けれど猫猫は表に立たないから裏側描写がメインとなる
すると目立つのは女同士の諍い。桜花等は表情を険しくしていたが、前回にて女を控えていたと知れた猫猫にはどこ吹く風
彼女の舞台は他にあり、その時こそ最も猫猫が輝いた瞬間となったね
今回は妃たちが集うという事で玉葉妃や梨花妃以外の妃に関する情報も出てきたね
幼すぎる姑というのは思わず絶句する話だが、それが生じ得るのが宮廷という魔窟
その魔窟は他にも魔が住まう訳で。簪を巡る遣り取りなどまだ可愛い方。毒見役の猫猫が向かうべき魔は他にある
妃の前に食す事で器に隠された魔を探る毒見役
その役が毒を見過ごしてしまえば妃に渡る。だからこそ身を以て毒という魔を受け止める必要がある
けど、毒を好む猫猫にとって真の魔は悪意。誰かの命を害そうとする悪意こそ魔
その意味では里樹妃の毒見役が主への魔を通したのは許しがたい振る舞いだったのだろうね
猫猫は自分が毒で痺れを楽しむのは許しても、他が毒で命を楽しむのは許さない。そんな彼女の正義感が良く現れていたよ
けれど、猫猫の推理でも毒を盛った真の魔は見つけられず。未だ姿が見えない悪魔は一体何者なのだろうね?
魔族と人間の性質を描いてきて、最後は魔法使いの性質か
魔族や魔法使いは生涯を懸けて魔法を極める程に誇りを持っているからこそ、魔法を貶せばそこに隙が生まれる
結局は狩るか狩られるか。魔族の言葉が先天的なものでしか無いなら、生涯を懸けたフリーレンの罠がアウラを喰らう様は納得できるものであり、彼女の強者感を突きつけてくるものだったよ
フランメが解説する魔族の性質。以前に行われたフリーレンの解説が魔族に狩られない方法なら、今回は魔族を狩る方法
魔族が情を利用したように、フランメとフリーレンは魔力を利用する。喰らわれる側からしたら卑怯な手法だとしてもそれで憎き相手を狩れるならその手段を採る
魔族が人間を騙すのは食欲等が絡んでいるのだろうが、フリーレンの原点にあるのは憎しみか
それはフリーレンの感情を永い鍛錬を通し曖昧に変えてしまうもの。そうすれば魔王を倒す意志さえ薄れる
精錬されても使い道を無くしていたフリーレンという罠を拾い上げたのがヒンメルなわけか
そこでフリーレンの旅が復讐の旅にならず、面白くて下らない魔王討伐の旅になったのはヒンメル達のお陰。それが今のフリーレンに新たな感情を齎していると思うと感慨深い
見える魔力に絶対的な信頼を置いていたアウラを騙すフランメとフリーレンの罠
人間が積み重ねにより魔族を超えるなら、フリーレンは魔法を貶す生き方により魔族を喰らう
絶対的強者の貫禄が感じられると共に彼女がどのようにして魔王を喰らったのか、その片鱗が見えるかのようなエピソードだったよ
クリスマスになっても子供を家に帰してくれないカレッジはまるで茨で囲った城のよう
生徒の自由は制限され。安全に守られているとも言い難い。元から不安定な者がより不安定になるのも当然
生徒達が不安定さの中で楽しめる筈だったクリスマスがフィロメラにとって限界に達する日となるのはなんて皮肉だろうね
チセが作ったルーンは茨を象ったもの。茨はエリアスを意味する物であるし、同時に茨の加護により友人達を守りたいとの想いが籠められている
けれど渡されたフィロメラは全く違う対応、ルーンをお守りでなく糧としてしまう
孤独と苦しみを深め、茨のように様々な呪いに囚われた彼女に助けなんて存在しない
それでもフィロメラが楽になる道があったとすれば、それは自身を茨としてしまう事だったんだろうなぁ…。触れるだけで誰かを傷つける存在
ヴェロニカとリアン、他の学生に棘を向けた彼女。これまでの苦しみが嘘のようにすっきりした雰囲気で親を求める彼女の姿があまりにもおぞましい
だからこそチセとエリアスが彼女を茨の中から助け出してくれやしないかと願ってしまうが…
ダイヤが優美にアホな事してる……
さておき、これまではジンクスと上手く戦えていた筈が背負わされた悲願の重さによりジンクスそのものと果てのない戦いを始めてしまったような
でも彼女が戦うべきはレースそのもの筈で。もはやこれは迷走と呼ぶしかない
サトノ家の悲願、G1勝利はダイヤだけの夢が掛かった勝負ではないから彼女達は苦しむ
ジンクスにより道を絶った先輩を、ジンクスにより道に悩む後輩を知っている。また、サトノの悲願に懸ける大人達の姿も知っている。それら全てがダイヤの背に伸し掛かるから彼女は何としても勝利を掴まなければという想いを強くしてしまう
ジンクスの正体が神様ではなく、彼女自身に成りかけていた
そこへマックイーンが良い手本を示してくれたね
彼女とてレース直前の落鉄という不幸を体験した者。けどそれに負けず勝利を掴んだ。ジンクスの恐ろしさも怖がる必要が無い点も知っている
きっとマックイーンにとってジンクスはレースの香りつけの1種に過ぎない
なら彼女に憧れるダイヤが行うべきは自分の強さを信じる事だけ
ダイヤはジンクスがあるから負けるのではなく、ジンクスがあるから勝てる。その図式にする為に自分の強さを信じる
レース中の雄叫びは魂の全てを絞り出しているかのよう
だからこそレースが終わった後、彼女は歓声に応えるより大泣きする以外できなかったのかな。それ程までに背負った悲願が大きかったのだろうね
勝利のジンクスを掴んだ彼女の姿はとても美しいものだったよ
ゴミの化粧を施された木簡、実は暗号かもしれないし本当にゴミかもしれない
別の顔をしている以上は当人が語らない限り真相は誰にも判らない
猫猫と壬氏、向かい合って正体を探りつつも探れる幅も探って良い幅も異なる。それは端的に二人の立場の違いを示していたね
園遊会を前に艶やかな飾り付けを求められた猫猫は化粧を施されようとしたわけだけど、実際は艶やかに見せない事こそ彼女の化粧だったわけだ
見目麗しい女であると主張して男を求める後宮という場。けれど猫猫が生きてきたのは男を安易に近付けては身が危うくなる世界。それは猫猫の別の顔と言えるね
猫猫がこれまで見せていた化粧顔によって壬氏は彼女を軽々に扱えた。しかし、真の顔は壬氏には想像もつかないような防護策が必要になる世界を囁き教えてくる
理解した際の壬氏が見せたこれまでと異なる顔は何を意味するのだろうね?色々想像が膨らむけれど、猫猫には通じなかったのは残念
皇帝と妃たちが集う華やかな園遊会。けれど、そこには華やかさで悪意を誤魔化した顔を持つ陰謀が潜んでいるようで
漫画版を読んだ際に印象深かく思えた次回のエピソード、猫猫の本質が発揮されるだろう瞬間がどのように描かれるか今から楽しみになってしまうよ
会場もステージも屋台も何もかも手作り。それは春香達が行うツアーとは比べ物にならないけど、手作りだからこそ未来達の想いが詰まったものになる
それはミリオンスターズがどのようなアイドルになって行きたいかを示すものになるわけだ
これから未来達と同じようにアイドルになる歌織と紬があのステージを見た事には大きな意味がありそう。これから己がどのようなアイドルになるかが理解できる
また、静香のアイドル活動に賛同しなかった彼女の父がこの想い溢れるステージを見てどう思うのか?それが静香のこれからにとってキーになるのかな
詠子やあの父親にとって、極限の恐怖が宿る受胎告知の家。けれど終わってみれば夜宵にとっては等しくただのオカルトで。後悔の念を口にする父親とてただの門番扱い
表情一つ変えずに悪霊を倒し、卒業生ハウスをゲットする夜宵を見ると恐怖を使いこなす者こそ最強なのだと改めて感じさせるよ
裏では新たな恐怖となっていく空亡の成長が描かれたね
神様に挑んであっさりしてやられる様は恐怖に負ける側。でも知恵を絞って鬼子母神に挑み、勝ちを拾った様子からは既に空亡も恐怖を使いこなす側になったのだと判る。
恐怖を使う者が揃い踏みしたことで夜宵やこれらの者達が邂逅した時にどのような恐怖が撒き散らされるのかと楽しみに思えてしまうよ
魔族の特性が描かれて以来、対する人類の特性を強調するエピソードが続くね
魔族と人類の間には絶対的な力量差がある。前回はフェルンが意表を突けたが、それが勝利に繋がるわけじゃない
それでも魔族が人間を脅威と見做していない点、更には人間の積み重ねがその力量差を覆す下地となっているね
フェルン達の実力では魔族から勝ちを拾えない。あくまでも相手の不意をつく程度。フリーレンを頼りたくなる
それでも二人が戦いに巻き込まれるのはフリーレンの存在に因るもの。リュグナーはフリーレンを警戒しているから情報を引き出せる二人を襲う。つまり二人を脅威と考えていない
そこにこそ勝機が存在する
シュタルクがアイゼンから教わったように最後に立っていた者が勝ち
どれだけの力量差があろうとも相手が舐めて掛かるなら勝ちは拾える。フェルンの速さと手数、シュタルクのしぶとさは歴然と存在した力量差を覆すもの。魔族と人間の天秤を傾けるもの
それにしたって、斧を腹で受け止めたシュタルクは無茶苦茶だと思うけど(笑)
弟子達は素晴らしい戦いを見せた。次回こそはフリーレンの本気が見られるのかな?
コミュニケーションは深まりつつも行き詰まりを見せるチセ達の交流。そこで改めて表に出てくるのは魔力を奪う犯人探しか
チセ達がカレッジに閉じ込められるのも、生徒達の心身が不調を来すのも全て犯人が原因。かといって無力な学生が犯人探しに気張ればそれはそれで諍いが生まれる。彼女らの現状は迷宮そのものだね
何処へ向かえば良いかすら判らない現状、その意味ではエリアスが気分転換の収穫なんて言い出したのはかなり珍しいかも
出来ない事を頑張るのではなく些細でも出来る事に精を出す。それが最も彼女らにとって「らしい」姿だから閉塞的ではない空気が生まれる
そこでチセがフィロメラを気に掛けるのは、彼女の苦痛を少しでも軽減したいとの優しさからだろうか
チセの心配を他所にフィロメラの苦境は変わらず
彼女に近いアルキュオネは親代わりにも成れる筈なのに踏み出せず。彼女の部屋に入れるヴェロニカは異変を来すフィロメラの心には踏み込まず
頼れる者も打ち明けられる者も無いままに孤独を深めるフィロメラを誰が救ってやれるのだろうね?
夢、目標、自己実現。それらを叶える為のレースを競うライバル達の存在は本作の物語に素晴らしい彩りを添えてくれるね
その点を最も体現しているのはキタサンブラックか。彼女は敗北も挫折も成長も経験している。だからこそ彼女の物語は面白い
ダイヤの勝利は神様が邪魔しているかのよう。でも神様が敵なら彼女のレースは詰まらないものになる。そこで神ではなくジンクスを破ると誓う強さが彼女のレースを面白くさせる
別種の動きをしているのがドゥラメンテかな?彼女は最強を証明する為に走っている。そこに他者の存在はない。その意味ではドゥラメンテのレースは強いけれど面白くはない
だからこそ彼女を強く意識するキタサンが関わってくる事でレースが面白くなる。キタサンはあんなに意識しているのにドゥラメンテの方はキタサンを認識もしていなかった
キタサンの敵愾心が状況を面白くしてくれる。また。宝塚を走る他のウマ娘達が掲げる自己実現もレースを面白くしてくれるね
結果はキタサンすら意識していなかった人物の勝利とちょっと皮肉の効いたものに
けれど、それがドゥラメンテを完全な勝者とせず今回のレースは良いものだったという印象を持たせてくれる。ドゥラメンテが認識を改めるのも当然の流れ
2人が「相手は此処に在る」と意識し握手を交わしたのは感動的なシーンかも。だからこそ、ドゥラメンテの違和感が気になってしまうが……
事前情報の時点で嫌悪感を覚えずに居られなかった受胎告知の家、噂に違わぬというか噂以上におぞましい家でしたね…
訪問者を儀式のため犠牲にする。明確に人の意志が伴うそれは容赦無いからこそ、少しの油断も許さない。それが尚更に恐怖を呼び起こすものとなっているね
前回、恐怖を愛するスタンスを明確にした詠子を恐怖のどん底に引きずり込む流れは凄まじい
一方で夜宵は良い意味でいつも通り。恐怖に竦む詠子の横で冷静に状況を観察していたね。状況を分析しているという事は攻略の鍵を探しているという意味であり、彼女だけを見ればまるで推理物を見ているかのよう
それでも、抗いようのない天使様の凶行。時を追う毎に悲惨な状況に追い込まれていく詠子の様は流石に絶句せざるを得ない……
まあ、あのような目に遭っていても事故物件ゲットの意志が揺らいでいない点は褒める他なかったりするんだけどさ
夜宵は元から超常的だけど、詠子もメンタルが鋼みたいになってきたな…
これだけ人数揃えたら色物も混じるものだけど、ミリは色物タイプが多すぎないかな(笑)
それぞれに特徴が有るという事はそれぞれのやりたい事も異なるという意味であり
異なる色を誰がどのように纏め上げるのかという点が問われた回だったのかな
思い付いたら即行動というのは美点では有る。けど、彼女らはアイドルでその行動が仕事である点を思えば、ある程度の慎重さも求められるわけで
未来や茜の発言からそれぞれが勝手に動き出し収拾が付かなくなったように広げるだけでなく纏める者も必要
だから破綻寸前でPが話し合いの場を設けても既に遅くて。不安や反論が噴出してしまったのは当然の流れ
調整不足に因る瓦解の危機、中心人物不在に因る意思のバラバラ
ここでPの対応が糸口となったし、また翼の機転も良かったね
オーディションでPは春日未来にシアターの未来を見た
なら彼女の言動にこそシアターが目指す中心像が有る筈で
皆の意志を代弁しつつ自分の遣りたい事も言う。それはポジティブな言葉だから皆に響く
未来の言葉から多彩色が一つに纏め上がる様は美しいの一言だね
漫画版読んだ時は程々な印象のEPだったけど、コンテの力か途轍もなく良いお話に化けたように思えたよ
梨花妃の身に起きたのはおしろいに始まる予後不良。正しい知識の下で正しい看病をすれば問題なかった筈の事案。けれど妃として彼女を飾り付けねばという高慢さが彼女を追い詰めたわけだ
帝の勅命を受けた猫猫は特別な立場の筈。けれど梨花妃の侍女達は猫猫の身分だけを見て彼女を遠ざける
位の上下が猫猫に思うような治療をさせない。高位の御方から寄越されたのに女が集う水晶宮は別の位が跋扈し、それが梨花妃と猫猫を近づけさせない
だからこそ、イケメン壬氏がその位に罅を入れられるんだろうけど(笑)
一時的な位を手にした猫猫が知る真実は位の上下を一変させるね
猫猫は薬屋として患者の上に位置するから梨花妃だけでなく侍女すら動かせる
他方で全ての患者の下に位置するのが薬屋と言えるから彼女を助ける為に我が身を追い詰める程に彼女の面倒を看る
それでも生きるかどうかは患者次第。きっかけの言葉を得たとはいえ、あの容態から快復できたのは梨花妃が生来持つ強さによるものなんだろうな
次の課題は妃として得るべき帝の寵愛。ここでも猫猫は面白いアドバイスを。玉葉妃に偏っていた寵愛の位を梨花妃に揺り戻す逆転の秘策
下世話だけど、ああいった環境だからこそ有効なんだろうなぁ(笑)
前回は魔族の異質さを描いた。そして今回は魔族と人間の違いを描いたような
魔族が言葉を話すのは獲物を狩るため。つまり魔族にとって人間なんて食べ物でしか無い。だから相手が何をしてくるかなんて考えない
相手への無関心且つ無理解、それが回り回ってドラートのあっさり過ぎる敗北に繋がるのだろうね
シュタルクが褒める平和な街の良さ、けどリュグナーが見るのは邪魔な結界のみ
シュタルクやフェルンにとって戦う理由になり、グラナト伯爵が守ろうとするそれをリュグナーは欠片も意識しない。だから外交ごっこが破綻して暴力沙汰になっても苛立たず、むしろ本願に立ち返れた事を喜ぶ
彼らにとって話し合いなんて本当に何の意味もない
姿勢に現れる魔族の圧倒的優位性、そこにこそシュタルクが勝機を見出せるのは面白い
フェルンの目眩ましになるし、リュグナー達がフェルンに注目した隙を突いてグラナトを助け出している
魔族は人間を意に介さない。だからこそ人間でも魔族に打ち勝てる可能性が生まれる
リュグナー達を弟子に任せ自身はアウラに挑む格好となったフリーレン
遂に明かされた彼女の異名が指し示すだろう実力、そして彼女の薫陶を受けたフェルンがどれだけ戦えるか
過去からの学びがフリーレン達の旅を彩る本作、魔族と人間という永い因縁の果てにあるだろう今回の戦いがどのように描かれるか本当に楽しみですよ