昔からガンダム作品において定番な戦闘中会話、それらは会話しつつも結局は相手を滅ぼすしか無いよねとなるのが定石
けれど今回描かれた会話と戦闘は親しく共通項を持つ者同士に拠るものだったから、滅び以外の決着を見つけられたという事なのだろうか…
ラウダがどうして戦場に出てきたのかと疑問だったけど、全ては兄の為であり不甲斐ない自分を恥じてものか
弟は自分を頼らない兄の高潔を責める。だというのに、兄は高潔を以って弟を許すなんてね
なんて事無い兄弟喧嘩をフェルシーが「馬鹿」と一刀両断。本当にその通り
スレッタとエリィ共に家族を想い遣ってるのは同じ。けどその為に許した方法が似たようで違った
自分を悲劇的立場に追い遣ってでも母の為に。エリィは願いを叶える、スレッタは抱きしめたい
どちらも会話相手でない母の為に言葉を交わすから勝者は決しない
ミオリネがプロスペラ、どちらも説くのは母性愛の在り方
プロスペラはスレッタには友の愛があるから充分と言う。ミオリネはスレッタにも母の愛をと訴える
スレッタが母に愛を向けても返ってこないなんて報われない。その主張を正しいと証明するようにミオリネを救うのは既に居ない母の愛か…
スレッタ・エリィ組を除いて戦闘は会話を通して終わった
本来は戦いが無ければ会話だけを出来る筈。だというのに誰しもの口をつぐませるかのような無慈悲な破壊兵器
失われてしまったエリィ・エアリアルの想いは生きている者達に何を残すことになるのだろう?
契約解除も無事に遣り過せた一郎としおりに後顧の憂いなんて無くて
何の蟠りもなくデートを一生懸命に楽しむ様子は微笑ましくも有りニヤニヤもでき…
契約解除の際に恋を失うかもしれない恐怖に直面したからこそ今の想いや関係を大事にしようとする二人は良いね
でも本作は一郎としおりだけにフォーカスされた作品ではないから。本当のクライマックスは家族の問題
一郎が人生の春を謳歌する裏でまちが兄に気を遣って遊びを我慢していたというのは家長として衝撃的な話。一郎ではフォローしきれないまち達のすっきりしない想いをしおりが拾い上げた様子には家族を感じてしまったよ
気付いて遣れなかった花火への悔やみ。それを季節外れの夏祭りとして開催するのは世間ズレしたしおりだからこその発想
小さな棘が温かい恋へ発展したように、小さな思い付きは楽しい集まりへ
一郎としおりが大切に守ろうとした諸々が結実してあのお祭りになったのだとしたらこれ程までに優しい物語はないと思えるね
レオが正当な王位継承者であると示す大聖祭だというのに彼を襲うのは混ざり者である為の苦難と正当性の否定
レオ一人では立ち向かえない試練をサリフィが支える構図は良いね。彼女はつつがなくレオを守れたわけではないけれど、初代王の衣装無しでも民衆の前に立つ勇気を彼に与えたわけだ
レオは人の姿を持つから、魔族の姿や初代王の衣装がないと自身を王と定義できなかった
でもサリフィは違うんだよね。レオが魔族と人が混じった中途半端な姿であろうと「立派な王様」と言った。その信頼を纏えばレオは半裸でも王の何たるかを示せる
彼が王として有るべき姿を示せば、彼を慕うサリフィも王妃を目指す心が固まるわけだ
レオにとって大きな試練をサリフィが成し遂げさせたなら彼女が試練を成し遂げたも同様
サリフィにとってリスク有る王妃代理の道。サリフィがレオだけを求めるように、レオはサリフィだけを求めている。なら、サリフィにとっての新たな試練はレオも抱える試練
王と王妃を目指す二人がようやく二人三脚でやっていける対等な立場になったのだと感じられたよ
描かれる幾つもの対立は相手に譲れない何かを持つ事が原因の一つ。そんな時は向き合い続けるより何かを間に挟む方が健全か
リアンとフィロメラ、アリスとレンフレッド、ルーシーとセス。思い通りに行かない蟠りが対立に至る様は何処か青春群像劇っぽさがあるね
自信なさげで俯きがちなフィロメラに突っ掛かるリアン。想いの矢印は見えるものの、素のままで相手の本心を聞き出そうとするから通じない。対立は対立のまま
アリスは面白い仕掛けをしたね。ハロウィンを介して向かい合う場を用意した。序盤こそ話のきっかけは得られたもののローブを脱げば間には何も無くなる。結果逃げられると…
ルーシーはきっと前々からセスの優しさには気付きつつ有ったのだろうけど、凄惨過ぎる過去が彼女を全てと対立する少女にさせてしまっていた
だからローブで素顔を晒さずに、それでいて素の状態で話せた事でひた隠しにしていた想いを詳らかに出来たのだろうね
離れていた兄妹が和解できた光景にはじ~んとしてしまったり
対立の際、間に何か挟めば相手の攻勢を躱すのにも役立つようで
ザッケローニからチセを庇う形になったカルタフィルス、そしてフィロメラや生徒達を守る為にカレッジを封鎖した学長
特に封鎖は誰にとっても対立から暫く逃れる猶予となった。この猶予は対立ばかりの集団生活を送るチセやフィロメラ達に何を齎すのかな?
大人が望む『子供』と自分が望む『アイドル』の狭間に押し潰されそうなありすの苦悩、そこに大人としては未熟なPが絡む事で大人と子供とは何か?大人になろうとする子供のありすはどうすべきなのか?という点がこれでもかと様々な表現を介して描かれていたね
冒頭からPは大人と子供の境界があやふや。飲み会という大人の場で子供っぽい我儘。求められる在り方と自分の現状の違和に悩むから、子供のありすが示す大人が望むしっかりさに「大人だな」なんて言ってしまう
でも、それは本質的には子供なありすの『子供』を押し潰してしまうもの
また、ありすが想像する大人は我儘なんて言わないから尚更彼女を傷付けてしまう
大人にも子供にも成れず彷徨うありすを探し見つけたのは同様のP
両者に違いが有るとすれば、大人の世界で揉まれた経験の有無
ありすの悩みはPにすれば、小さな悩みだと思えてしまう。でも当事者のありすには大きな悩み。そのギャップがありすとPの最大の違い。それは本質的にはPがありすに寄り添えない証明
それに悲しみを示す大人でありながら子供っぽいPにありすは『大人』の手掛かりを見つけるのか
ありすが見出した大人と子供の違わない部分。それはありすが諦めかけていた『アイドル』を続けさせる赦しとなったようで
ありす達がアイドルを続けていく上で重要な鍵が示されたと思える回だったよ
あまりに身勝手で逃げてばかりな半天狗。これまでも自分本位な鬼は幾らでも居たけど、彼程に苛つきを覚える鬼は居なかったような
だからこそ滅ぼさねばならぬ鬼を逃さず人殺しの責任を追求し刃を振るう炭治郎の強さを感じ入る構図になっているし、禰豆子の決断も納得できるものになる…
ボロボロな炭治郎を支えるのは共に闘う仲間達。彼らだって限界ギリギリだけど、炭治郎なら鬼を倒してくれると願いを繋いできた
それらが結実して半天狗の首を切り落とす様は感動的。鬼殺隊という在り方を象徴している
でもそれだけでどうに出来る存在ではないのが鬼なわけで…
炭治郎に迫られた究極の選択。妹を守って他人を死なせるか、他人を守って妹を死なせるか
ここでも絆の繋がりが彼を進ませるのか……
「鬼を倒せ」という願いの連鎖は炭治郎に責務を負わせるものでありながら、炭治郎は責務に負けなかった。だからその一刀は半天狗に届く
そう思うと半天狗と炭治郎の在り方は対極。嘘を付き責任逃れ、自分を責める者は殺し…
そんな者がいつまでも逃げ続けられる筈がない
逆に,責務に向き合い続けた炭治郎が報われないなんて事はきっとなくて
望外の奇跡!禰豆子の帰還にこちらまで泣いてしまいましたよ……
戦いが終わった後、いつまでも止まない「良かったね」「有難う」の連鎖は炭治郎達が手にした勝利がどれだけ掛け替えのないものであり、且つどれだけ多くの人に幸福を届けたものであったかを示しているね
裏では無惨の胎動が描かれたけど、こうして絆を繋げ報いを実現できる彼らなら次の勝利も手に出来ると思えるラストだったよ
辿り着くべき終点が明らかになった事で、そこへどう進むのかという点が主題となっていたような
スレッタの進む理由、ミオリネの進む理由。彼女らを囲む者達が持つ理由
クライマックスへ向け、それぞれがどのような理由で進んできたかが意味を持ち、これからの道標を教えているね
スレッタが語る、誰かに言われて進む状態から自分の意志で進む状態への転換
前回のベルメリアに表されるように、他人の指示で動くのはとても楽。間違っても自分の責任にならないから
でも大切な人の為に進もうと思うなら、自分の言葉や意思で進む理由を見つけなければならない
殻に籠もるミオリネは責任に押し潰されている。スレッタもこれからの進み方如何ではミオリネのように籠もる事になるのかもしれない
でもスレッタは既に自分の行動による間違いを自覚している。それでも進もうとしている。それは沢山の間違いの中に間違いでないものを見定められたからだろうね
ミオリネはスレッタが自分を信じ支えてくれるときっと再認識出来たから殻を破れたのだろうね
だからガンダムから逃げず自分の罪を自覚した上で立っていられる
でもミオリネは無力だから、使える力はスレッタだけ。が、彼女をガンダムに乗せれば……
命を削って、恐怖や後悔を押し殺して。そうして進んだ先に有るのはクワイエット・ゼロという恨みの原点。これに恨みを知らないスレッタはどう向き合うのか?
あと、スレッタとミオリネの勇ましい覚悟完了済みの瞳の強さがどうにも危うく見えるのが気に掛かる……
契約によって好き合うようになった二人が目指した契約解除。二人は契約の枷を邪魔と思うから目指したそれはもしかしたら二人を結びつける『縁』だったのかも知れず
直前になってそれを知って、それでも解除へ突き進んだ二人の心情を想像すると色々と思う所のある回となっていたな…
嬉しいや楽しいを求められず、むしろ他人に渡していた過去の一郎
それは自分のものを自分のものだと主張するのが苦手なせいか
契約解除はしおりの罪悪感を減らす為という点を考えれば一郎の流儀に沿ったものと言える。けど、恋が消える可能性を知っても、『本物』を願ったのは彼らしからぬ要求だったのかもしれない
しおりに付き纏うのは姫としての立場
京吾が慕うのもそれ絡み。見えないもので繋がる相手はしおりを姫だからと好きになる
なら、姫であるしおりにとって解除の儀式への恐怖は凄まじい筈で
それでも儀式に臨んだのは彼を解き放ちたいという想いと『本物』の恋を願う故か
二人共恐れは有るのに口に出せず
その不安定な不器用さは想いが本物である仮証明。これが恋であるという確信はある
二人を繋げる棘が抜けた瞬間の喪失感。その後に残っていた『本物』
何の蟠りもなく思いの丈を全身全霊で伝え合う恋人達の様子にこちらまで感動してしまうよ
エリアスとチセはその育ち故に多少閉鎖的な部分が見られるように思う
その二人が他人の為という名目に惑いながら行動する流れは成長や変化を感じさせる。例えばシメオンが友人になるかもなんて予感により行動するエリアスにチセがわたわたしてしまったように
あれは正しく親目線の感動だったね(笑)
自身の閉鎖性を越えて他人に近づくのは誰にとっても難しいもの。フィロメラは匂い袋の交換なんて簡単なお願いをとても難しい事のようにチセに頼む。それだけ彼女にとって他者に近づくのは心の努力が必要な話
それをチセが何でも無い事のように受諾し、更にはもっと進展した関係と成れる約束を交わす流れは良いね。二人の今後が気になってくる
気になると言えば、ルーシーとゾーイか
ゾーイが言い掛けた蛇を触らせる意味、そりゃもうそういう意味なのだろうけどルーシーには通じず
むしろルーシーの方も蜘蛛の話をして胸の内を開いてるけど、それがどこまで通じたか…
春はまだ近くにないからこそ、少しずつでも近付いていくしか無い
他者との距離に最も悩むのがチセか
人助けを率先する表面だけ見ればチセは他者想い。けど、我欲によるものならその繋がり方は歪んでいる
これを友人ではなく依頼相手であるヘーゼルに指摘されるのはチセにとって丁度いい感じだったのかも
沢山人と関わって、そうしてチセは人との関わり方を学んでいくのだろうね
サリフィとレオの恋路を理不尽に邪魔する障壁アヌビスの過去が描かれるEP
小舅のようにガミガミ言う彼はレオに目立って逆らう事こそしないものの、自分の理想の『王』をレオに押し付けている。それに沿う存在ではないからサリフィにキツく当たるわけだ
でも、過去から判るように彼が最もキツく対しているのは自分自身なのかもしれないけど
父の死に受けた衝撃と王族への偏見が歪めた彼の少年時代
その歪みは王族らしからぬレオの優しさを見定められなくしている。彼は自分が想像する相手の姿しか見ていない
変わり始めるのはレオがシリウスの領域に紛れ込んだ時から。父すらしなかった心配、それはレオがシリウスを見ている何よりの証明
更にレオは全てを懸けてシリウスを守った。それはシリウスの目を見開かせるものになるね
ただ、それがシリウスとレオから大切な友情を奪ってしまうものになるなんてね…
王の理想を叶える為に、王が見るべきものを見られるように。その為に自身の想いを制限する彼の内面を考えるとキツイなぁ……
それを思うとサリフィがレオと同じようにアヌビスに温もりを与える存在となったのは面白い類似
王が何を見ているかをサリフィが正しく理解していると知って、彼女が王の隣に居る資格を有していると判断したのかな
サリフィと対立しているかに思われたアヌビスが、同じようにレオを支える存在と判るEPでしたよ
人気は上がりつつ有るのにデビューもライブも無い。そこに有る大人の事情
喫煙室に立ち込める煙は汚れちまった大人の象徴か。そこでは子供想いの意見もくすんでしまう
けど、そこに子供が実際に混じってきた際に大人は慌てて煙を消す。大人の事情は振り翳すけど、子供を大人にしたいわけではない
大人は子供を子供扱いしたいけど、子供の側は成長したいと考えている。そのズレは大人の側からすると如何ともし難いもの
ここで大人且つアイドルな楓達がアドバイスするのは良い展開。ぶつかった壁を壊さず、迂回する上手い遣り方。それは当人達が努力する形で叶えられている
また、Pとアイドルが一緒に考え行動する事で大人と子供の壁も薄くなる
出来あがったライブは手作り感満載で子供の魅力が沢山詰まったものに
そこにはアイドルとしての魅力も詰まっているから、ただの子供から脱却しているとも言えるのかな
そうして得られた成長は予想以上のものだったようで。興奮して夢や希望を口にする面々の中で一人だけ新たな成長を言葉に出来なかったありすはどうしたのだろう…
鬼殺隊士は誰も彼も悲惨な過去を持っているものだけど、蜜璃の過去はちょっとベクトルが違うね
いや、悲しい想いが無いわけじゃないんだけど、流血沙汰で無いだけ悲惨さが薄いというか
だから炭治郎のリアクションもギャグ調になってしまうのかも(笑)
悲惨ではない過去、それはそれで思うが儘に生きる彼女の在り方を肯定する原点となっている
違いを受け容れられなかった時は結婚を当然のものと考えた。でも自分を誇れるようになった時に彼女は全く違う生き方を選べるようになった。それが彼女の他者を守る力となっている
そうして思うが儘に生きた結果、炭治郎達から「希望の光」として扱われるようになる光景は感動的
そんな彼女が戦線を支えてくれるから炭治郎達は本体探しに注力できる
一人じゃ勝てない強敵でも皆で協力すれば太刀打ちできる。少年漫画の王道展開だよ
自分に出来る事を遣りきったが為に生じた状況に絶望するミオリネ、絶望的状況でも自分に出来る事を見出すスレッタ
総裁の立場で俯瞰するミオリネ、一生徒の立場で同輩を助けるスレッタ
二人は対極であるが故に求められる行動の違いが際立っているね
ミオリネはかつて無く俯いている。希望を目指してスレッタを切り捨て地球へ向かったのに手に入ったのは孤独と戦争
今の彼女を理解できるとすれば同胞と共に叛逆したシャディクだけ。だからミオリネもシャディクの誤りを指摘できる
けど、彼の誤りはミオリネにも通ずる誤り
かつてはミオリネからの信頼の証と縋ったトマト。けど、今はミオリネならどうするかを推量した上でトマトを消費する道を選べる
進む中で得た物の喪失を恐れず他者に還元出来る
ニカも似ているね。自分の絶望と罪を理解しつつ地球寮から受け取った想いを糧に頑張ろうとしている。そうして地球と宇宙の架け橋になろうとしている
出来る事を丁寧に積み上げるスレッタに求められたのは大局を変える交渉
ここでスレッタが出生の秘密を話すとは予想外だったな。聴衆が口を挟めない悲惨な生まれ。スレッタがそれを落ち着いて話せたのは既にそれを自分の中で消化できているから
一つを進んだから一つを話せた
そうすれば得られるもう一つはエリクトの優しさへの気付き
スレッタがガンダムに乗るのは逃げでも進みでもない。得た物が何かをしっかり見定め上で自分に出来る事をしようとしている
だからチュチュ達もスレッタと共に進む道を選べるのだろうね
それにしても、本当に主人公機がラスボスになるんだ…。ていうか、それに対するのがキャリバーンって…。
ここに来て再び示唆される『テンペスト』。プロスペローから唯一赦されなかったキャリバン。それを駆る事になるスレッタは母とどのような対話を行うのか?その対話は母に復讐を辞めさせるのか?予想がつかないね
しおりは母を「話し合いの出来ない人」と評すけれど、一方で自身も母と話を合わせる気はないような…
女王様とお姫様気質な二人だけでは反発して終わってしまうから仲介が必要になる。それが契約者である一郎と健の二人となるわけか
都の目的はしおりを島に戻し跡継ぎとする、しおりの目的は契約解除し島外で暮らす。双方の目的は相反する故に妥協点は見出だせない
そこへ一郎と健は双方を執り成すフォローをしているね。一郎はしおりが島外で為した成果を見せ、健は現実的な条件で新たなリミットを示した
契約者が星の子の支えとなる構図が顕わになっていたよ
一方でしおりの両親はしおりの想いを支える人ではないという点は悲しい所
一郎がしおりの頑張りを理解して後押ししてやれたのは良かった点だけど、それは一郎が話すまでもなく両親には知って貰いたかった点
和解という心残りはあれど二人は遂に解除まで辿り着いた。次回はそんな二人の恋心のターニングポイントになるわけだ
試練の対象となった海神はオズマルゴにとって難しい外交相手。それが人間であるサリフィにとって容易な訳がなくて
サリフィの失敗はレオの失敗になる状況。逆にいえば、レオが目指す国造りを実現させようとするなら、サリフィもそれを意識しなければならない
それらに立ち向かうサリフィの献身性が見える回だったよ
今回のレオはこれまでのように威嚇して他者を従わせるシーンは少なくむしろ耐えるシーンの方が多い。それはこの歓待が国にとって大事なものと理解しているからだろうね
妃候補であるサリフィにとってもそれは同様なのだけど、むしろ明るく振る舞っているね。自分の行動が直接にレオの評価に結びつくと知っているからこそ譲れない部分の為に譲れる部分は譲る
それはガロア公にとっても同様だったようで
王の意向は魚竜族にとって国を左右するもの。だから自分の命やプライドを譲って国の未来を確かめようとした
ガロアがそのような意識で国の未来を見て居るから、対峙するサリフィも国の未来を想い命やプライドを譲ろうとした
互いに究極の選択を仕向けたからこそ、振る舞いに人物の価値が見える
ガロアの芝居に国や若者を想う気持ちは現れ、彼らを庇うサリフィは妃としての器を示せた
高い地位を持ちつつサリフィを認める存在の出現はサリフィを選んだレオの判断は間違っていなかったと示すもの
だからこそレオは祝福する為に踊らずに居られなかったのかもね
穏やかさが鳴りを潜めてしまった此処数話のEPにおける雰囲気をトップスピードに持っていくかのような緊迫感有る襲撃事件
又、ウェブスターに起きた悲劇と合わせて捉えるとこの回の悲壮感は堪らない。それだけに悲劇を全てとしない存在のセスとチセに救われるものも感じられるね
過去の引け目から兄と向き合えないルーシー。あの悲劇による影響を考えると彼女は人生に希望を見いだせていないのかも知れない
でも嫌われていてもセスは妹の面倒を見ているし、襲撃の際には彼女を庇った
今は捻くれが強いルーシーもセスやチセが居れば少しずつ変わっていけるではないかと思えるが…
ウェブスターの兄妹に向けられる本気の襲撃。逃げれば交わせるがいつまでも続ける訳にはいかない。チセの内側から出た声が誘うのは逃げを反撃に変える道
相手が自分を傷付けようとするのだから、相応の反撃をするのは当然
でもそれは悲劇を別の悲劇で上塗りするだけ。襲撃者から漏れ出た叫びはそういうもの
なら、チセが狼を見逃したのは悲劇を変えるものに繋がるのかな?
特にチセにとって「母親」は心の敏感な部分に関わっている。あの行為はチセ自身を救うものでも有る
…と、襲撃者を退けて誰もが幸福へと行かないのが難しい所。そろそろ裏で蠢く陰謀が表沙汰になり始めるのかな
活躍の幅を増やす第3芸能課に対して待ったを掛けるは「大人の事情」。明示されず「判るよね?」と言わんばかりの態度は子供の成長を助けないもの
Pも一時は「大人の事情」に呑まれかけていた。けど、子供代表ながらしっかり者な薫によってPだけでなく第3芸能課の閉塞感も解けていく様は温かい気持ちになれるね
仕事ではない遊びを皆で。だから大人のPが必要以上に皆をサポートしなくて良くて
遊びの場だからメインとなるのは好きなものが沢山ある薫。また料理面でも中心となっていたね
だから遊びが不得意っぽいありすを指導役の立場でサポートできたのかもしれない
そんな薫も本当は子供だから苦手が有って。それを本当の大人であるPがサポートしてやれる構図は良いね
そうして頼れる大人が居ると知った薫だから、沈んだ空気の際に「大丈夫だよ」と迷いなく言えたのだろうね
Pはアイドル達をサポートするけど、そんなアイドル達の空気を纏めたのは間違いなく薫だった
海辺で遊ぶ少女達にライブの幻想を垣間見たP。その際に寂しい目をしたのは彼女らを満足にサポート出来ない不甲斐なさを恥じてのものか
子供の側で考えようと努力するPだから寂しさを覚える
そんな彼に届いたアイドル達の魅力をファンに届けられるかも知れない機会。それは第3芸能課にどのような変化を齎すのかな
記憶喪失により感情が薄かった思い遣り深い子が記憶を取り戻したら、煽りスキル爆上がりとか想像して無かったよ(笑)
でも、それは口が悪いのではなく強者の余裕。余裕を無くしていく玉壺が哀れになればなる程、無一郎の格好良さも上がっていたね
一方で無一郎の強さが急激な覚醒だけに支えられているのではなく、兄と死に別れた時の怒り、そこから始まる鍛錬の日々が強者無一郎を作り上げているというのは心に込み上げてくるものが有るね
又、そのような悲しい力で強くなってしまった彼を天国の家族が優しく認めてくれる情景に感動してしまう
無一郎は上弦の鬼との戦いで柱としての格を見せつけた。なら、次はもう一人の柱である甘露寺蜜璃の出番
…なのだけど、そのミニスカートで縦横無尽の空中武闘を披露するのは色々と大丈夫なの?とちょい心配してしまうが……
シャディクやミオリネが目覚めさせた2種の人間が対立する舞台は大枠としてそれぞれにスペーシアン・アーシアンという役柄を与えている。けど、役柄はきっと役者自身が変えられる
自分に付与された役柄から脱しようとするエラン5号とノレアの生き様が美しかっただけに……
グエルに怒りをぶつけるシャディクは自己中心的。けど、その根源にはアーシアンとしての怒りが有るから、アーシアン上層に居るグエルへの怒りは正当化される
グエルは地球に降りてアーシアンに寄り添った。だからシャディクの怒りを受け返せたのだろうな。でも怒るアーシアンはシャディクだけじゃない
テロを越える戦争じみた光景。戦うべきは軍人のドミニコスのみの筈。でも力があるなら学生でも戦場に出る事になる。その瞬間に学生は兵士という役も得てしまうわけだ
それは悲しい事だけど、それによって本来は対立するチュチュとフェルシーが共闘できるし、ニカが帰ってくる余地も生まれる
怒りから死に急ぐノレアはエラン5号とも対立する。そこにはアーシアン・スペーシアンという役が有るから当然
でも5号は別の役を見出すわけだ。道具として使い潰される側の悲哀、5号の願いはノレアの願いと重なる。だから二人は対立を越えられる筈だったのに……
学園で生じた戦場は見たくないものをまざまざと学生達に見せつけるものになったね…
対立が争いを呼ぶ事実であり、対立を越えられず死ぬ無惨さであり
戦場に身を投じず、助かる命を求め手を酷使したスレッタは果たして戦場の希望になれるのだろうか……
お正月に旅行に温泉に。前回のクリスマスと同じく一郎としおりの二人だけだったら恋人達のイベントとなりそうなものがまちとふみおの存在によって、家族のイベントと描かれている点は本作への印象を大きく上げるね
まあ、中心となる一郎としおりがとてもほわほわした性格である点も有るのだろうけど
久我一家だけで旅行に来たなら、入浴中のまちは誰が見るのかという話になる。でも今回はしおりが居るから、まちを任せられる。更に公衆浴場に不慣れなしおりはまちのレクチャーを受けられる
限られた関係だけで事を進めないから彼らのイベントは穏やかさが増すように思えるね
一方で恋仲の一郎としおりだけの時間も大切
…そこで景色より手元のタブレットに夢中になってしまう辺り二人の「好き」は重なっているんだろうなぁ(笑)
だからきっとしおりの悩みを分け合う形も何の違和感もなくて。だからこそ、恋人達のそういった当たり前の遣り取りを契約が邪魔をする違和感も目立つ
でも契約による邪魔が有ってもほわほわした遣り取りを続けられる二人は素敵だね。本当にお似合いに見える
それでもしおりに一郎や島外の暮らしは似合わないと断言する人物はやって来た
まだ若いカップルはしきたりや親子関係にどこまで抗えるのか。そしてここにまちと文雄の存在がどう活きてくるのか見ものだね
イリヤの過去がベリーハード……
魔族への印象を固定するには充分過ぎる出来事をサリフィは知らなかったから、イリヤでもレオ達の優しさを訴えれば変わると思えた
でも、イリヤだってサリフィを助けた魔族の存在を知らなかった。互いの「知らない」の差が信じるものを分けたのかな
悲惨なイリヤの過去、それでも彼が歪んだ心のままに成長しなかったのは特にサリフィの存在が大きいのだろうな
妹を思わせる女の子。実は生贄の運命だったが、イリヤは知らなかった。それはイリヤに後悔を抱かせただろうけど、それによってサリフィは穏やかに過ごせたし、イリヤの方も明るい日々を過ごせた
知っているかどうかによって心の持ちようや信じるものは変わる
レオはサリフィが人間への執着を未だ持つかを知らないからサリフィを信じきれなかった。変わるのは悲しむサリフィの心情を知ってからか
レオはサリフィを信じた。そしてサリフィを悲しませないよう尽くしたレオの姿を知ったからイリヤも魔族を信じるきっかけを得られる
イリヤという人間を知ったレオ、レオという魔族を知ったイリヤ。二人が大切な少女の為に誓いを交わす様は信頼を越えた何かを感じさせたよ
イリヤの認識を変えるだけでもこれだけ大変だった。魔族と人間の融和を目指すサリフィの前途は厳しいまま。それでも互いを知る為に同じテーブルに着く者達が少しずつでも増えれば彼女の未来も変わるのかな
ルーシーが襲われ、更にカレッジから禁書が紛失するという変事。何かが起こってるけど、何が起こっているかは判らない。確実なのは状況が変化し続けているという点で、だから今までになかった景色が見えたりするのかな
ルーシーの意外な兄、エリアスを囲む教師陣などがそれか
けど、答えが出ないまま気になる変調と言えば、チセがトップクラスかな
真っ当に考えればドラゴンの呪いが関わっていると思える。けれどヨセフが言うようにチセの中から出た声であるのも事実
今は何も問題とならなくても、変調が表に出てしまった以上、チセは変化し続けるのだと確定してしまった
でも変化が悪を必ずしも指すわけではなくて
エリアスが禁書紛失事件に言及すれば、「ウェブスターの悲劇」という魔術師の問題を聞く事になる。そうすれば、話し手達はエリアスと交流する機会を得る
チセ以外の人間にあまり興味を持ってこなかったエリアスがカレッジに来てから、レンフレッドやアドルフに興味を持ち、更に興味を持たれる側になる構図は面白い
さておき、穏やかな学園モノとして機能してきたカレッジ編がここに来て緊迫感の有る内容になってきたね
あれは魔術師世界ではよくある話なのか、それともチセやエリアスがそこに混じった事で始まったのか
変事に伴う変化がこれからどのような光景を呼び寄せるのか改めて楽しみになるね
描かれるダキニの絶望と希望と絶望。そこにリシュという新たな希望が訪れる展開に本来はじ~んと来るものがあるだろうに、しょうもないギャグとエロが全力で襲いかかってくるものだから、どういう感情で見れば良いか判らなくなる(笑)
物を丁寧に扱ったり、裁縫をするのは好き。けど、他人の領域にまで踏み込むことには恐れを抱く。
千枝は丁寧で優しい子なのだと冒頭からすぐに判る。けど、それと同じくらい引っ込み思案な性格も見えてくるね
だからこそ、行動実現力が段違いなつかさとの相性が逆に良いのだろうけど
手が届きそうな対象にどう思うかは人それぞれ
例えばPが同期グループの躍進に焦るのは自分達も手が届く領域だと思うから
小春がつかさを「キラキラで王女様みたい」と喩えるのに対し、千枝は「大人のお姉さん」。相手との距離感の違いを示しているのかな
つかさが高校生ながら社長と知り、更に届かない存在と思ったようにも思える
他のシーンでもつかさには圧倒されつつ、同年代のみりあと小春に釣られて頑張る辺り、遠い存在より身近な存在の方が同調しやすいタイプなのだと感じられるね
でも、変わらずつかさの服には距離を感じていた
変わるのはつかさやPの緊張を知ってからかな?遠いように思える存在でも自分と同じく緊張しつつ、それでも困難に立ち向かっている。その同調が千枝が踏み出す力となったのかな
逆に千枝が頑張れば、その頑張りは同調する皆にも通じる。手直しされたドレスは千枝の努力の証だけど、結果のステージは皆で作り上げたもの
届かないと思われた憧れと一緒に仕事をして、ドレスにも自ら手を伸ばした
踏み出した先で届いた輝きは千枝達に素晴らしい輝きと自信を手にさせるものになったね