蔓延る噂や坂柳の圧力に屈せず過去を詳らかにして、その上でこれからを戦うと誓った一之瀬の姿は美しいね
一方でその背後には泥のような号泣や強者達の思惑が潜んでいたという構図が別の意味の美しさを見せ、かなり興奮させてくれる内容と感じられたよ
一之瀬が語る罪は本当の意味での悪行からは程遠い。でもそれまで優等生だったろう彼女のアイデンティティが崩壊してしまうには充分過ぎる罪
それが有るからこそ、彼女は悪にならないままにの罪を抱え続ける事でクラスの為に身を砕くリーダーへと逆転するのは納得できる話
でもそれは他者からどう動くか想像しやすいという面もあって
一之瀬の罪は決定的ではないから破滅は起きないが騒動とはなる。その騒動に狙った人物を巻き込む暗躍は坂柳にとって容易。同様に綾小路も坂柳の思惑に自身の暗躍を滑り込ませられる
一ノ瀬の復活劇が表舞台としたら、強者達の暗躍が潜む裏舞台こそ今回の全てが詰まっているね
そして他の強者よりも綾小路が得たものは最も大きい。軽井沢との噂を矮小化し、櫛田の情報と一之瀬からの信頼を得ている
自身を操ろうとした坂柳も、頼りになる人物と認識してくれた一ノ瀬も。全てを駒として操るバレンタインチョコよりも真っ黒な彼の正体には毎度のこと惚れ惚れとするよ
一つ一つなら取るに足らないものであっても積み重なれば大きな何かを変えるものとなる
たまが考える親切作戦はそういう類。迅火はそれを戯言と受け取るけれど、迅火とて一つ一つの中に居るし、迅火がした行為が大きな何かを変える事もある。そう感じられる回だったかな
今回の闇退治は結局トドメを奪われてしまうし、親切が広まったかも判らない
でも少年の母親は助かり、恨み言を吐いていた少年含め礼まで言われた
迅火が人質を見捨てなかったという一つがまるで親切のように人の心に作用した例と言えるね
灼岩は改造され多くの人を殺してしまったが、それで全てが悪い人生になったと思わず、たまや迅火達に出会える人生に変わったと思っている
一つの思い込みが灼岩の人生そのものを変えようとしている
だとすれば雷堂と迅火の果たし合いも違った見方が出来るのかな
雷堂が持つ人間の強さは迅火を圧倒する。それに合わせようとすれば半端者の迅火では敵う筈もなく
人間ではなく闇として力を振るえば勝ちを拾える、命を拾える
雷堂への敗戦という一つが、雷堂に見逃されたという一つが迅火に大きな成長を齎したように思えたよ
順調に逸臣との触れ合いを重ね彼への恋を確かにしていく雪の様子にはほっこりした気持ちになってしまうね。また、りんやエマの純情な片思いがこれからどうなって行くかも気になる構図になっている
それだけに雪の為だけに手話を覚えた桜志が想いの行き場を無くしていく様が可哀想で可哀想で……
桜志の気持ちは雪に全く伝わっていないが、見る人が見れば彼の努力だけでなくその背景に有る想いまで気付けるわけで
だから超マイペースな逸臣でも桜志を前に緊張感を宿らせる
いわば桜志はこれまで雪を見守ってきた男と言える。なら逸臣が彼から雪を奪い取るのは必要な工程で
それを雪が察しないよう配慮する逸臣はやはりイイ男
買い出しメンバーの中で交際が始まっている者は居ない筈なのに逸臣が雪に向ける目線は既に恋人へのそれ
心配する京弥やりんを他所に二人は二人の世界を交流させている。勿論、二人だけで全てが満たされるわけではないから、京弥達の助けで雪が逸臣の世界を更に知る事も有る
雪は聞けない逸臣の声。それを気にする雪の様子はいじらしい
そうなれば、雪や逸臣が持つ楽しさやをりんにお裾分けする事も出来て
逸臣の協力(?)によって進展を見せそうなりんと京弥はどうなるのかな?
ただ、その二人以上に展開が早い逸臣と雪がどうなるかも気になるけど。「帰る」からの「俺ん家」は超展開すぎて雪の幸福感がオーバーヒートしてしまいそうだ(笑)
シンプルながらも知識と発想を要するミステリは良いものだね。猫猫の特徴がよく活きる
けど、この解決は誘導された類。羅漢の依頼で始まった調査は困り事を回されたと云うよりそもそも猫猫なら真相に到れるという認識が前提に有ったような
見えない意図が気になる回だったね
細工師の件も似た構図を持つけど色合いは別物
父親の遺言や形見が示す意図は見えない。けど、技術継承の為には意図を明らかにしなければならない
猫猫は鍵のトリックを解き明かしつつ、細工師の想いの鍵も見つけなければならない
でも、細工師の意図そのものを見出す役割を持つのは三兄弟自身
猫猫が見つけた鍵さえ有れば適切な者が想いの鍵を開ける
鍵の誘導に拠る真実への到達。猫猫は無事に仲介できたと言える
ただ、そうなると気になるのは真実へ誘導した羅漢の意図。細工師の鍵を猫猫が見つける事で猫猫がどのような心境に辿り着くと想像していたのか、彼の想いは読めないね
小鳥の狩猟から人の狩り合いへ発展した一次試験。魔族との単純な力のぶつけ合いとは異なる、知恵や能力を活用する人間の戦いが繰り広げられているね
人間の魔法には様々な傾向や得意ジャンルがあるのか、戦い方にはそれぞれの性格が反映されているね。それ故に人間同士の戦いは魔族とは別種の面白さが早くも見えてきたよ
ヴィアベルは人間の魔法使いとして最も特徴的
魔族だけでなく人間とも長らく戦い地獄を見てきたという彼は殺しを厭わない。だというのに彼の魔法は拘束であり対峙したユーベルに言わせれば自身の心に猶予を求める為の魔法。残忍さだけでない彼の性質がよく表れている
だからフェルンがエーレを殺したと言った時に彼は引くわけだ
結局小鳥の奪い合いであり殺し合いではないからこそ相手を単純に殺すよりも相手を騙す技量の方が時に有用となる。屈服させて小鳥を渡させるのも、パーティが欠けたと嘘吐いて引かせるのも実力
その意味では対人戦と関係のない処で小鳥を手に入るというのは面白い話。これはこれで運も実力の内と言えそうだ
フリーレンサイドではそもそも試験に何を求めるかという点が語られたね
リヒターが語るのは魔法使いとしての欲求。望みが手に入るという垂涎の報酬だから人殺しも許されるという人倫を踏み外す論理
これを長く生きるフリーレンやデンケンが否定するのは印象的。魔法使いとして大成した二人だけど、その言葉は多くを見てきた人間・エルフならではの含蓄があるように思えたよ
異常な演出に慣れてきたのか、1・2話程には抱腹絶倒にはならなかったような…。いや。それでも充分に可怪しい事態ばかりなんだけど
一向に慣れを見せないのがイサミか。当初のクールさは何処へやら、ずっとイジケている。いい大人が本気でイジケるとどれだけ面倒かという事が判る回でしたよ(笑)
動かないイサミに変わって動いたのがスミス。彼は彼で難儀な状態になっていたね
あの状況で敵かもしれない少女を匿うのはかなりの心労。だというのに周囲から「こんな時にお盛ん」なんて勘違いされているのは笑えてしまう
今回は報われなかったが、次回以降に助けた意味が生まれるのかな?
今回は水中戦、折角鍛えた仲間の活躍が無いのは残念だけど、つまり事態はイサミとブレイバーンに委ねられたという事で
イジケていても寝ていても彼らが戦うしかなくて。なんだかんだ勝利を重ねられた事はいい加減にイサミを前向きにしないだろうか?それとも次回もイジケるのかな(笑)
花火はいつかの友崎よりも数段速いペースで成長しているね。それもこれも彼女の素質や協力者の多さが関係しているのかな?
前回の面々だけじゃなく風香までこの計画に賛同してくれている
友崎が始めたこの協力の環は教室の勢力図がひっくり返る予兆かのよう
印象的な場面となった風香と花火の会話シーン
これまで接点がなく、性格もあまり似通った点の無い2人だと得られるものは少ないように思えてしまうが、風香はこれまで見えなかった面を教えてくれるね
集まりから見れば紺野は花火を虐める嫌な奴。けど風香に言わせれば彼女やその周囲にも背景があって、逆に虐められる花火の方が強く見えるというのは面白い話
あれだけ教室を支配していた花火を非難する空気が彼女のキャラが確立された事で反転した
彼女を支える為に友崎達がした事は無駄では無かったと判るね
でもそれがボスを打倒した事にはならなくて
残された最後の試練、次回がどのように描かれるのか本当に楽しみですよ
3期に入ってから急速に目立ち始めた山内のフラグ建設っぷりが凄まじい……
さておき、一応はバレンタインデーだった為か恋愛を意識させる要素が多かったような
特に仄かな恋心をアピールする軽井沢は可愛かったね
チョコの受け渡しが想いの遣り取りに直結するように思えるから誰が貰えるか誰が渡すのかと多くの生徒が浮き足立つ
それに興味を示さない堀北はマイペースだけど、彼女が別種の想いを向ける櫛田とはどうにも通じ合っていないような
やはり物が介在する方が想いは証明されるもの
だとすれば綾小路が全く意識して無くてもチョコを用意していた軽井沢の想いは確かに存在するとのだ判るし、言い訳を二重に用意して余計な負担を掛けまいという想いの深さも感じられる
綾小路も少しずつ軽井沢に応え始めるかのような素振りを見せているし、色々と期待してしまうね
その反面、他にチョコを貰っていたり、一ノ瀬と二人きりになっていたり…
チョコが軽井沢の想いを証明しているなら、綾小路のお粥は何の証明だったのやら
そして始まるのは人の想いを利用するかのような誹謗中傷の嵐。一ノ瀬への個人攻撃から始まった噂の遣り取りは思わぬ方向へ進んでいるね
迅火と真介の過去や慟哭が描かれる事で二人の人となりが更に深掘りされたような
どちらも共通するのは力を欲したという点。でも無力な自分を知って起こした行動が違ったね。真介は無力だから涙を流し、迅火は無力なまま他者に向けた
それでも作品そのものを通して有るのは力の虚しさかな
精霊転化で化け物みたいな力を手にした迅火を泰山があっさり打ち砕く。灼岩とて力を求めたが結果は同郷の者を殺しただけだった。幼い迅火を守ろうとした闇すら人に容易く殺されてしまう
力が有ったとしても、それが他者の横暴を防ぐ源にすらならない。こうなると力無き者が示すものの方にこそ価値が見えてくるのかも
力を欲しながら叶わず。それでも灼岩が味わった理不尽の為に涙を流せた真介はとても特異な存在だと感じられるね。その涙が彼女を止めたのだから
なら更なる力を欲するばかりの迅火も真介に学ぶ必要がある。それはきっとこの作品において人とは何か、闇とは何かを教えてくれるものになっていくのかもしれないね
何もかもが酷い(笑)
正体不明のロボと共闘して大きな力を振るった隊員を尋問するのは考えてみりゃ当然なんだけど、「ブレイバーンとは何だ?」と聞いてる時点でそれはもうギャグなんよ
あと、ブレイバーンの人の話を聞かない態度もギャグ感を増幅させているね(笑)
今の処、イサミとブレイバーンに全く相棒感はない。イサミは巻き込まれた側でブレイバーンは人の話を聞かない。あと、イチイチ言動が変態っぽいから余計にイサミと心が通じ合ってる感が無い(笑)
だからこそ、司令部すら気が滅入る遣り取りに終止する中で全てを繋ぐ存在として機能したのがスミスかな
軍はイサミを敵かと疑う。対しスミスは救世主の可能性を提示する
現実にイサミはブレイバーンに乗るつもりなんて欠片も無かったのに味方を救う為にブレイバーンに乗って戦う道を選んだ。その意味で彼は救世主へと変化し始めたと言える
まだ自分がブレイバーンと一緒に戦う理由なんてこれっぽっちも納得できていないのだろうけど、それでも戦った点は賞賛すべきなのだろうね
それはそれとして、あのEDは一体何なのか(笑)
OPや本編が割と真面目にバカやってる内容だったから、せめてEDぐらいは落ち着いた曲調でやってくれるかと思いきや、半裸の男二人が熱唱するなんてちょっとどうかしている(笑) 手を合わせ結ぶシーンなんてつまりそういう暗喩なのだろうし
真面目に巫山戯過ぎている本作、何処もかしこも目が離せないよ(笑)
好きを自覚した雪が逸臣への想いを積み上げるかのように彼に近づいていく様子はいじらしくて可愛らしくて、そして温かな愛情に満ちているね
特にあの手話ノートなんて雪の想いが溢れ出してくるかのよう。なのにノートよりも本人から教わる事を選ぶ逸臣の接近力……!
雪の予想を軽々超えてくる彼だからこそ、雪をドキドキさせるのだと判るよ
そんなタイミングで登場するのが他の女というね…!
雪は相手を見て会話するから、視界全てで相手の意志を汲み取ろうとする。だから逸臣が納まるフレームに仲の良い別の女性が入ってくると、逸臣と意思疎通出来ないかのような感覚が生まれてしまうのかな
かといって、そこで落ち込み過ぎずに恋する乙女として頑張ろうと思える彼女は強いね
恋の強さを覚えた雪だから迫る門限や桜志が居ても走り出せる
そして逢えた逸臣は普段通りのテンションだから、雪も変わらぬ交流を再開できる
でも、逸臣とはまだ全てを打ち明けられる間柄ではなくて。でも手を握っている間だけは言葉を交わし合えるから
想いを交わしつつ、交わさない想いも有る二人の様子がとても尊い……
もう半ば告白しているんじゃないかと思える雪と逸臣だけど、好きを伝えてないから、互いに別の異性の存在を気に掛ける。恋に不安があるから指を交わして何かを確かにしたいのかもしれない
また、雪視点では不安な存在と言えるエマだけど、彼女とて恋に悩む女性。そんな人が見つけてしまった雪と逸臣の恋の形跡は彼女に何をさせるのだろうか…
話の構図は前回と似たタイプか。事件そのものは簡単でも解決編で明らかにされなかった要素や事件を取り巻く別の謎が視聴者をモヤモヤさせる
余計なものに触れる必要は本来ない。猫猫もそれは弁えているというから必要以上の推理はしないというのに、謎の方からやってきた感じですよ
食中毒事件は知識さえあれば解決は容易。前回と同じだね
でもあの推理じゃ昔の食中毒事件や犯人に知恵を授けた者の正体までは判らない
でも知り過ぎない話し過ぎないよう自分を律する猫猫には不要な真相だからこそ、別の謎は靄のように漂ったまま誰にも触れられない
事件以上の謎として接近してきたのは羅漢だね
ボヤ事件の噂から猫猫に興味を持っている点は明らかだというのに他に関心事があるように話を曲げるから彼の正体を判らなくさせる
何やら不吉さを覚える猫猫からして、謎の向こうからやってきた新たな謎は彼女に思わぬ危険を齎すものに成りそうな…
せめて壬氏へ不意に見せてしまった悦楽顔のように、猫猫が喜びを覚えられる要素が有る話となれば良いのだけれど……
というか、酷い妄想にふけっていたからって壬氏になんて表情を見せているんだ。見てしまった壬氏もかなりアレな感じになってしまったし(笑)
小鳥の捕獲を目指す魔法使い試験は実質的に狩りのようなもの。そして狩りと捉えた場合、今回行われた全てが狩りに思えてくるのは面白い
合格を目指す魔法使いは小鳥を狩る。他の魔法使いは小鳥を持つ魔法使いを狩る。そうして協会は強い魔法使いを狩る
ならフリーレン達はその狩猟関係から生き延びる術が求められるわけだ
小鳥は無闇矢鱈に狩れるものではない。観察し生態を掴み捕獲方を定めた上で狩猟に入る必要がある
でも、その際には自らも知る必要がある。竜に怯える己、意外と仲良しなラヴィーネとカンネ。そうして見出だせるのは捕獲に必要な手順
手の内の札を使えば小鳥は狩れる。でもそうすると他の狩猟者に手の内が知られてしまう構図
フェルン達は小鳥を捕まえた為に他パーティから狩りの対象に選ばれる
またフリーレン達は小鳥を捕まえる為に湖を凍らせる手法を採ったけど、それによって彼女らも注目を浴びる、つまりは狩猟者から観察されてしまうというわけだ
デンケンという実力者により説明されるフリーレン達のみならず他受験者の思惑。ああも盤面を把握出来るなら、彼は狩猟者として一級品と判るね
始まるのはこれまでの魔物が人を狩るような戦いとは異なる人間同士の狩り合い
相手を殺すのが目的ではなく、目的を達成する中で相手を死なせても良いとする戦い。だからそこで採れる戦術も幅広くなる筈というのに、古い戦い方に終止するフェルンの対人戦は果たしてどのようなものか
狩りの中でフリーレンやフェルンが見せるだろう知恵と力、次回も楽しみだね
友崎による花火改造計画、その中でかつて自分が受けた練習法を講じるわけだけど、花火には不向きな部分もあったようで
友崎は友崎のゲームを通してリア充を目指している。なら花火だって花火向けの人生攻略法がある。それを探る回となったね
根暗ぼっちだった友崎と既に居場所のある花火では必要とする武器は異なる
でも自分の武器しか持たない友崎では花火にはどんな武器が最適か判らない。だからこそ花火改造計画の参加者は少しずつ増えていくわけだ
それは単純に花火の味方は居るのだと彼女に教えるものでも有るね
そうして見えたのはクラスメイトへの興味の薄さ
まだそれを武器と言える程ではないけれど、試行錯誤を通して攻略の鍵を見つける様は本当にゲームめいているね
そうした流れだからゲーマーの友崎がリーダーに推される流れにも納得できる
一方でこの集まりは参加者にも人生攻略の場となっているね
水沢も竹井も集まりを通して花火を知るし、特に水沢はこの集まりも学びの機会となっているかのよう
また友崎も花火を育てる自分、それに反する日南という構図から彼女を学んでいる。少しずつ強調される日南の仮面、人柄の良さが見え始めた花火と反比例しているかのよう
特別試験が無いからとて穏やかな時間とならないのがあの学校の特殊性か
突如流れ出した様々な憶測や噂。それは一見すれば高校生らしい無責任さを感じるものの、一方で競争激しい学校ならそこに特別な意図はきっと存在しているわけで
一ノ瀬に訪れた試練に対して、綾小路はどう関わるんだろうね?
軽井沢や平田がフリーになった驚きを吹き飛ばす山内と坂柳の接触。前々回のアレを覚えていれば坂柳の意図は見えるものの、だとすればそれが一ノ瀬への攻撃とどう繋がってくるかまでは見えない
下らない憶測や噂だとしても操るのが坂柳なら、そこに危険な意図を見出さずに居られないもの
だとしたら、犯人を坂柳と察しつつも何も手を打たない一ノ瀬の意図も気になる構図となっているね
掘北が手を差し伸べたというのに拒絶した一ノ瀬。こうなると彼女が一方的にやられているというより、これはこれで彼女の戦い方なのだろうと思える
そんな彼女に過剰な助けを与えるのは間違いかもしれない
それにしても今回の綾小路は多くの女子と関わりを持ったね。いつの間にか彼も頼りにされる存在となったようで
でも、そうなれば厄介事も抱え込むわけで
坂柳や一ノ瀬の意図が見えないままに巻き込まれる憶測や噂を用いた攻撃、綾小路はこの局面でどう動くのが正解と言えるのだろうね?
闇の正体がただの少女と判明し、更に真介も農民出身であると知れた事で物語に深みが出てきたような
どちらも社会の弱者、これを基に真介は力が必要と言うけれど、それが必ずしも正しくないのは灼岩の在り様が示しているね
力が無いから利用されたのか、力が有るから襲ったのか?それを問う内容となっていたかな
灼岩はその見た目により村から排斥されてしまった
なら真介が望んだような力を手に入れた彼女は社会的強者になれたのかというと話は単純じゃない
故郷を滅ぼした彼女は弱いとか強いとかそういう次元ではない罪を負ってしまった。記憶を失った間の出来事だったから許されるとも言い難い
だとしたら、たまの協力で力を得ている迅火にも似たような事は言えるね
彼は闇を圧倒する力を持つ。でもそれは必要以上の力だから、より強い者への挑戦を許してしまう
喧嘩両成敗としても本来は不要である筈の断怪衆本山への強襲。この理不尽を許してしまう強さとは本当に正しいものなのか、それを考えさせられる構図でしたよ
逸臣への気持ちが恋か憧れか探る雪の行動はいわば自分と相手を探るようなもの
手話や口話は相手を見なければ伝わらない。だから会話する際の雪と逸臣は相手を直視する事になる
雪にとって逸臣の手話や口話を見る事はそのまま自分の気持ちを知る工程となるのだろうね
Aパート時点では雪と逸臣の会話は不完全
逸臣の言葉を知る為には逸臣を見なきゃいけないのに恥ずかしい
逸臣が雪の言葉を知る為には雪の文字を見なきゃいけないから必然的に距離が近くなる
それはドキドキする瞬間では有るだろうけど、会話としては少々の問題が有る
逸臣が雪の世界に入り込むように手話で会話してくれたのはとても尊い瞬間。だからこそ、雪は彼の言葉から自分の気持ちを知るわけだ
…その後に奇妙なお土産を渡してくる逸臣は独特のセンスを持っているけども(笑)
でも、その土産は雪の知らない世界を逸臣が知っている証明であり、雪がそもそも目指した外の世界の象徴とも言えるのかな
雪を気にかけているのだと察せられるが、一方でそれを雪に伝えようとしない不器用さが目立つ桜志
彼の在り方は逸臣と真逆なんだよね。逸臣が外の世界へ連れて行ってくれる者なら、桜志は内へ留めようとする者
でも、駅前のシーンやりんへの注意に現れるように彼なりの遣り方で守ろうとしている一面もあって
そんな臆病なゆびさきから伝わりきらない感情がもどかしく思えてしまうよ
一応事件は起きるものの事件性の無い簡単なタイプ。また、前半部のお色気授業も気が抜けている
その意味では何も起こらなかった回と評しても過言では無いかもだけど、その反面何も起こしていない者達の動向も気になってしまう作りとなっていたような
妃教育という名で桃色空間が展開される講義が行われるなんて良いのだろうかと疑問に感じてしまうが、それはそれで後宮に居る妃のお努めなわけで
ノリノリな玉葉妃や梨花妃の夜がどうなってしまうか気になってしまうよ(笑)
逆にお勤めに興味を持たない楼蘭妃は何を考え後宮入りしたのか…
食料庫のボヤ騒ぎは不注意と無知に拠るものとライトミステリな事件
現場を少し見ただけで真相に到れるから重要性を見る事も出来ない
それだけに何も語らないモノが逆に目立つ。猫猫のように真相に気づいただろうに素知らぬ顔の羅漢、倉庫番が持つには立派過ぎるキセル…
何も無い点が奇妙に思える回でしたよ
前半で地に足付いたSFロボット戦争ものかな?と思わせてからの勇者ロボ&主題歌熱唱は流石にズルいって(笑)
後半部は見ていて変な笑いが漏れてしまうのだけど、それはネガティブな笑いじゃなくて、「これで良いんだよこれで」な要素を「ここまでやっちゃうのか…」と感嘆の笑み。そのくらいに満足度の高い初回でしたよ
人類にとって絶望的な強さを持つ敵陣営に対し色々と無茶苦茶なイサミとブレイバーンが主軸となって抗っていくのだろうけど、それだとスミスの役割が無いわけで
イサミがあのぶっ飛んだ状態になるなら、スミスはスミスでどうなっていくのかと期待せずに居られないし、きっと期待以上の展開を見せつけてくれるのだろうと信頼出来る内容となっているね
視聴前はここまで心を沸き立たせてくれる作品とは全く予想していなかっただけに、このギャップのズルさには感服してしまうよ
土地と過去を巡るこれまでの旅とはまた違う魔法使い試験
フリーレンが6人の人間に負けた事が有ると語るように、この一連のEPは人間やその魔法使いの魅力を探る話となりそうな
またフリーレン自身も長命故に気付けなかった人間性が強調される作りとなっているね
フリーレンが持つ聖杖の証は知る人が少ない為に何の証明にもならない遺物に。人も物も証明しないフリーレンの素性、だからヒンメルの言葉にも納得できなかった
でも、フェルン達が今の彼女を知ってくれている事に価値を感じている
すぐ死んじゃう人間から得られる証明にフリーレンは安らぎを感じられるようになった
試験はいつものメンバーでなく初対面の相手と組む事に
ヒンメル達との旅ではフリーレンは信頼を築けなかった。でもその経験がフェルン達と信頼を築かせている
なら全く縁もない相手であればどうか?
ラヴィーネとカンネはすぐ喧嘩する不仲。シュタルク達に関してザインに一任していたフリーレンが仲裁役に回るほど
フリーレンに求められるのは彼女達から信頼を得るよりも、2人の関係性の観察
見えてくるのは案外彼女らの仲が悪くないし相性も悪くない点。それは観察し、対話したからこそ判るもの
それを土台として、これまでと一風変わった選抜試験にてフリーレンの人を知る気持ちがどのような意味を持ってくるのか楽しみたいね
紺野をやる気にさせるなんて、伝手を持っていない友崎には難題。それをゲーム的思考によって解決するというのは本作ならではの攻略法
でもゲーム的に考えるからこそ落とし穴に嵌まる。ゲームはボスを倒せばクリアでも人生にクリアは無い。問題解決後の新たな問題には別のアプローチが必要と見えてくるEP
紺野をやる気にさせる為に中村への好意を利用するのは妙手。でも紺野の想いが叶わない状態なら悪手になりえる
ただ、平林への嫌がらせは時間経過で収まる可能性は有ったのかな。そもそも八つ当たりだし、平林は何も返して来ないから
続く花火への虐めは花火が反応し続けるから苛烈になった。紺野は引き際を失ってしまったと言える
双方に過ちがある状態。普段の日南ならここでアプローチの変更を提言出来るのだろうけど、彼女は彼女で花火を肯定する過ち
誰も彼も間違っている状況で人生の攻略法を変えられた友崎だから気付ける花火の攻略法
花火が誰かに助けられるのではなく、花火自身が自分を助ける為に行う人生攻略。虐め問題を前に本作は新たな局面を迎えそうだ
「アレ?話飛ばしたっけ?」と困惑するくらいにダイジェストに話が進んでた……
真っ当にグループの結束を高め高得点を狙っていく綾小路属するグループに対し、南雲の戦い方は真逆。結束を乱す事で狙いを成就させる
そうして強調される南雲の人間性が今回の肝となったのかな
結成時はバラバラで信頼も皆無だったグループが就寝時の打ち明け話から結束し始めるのは面白い展開
元々は敵対してるから他クラスの人間なんて信じられない。それを試験に苦しむ同士として信頼させ結束させる。青春っぽい光景だね
一方でそういう風に誘導した橋本の実力も見え隠れするが…
他方で南雲がしたのは信頼を許さない自爆攻撃
試験の仕組みは綾小路のグループで見られたような結束を求めているのに、南雲は学校のシステムを利用した悪意を見せつけた
掘北学は身を切る救済を行った点を考えると、掘北学から南雲への代替わりは学校どころか試験の傾向さえ変わるのではないかと思わせるものとなったね
原作既読
同作者の『惑星のさみだれ』が哀しい出来に終わったため、本作に対しても戦々恐々としていたのだけど、初回はまずまずの印象
世直し姉弟と流浪の剣士、そして闇。それらがどのように交わるのかじっくり見届けたいよ
人々の命は軽く道を外した無法者が跋扈する時代。いわば他者を顧みる事が少ないだろうご時世に世直しを標榜する迅火とたまは異質
そんな2人は互いに同質というわけでもなく、人間好きのたまと闇を愛す迅火と異質。当然、真介も2人と異なるタイプ
そのような2人と真介が闇や人が蔓延る世と関わっていくかが本作の見所となりそうだね
原作既読
音の無い世界を生きる雪に対し、逸臣は音の有る世界に居て物理的にも世界を見ている。二人の間にコミュニケーション手段はないように思えてしまう
けれど相手に近づこうという意思がコミュニケーションの端緒となり、そして淡雪のような恋に繋がっていく様子は本当に尊いよ
本作を見て改めて感じるのは雪のコミュニケーション手段の多さかな
聞こえなくても手話で話し口で聞き取れるし、スマホやボードも活用している。割と普通に話せる
それでも異なる世界の住人として扱われてしまうから、相手が自分をどう見ているかに敏感
そんな雪の前に舞い降りた逸臣は全く異なる目で見てくれる人
それでもいきなり彼の世界に行く事は出来ないから、繋いでくれる役としてりんが居るわけか。彼女とて恋する乙女だし
でも、全てを繋いでくれる訳ではないから時には断線も起きる
それを予想外の勢いで踏み込んでくれる逸臣は本当にイイ男だよ
そんな彼でも難しいのは雪の世界に入る事のようで
雪の世界は発話だけじゃ入れない
それを逸臣は手とゆびさき、更にはLINEでも通じてくれた。でもそれ以上に…
雪の世界に入りたいとそう『言ってくれた』点が何よりも世界を越えて雪と話したいという逸臣の想いを感じさせたよ
原作でも素晴らしい恋愛描写をしてくれた本作、アニメでも充分期待できそうですよ